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神通力少女は何がなんでも『普通』に生きたい。(reboot ver.)  作者: 宇宙 翔(そらかける)


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5/15

初めての〇〇

翌日

いつものように朝早く学校に向かって歩いている友梨奈。

小学校からの習慣で人が少ない時間帯に通学している。

教室の前について、横開きのドアを開けると、いつもの誰もいないシーーンとした教室のはずが、女子生徒が一人席に座っていた。


「おはよう、木花さん」


隣の席の中瀬麻由がキラキラとした笑顔で友梨奈を迎えた。


「……お゛、……お゛おはよ」


朝一からの想定外の事態に、普段から出ない声がさらに出て来ず、

どもりまくってしまった。

ずっと無表情な子と呼ばれていた友梨奈だから、表面から感情はバレていないはずだが、かなり内心動揺して心拍数が異常に跳ね上がっている。

敵とも味方ともわからない相手と教室で隣同士で二人きり。


(昨日会ったばかりで味方はないか……)


悪い噂には事欠かないので、クラスの連中とかSNS経由で中瀬麻由にもとっくに

それらが伝わっているはずだ。


(そんな相手と二人きりで対峙する用ってなに? つか、わたしに用があって早く来てるとは限らないか……)


普段相手から近寄ってくることが皆無なため、そばに人が来るとついつい警戒心MAXになってしまう。

人間関係が希薄だった友梨奈が、いくら想像しても正解が出てくるはずは無く、

諦めて成り行きに任せることにした。


「昨日帰りに声かけたんだけど、途中になっちゃって。

早く続きを話したいなーと思って」


(まさかそのためにわざわざ早く学校に来たってこと?)


「木花さん人が多いの苦手そうだったし。

なんかクラスの子達が、早い時間に学校に来ない方が良いよ、って聞いてもないのに

教えてくれたから」


(あー、わたしと二人きりになっちゃうからってことね。それを敢えて利用したのか)


色々複雑だが、そんなことより彼女の目的を早く言ってほしい。

さっきから心臓バクバクで寿命がどんどん短くなってる気がする。


「……昨日声かけたのはね……」


途中で言葉を切る中瀬麻由。

俯き加減で言い淀んでいる。

昨日、転校初日に大勢に囲まれても堂々と明るかった陽キャの頂点のような彼女が、

今は弱気な小心者っぽくなっている。

対人最強そうなこの子がこうなるって、一体どんな目的なのか……

さらに怖くなってきた。


「せっかく隣の席になったから、仲良くなりたいと思って……。

わたし、転校してきたばっかで友達全然いないし。

今日放課後木花さん家に遊びに行っていい?」

「へ?……」


これまでの人生で出されたことがないオファーに

思わず間の抜けた変な声が出てしまった。


「急でごめんね。本当は昨日のうちに聞きたかったんだけど。今日何か用事ある?」


速攻で『用事がある』と声高に言いたかったが、

陰キャで引き篭もり手前の友梨奈に平日の用事なんて何も無かった。

しかも祖母の教育のせいで他人に嘘を言うのが苦手だ。

子供の頃から嘘を言うたびに簡単に見破られて、こっぴどく怒られたことが

少しトラウマになっている。


「べ、別に……無いけど……」

「良かった。今日クッキーとチーズケーキ焼いて持ってきちゃってたから。

断られてたら全部自分のおやつになって太っちゃうとこだったよ」


本当に嬉しそうにキラキラの笑顔を向ける中瀬麻由。

なぜこんなに積極的に自分に関わりたいのか、友梨奈には違和感しかなかった。


朝一の衝撃があまりにも大きかったため、その後友梨奈はずっと心ここに在らずな

状態だった。

中瀬麻由の周りには相変わらずたくさんの生徒が集まってきていたが、

そこから逃げるのも忘れるぐらいに。

その結果、昨日はほとんど見ていなかった中瀬麻由のクラスでの立ち居振る舞いを

じっくり見ることになったのだが、そりゃ人気出て人が集まるわ、

って納得しかなかった。

とても謙虚で誰に対しても同じ態度でいつもニコニコ笑顔。

自分のルックス、スタイルの良さを鼻にかけたところは全くない。


昼休みには他のクラスからも大勢彼女を見に来ていた。

すっかり学年のアイドル並みの人気っぷりだ。

こんな人気キャラが、隣の席になっただけの学年一不人気キャラの友梨奈に

関心を持つ理由はますますわからなくなった。

結局一日観察しても何もわからないまま、

運命のイベントが始まる放課後になってしまった。


「わたし先に行って校門の外で待ってるね」


友梨奈の耳元で囁いた後、中瀬麻由はサラサラロングヘアをなびかせて

教室から出て行った。

後ろ姿までも美少女過ぎてちょっとムカついた。

絶対神様はキャラの能力ステータスの割り振りを間違えている。

少しは友梨奈にも美少女値を割り振って欲しい。


「あれー、中瀬さんもう帰っちゃうの?」

「ごめーん、今日ちょっと用事があるんだ」


廊下でのやり取りが聞こえてくる。


(この隙に裏門からこっそり帰っちゃうか……)


クラスの連中に色々言われるのを配慮して帰るタイミングをずらしてくれたのに、

スッポかして逃げたりしたら友梨奈は悪役キャラになりさがってしまうだろう。

周りに気味悪がられるのは、長年もう慣れっこでまだ我慢出来るとして、

悪役になるのは絶対嫌だ。


ため息を連発しながら、とぼとぼと校門に向かう友梨奈。

門の外側に中瀬麻由の姿が見えず、ちょっと安心しかけたところで、

少し離れた電柱の陰に隠れている長身の姿がチラッと見えた。


(まぁ、やっぱいるよね……)


お菓子を焼いて準備してたぐらい来る気満々だったんだから。

友梨奈の姿を見つけ、笑顔で小さく手を振る中瀬麻由。

そんな反応を他人にされたことが無かった友梨奈は、

思わずちょっと嬉しくなってしまった。


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