第十九話 めぐりあわせ そらそうよ
「ただいま~」と、扉を開けた瞬間。
いた。
玄関に。
右手で顔を覆い立ち尽くす。
「そうね。これが運命だなんてひどすぎるわね」
頭頂高30cm強、黄色い服に身を包んだ浅黒い肌の少女。眉間に淡い化粧。
僕はあなたをを知っている。
少なくともこのことだけは。
「インドか」
「認めてどうなるの?」
どうにもならないよ。認めたくは無い。でも認めなくちゃいけないんだ。
この匂い。ピキーンってSEつけても良いぐらいの刺激的な香り。
「あなたの来るのが遅すぎたのよ。30分早く帰っていれば伝えられたのに」
うふふふふふと笑いながら、ぞろりとした黄色い服を着た少女が駆け出した。
「カレーが嫌いな人がいて? カレーが嫌いな人がいて? カレーが……」
分かってるさ。
2週間に1回ぐらいは食べたくなる。
誰にでも簡単に作れて、忙しい時や献立に困った時助かるってことも。
でも、どうして。
どうして昼にカレーを選んだ時に限って、夕飯もカレーなのか!
「残酷だよな。この現代あるある」
「あなたは戦えるじゃない(フードファイター並感)」
まあね? 悔しいけど僕も男なんだよな。成長期の。
胃袋はいつだって空っぽで。成長期だから。背が伸びる成長期だから。
ユウタ、いっきまーす!
「ただいま~。今日は早く帰れたぞ。久しぶりにみんなで夕飯……え~、カレー? 昼カレーうどんだったのに」
萎えた声に、30cmの少女がぷいっと横を向く。
「そういう言い方、嫌いです。おとなげなくて」
そうだね妖怪。
父さん!あなたという人は!
見ろよ、母さんが!
「ちょっと待ってお父さん。 カレーうどんって……やっぱり! 跳ねたら落ちないんだから!」
「白いほうが負けるわ」
うん、口にするまでも無いよね。
赤い服着て行く勇気も無いしね。




