第十話 エロスと試験は相性が悪い、はっきりわかんだね
一学期の中間試験、最後は日本史だった。
「選択式だ。最後だし、時間もたっぷりやる。100分使って良いぞ」
選択式ってことは四択とか五択とか?
それなら結構何とかなるんじゃない?
……そう思ってた時期が、俺にもありました。
「問1 ア~オから選びなさい」方式ではなかった。
長い文章の中にぽこぽこ穴が開いていて、「あいうえお……ん」、「ア~ン」、「A~Z」、「a~z」……ともかく、そういう番号がついた300の選択肢の中から、ひとつずつ選んでいくという形式。
100分あっても時間との戦いじゃねえか!
――(縄文)土器、(弥生)土器の次の時代には(21)と(22)などの土器が――。
ああ、土師器と須恵器ね。昨日必死で覚えたんだ。
どこだどこだどこだ……須恵器発見! (21)は選択肢「テ」と!
土師器土師器、はじきはじき……
問題用紙の片隅に、発見!
って、そうじゃない。君を発見したかったわけじゃないんだけど……。
いた。
エキゾチックな、全長約30cmの美少女が。
西アジアの沙漠、その上を蓋う澄み切った天空を思わせる淡い空色の瞳、やや褐色がかった滑らかな肌。
ペルシャ風と言うのか、頭から紗のヴェールを被っている。
同じような紗でできた、今にも透けそうなゆったりとしたアラジンパンツ。
胸を覆う小さな布も紗でできていて。
目が合った瞬間微笑んで、シャーペンを持つ右手に身をすり寄せてきた。
腕に馬乗りにならないで!
腰を前後に揺すられると、当たってるとこがすっごく気になるの!
アラジンパンツの中、はいてませんよね?
吐息を吹きかけない!「んっ」とか言わない!
上目遣いで指に舌を這わせないで!吸わないで!
お願い!試験に集中させて!
あったー!土師器発見!(22)は選択肢(p)!
「私はソラ。空目を司る現代妖怪。思春期の男女の周りによく現れるんだよ?他にそうだね、ユウタにはまだ分からないかも知れないけど、アラサーOLさんが、『おこと教室』を『おとこ教室』って空目する時なんか、近くに私がいるの」
無駄に刺激的な容姿と行動なのは、そのせいか。
いやしかし、ちょっと待て。
試験中にソラが目に入ったってことは……。
答案が帰ってきた。
土師器……確かに選んだのに!何で×なんだ!
ソラが、くすっと笑った。
俺が選んだのは、「士師記」だった。
「旧約聖書だよ。私の故郷ではメジャーなんだけど」って、どうでもいいわ!
「ごめんね?」
ああうん、そうぴったりくっつかれてすりすりされると、その。
許してあげたくなっちゃうんだよね。
「おーい、ユウタ!お前、点数悪かったから課題提出な?」
許さんぞソラ!
どこへ消えた!




