1-012.ヌンサ一夜八路
久しぶりのヌンサ
ヌンサの村から主要街道でテンペストの街ともう一つの街を経由すると王都に着くのだという。途中わき道にそれると村もいくつかあるらしい。王都へ帰るお姫様の一行に付き添う俺たちに寄る用事はなんてない。行かないのでどんな村があるかは分からない。
歩いた感じ。距離はヌンサ村から約二日といったところだろうか?思っていたよりもヌンサ村と王都は近かった。ヌンサがこの国の聖生物であるのも関係しているのかな。聖生物が近くにいると縁起がいいとか?でも近いと思える要因はこの街道だろうな。歩く街道は石畳で整備されていて歩きやすく移動もしやすかった。これが獣道であったらもっとかかるはずだ。
「この街道はわしらヌンサが作ったんじゃぞ」
街道を眺めていると長老が自慢げに話しかけてきた。
「ヌンサが?」
「疑うのも無理はないわよね。でも本当らしいわ。この国の国造りにはヌンサたちが大きく関わっているらしいの。もっとも私もあなたと同じで後から生まれたヌンサだから。当事者ではないのでくわしくないのよね」
「ふむ。ジュネはともかくとして。サマンサはアッシュの前に生まれた二番目に若いヌンサじゃからの。とはいってもアッシュとはかなり年が離れて――」
クイクイ。サマンサさんの口の端が動く。
ダーンッ!
サマンサさんの年齢に関することを口にしようとした長老に雷が落ちた。
「焼き魚の長老にレモンすり込みますよ」
「いやいや。ここ普通大丈夫か心配する場面じゃろ?なに?さらりと焼けた肌にレモンって!?傷口に塩塗るのと変わらんじゃろうが!」
「殺菌効果があるんですよ」
「そうそう傷口消毒しましょう」
「!?なぜアッシュはすでに亀の甲羅いっぱいレモンを絞り終わっとるんじゃ!」
「あ、手が滑った」
俺は修行で背負っていた亀の甲羅いっぱいのレモン汁を長老にぶっ掛けた。
「WRYYYYYYYYYYY!熱い!熱い!まるで日の光に焼かれるようじゃあぁぁぁぁ!このままでは灰になってしまう!」
クイクイ。サマンサさんの口の端がまた動いた。
ボッ。
長老が炎に包まれた。
「焼くなああああああああああ!」
「ごめんなさい。レモン汁が辛そうだったので乾かしてあげようと思ったの」
「さすがサマンサ。気の利くじゃないか。私も同じ女性としてサマンサを見習はわなきゃね。早く乾くように酸素濃度の高い風を送ろう」
ジュネさんがサマンサさんを褒めながら風を送る。というか長老が竜巻に包まれた。
ボーーーーーーーーーーン!
竜巻の中から爆発音が聞こえて頭上に炎の柱が上がる。中は暑そうだ。竜巻の風壁が厚いおかげでこちらに熱はこない。むしろ風が涼しい。
「火柱目立つわね」
「じゃあ消しとこうか」
クイクイ。サマンサさんの口の端が動いた。竜巻ごと四方が透明な壁に囲まれる。開いた頭上から外に竜巻が出ていくと最後に透明な壁のふたがされて、長老を中に入れた透明な箱が出来上がった。さながらショーケースに黒焦げの長老が飾られているようだった。
「やっぱり真空にするとすぐ消えるね」
さらさらと長老が灰になって崩れ去った。跡形もない。灰の山だけがそこにあった。あれ?ここから長老は復活できるのだろうか?
「ちなみに王都からは外に向かって八本の街道が延びているんだ。米の字のようにね」
「その街道八本全部ヌンサが作ったそうよ」
さらりと話を戻して説明を続けるジュネさんとサマンサさんに俺も見なかったことにする。
「八本もですか?」
今歩いている街道はかなり長い。それが八本も。かなりの重労働であったに違いない。
「それがね。一夜でできたらしい」
「一夜で!?」
「ヌンサ一夜八路という御伽噺になっているわ」
「ヌンサ一夜八路!?」
「ほんと。理不尽よね~」
「どうやって作ったんでしょうかね」
「知りたい?知りたい?」
長老が復活して絡んできた。知りたいといえといわんばかりに体をゆすってくる。あまりのうざさに生き返らなきゃよかったのにとため息が出る。大人に知識をひけらかしたくてしかたがない子供みたいにきらきらした目をしているのが特に嫌だ。幼児退行した老人のようで気持ちわるい。気持ち悪い。大事な事のなので二回思った。
「あ~はいはい知りたいです教えてください」
知りたい本心とは裏腹に思わず投げやりに答えてしまう。それでも俺の言葉に、ぱあっ、と長老の顔が明るくなった。
「教えてあ~げない」
「ざけんな!」
バチコーン!
そっぽを向いた長老を叩き飛ばす。乙女のように脚をそろえて横座りで地べたに崩れ落ちる長老。何でわし殴られてるの?と本気で思っている顔に殺意が湧く。
「私も聞きたいです」
「アリス!?」
アリスが突然現れた。はあ、とため息をつくナーブルさんも後に続いてくる。
「あなたたちが一向に追いついて来ないものですから。そこで馬車を止めて休憩をとることにしたんです。それでも来ないのでお迎えに姫様自らお迎えにこられたわけです」
「すみません」
長老のせいで足を止めていたことを申し訳なく思い謝る。
「それでお話聞かせていただけますか?」
興味津々できらきらした目で長老に話をねだるアリス。アリスにおねだりされてうらやましくなんてないもん。俺は歯を食いしばった。
「いいともいいとも」
好々爺とした態度でひげを撫でながら長老がいう。明らかに調子に乗っている顔だ。そして撫でられる長老のひげをナーブルさんがじーと見ている。俺の視線に気づくとそっぽを向いて顔を赤らめた。
みんなで馬車の止めた場所まで行き、そこで休憩がてらに昔話を聞くことにした。
「そうじゃのお。あれは・・・・・」
急に長老からポワポワポワの効果音と雲が出てきた。そして雲に映像が映り始める。
「って。何じゃそりゃ。どうなってるんだ?」
「ああ、よく漫画とかである回想内容を表現するための雲形ふきだししだね。現実で見るのは初めてだよ。いや~現実に存在するとなかなか便利なものだね」
「解説ありがとうございますジュネさんって何のんきなこと言ってるんですか?あれ明らかにおかしいでしょ!」
「そうはいってもね。ヌンサ(理不尽)のやることだからね。諦めが肝心さ」
「理不尽すぎる!」
「ほらほら落ち着いて。ほら始まったみたいだよ」
俺は示されるがままに長老から出ている雲形ふきだしを見る。
「あれはそう。八百年前。国ができ、ようやく城も建ち、法も整備され、王都というものが形を成したころじゃった」
『長老。ヌンサたちのおかげで国の形がようやくできた』
噴出しに一人の人物と長老が現れて長老のものでない声が聞こえた。回想に映る人物のものらしい。赤茶色の髪につりあがった青い目が誰かに似ている気がした。
「ちょっとまって、この回想何で人物以外にモザイクかかってるの?」
「いやの。アッシュはまだ王都に行ったことがないじゃろ。先に見せてしまうと王都に行った時の感動が薄れてしまうと思っての」
「そんなやさしさで回想にモザイクかけたの!?すごい技術だな!」
「あれが初代国王リエント・アラム様なのですね。生前のお姿をご拝見できて感激です」
きらきらした目のアリスに怒りが収まる。そしてアリスの言葉で疑問が一つ解けた。あの目元。誰かに似ていると思ったらアリスに似ていたんだ。金髪ではなくて赤茶だけど。アリスに通じる面影があった。
「そうじゃろそうじゃろ。アリスはアッシュと違って回想の邪魔もせんし、いい娘じゃのお」
「アッシュ。足りないなら手伝うわよ」
せっかく落ち着いた気持ちが長老の煽りに呼び起こされた。サマンサさんが同情の視線で手伝いを申し出るけどこれ以上は埒が明かない。俺が大人になるしかないんだ。俺が大人になるしかないんだ。暗示をかけるように二度繰り返す。心の準備ができた俺は歯を食いしばりながら言う。
「聞きたいですっ!」
「表情と言葉が一致しとらんわ!・・・まあいいじゃろ」
やれやれと半ばあきれた態度の長老にやはりもう一回叩くべきかと考える。いっそ口を塞いでしまおうか?いや、長老は雲吹き出しだけで話をしてしまいそうだ。それに始まった吹き出し回想にアリスが喜ぶ顔を思い出してやめた。というか、いまさらだけどなんで長老視点の回想に長老本人が映ってるの?まあ理不尽だしいいか。
『みなの尽力によりこの王都もだいぶ豊かになった』
『みなのがんばりの成果じゃな。わしの部分が九十パーセント。お主の部分が五パーセント。残りがみなのがんばり五パーセントじゃ』
国王は苦笑いしつつも頷いてそれを肯定した。初代国王はすごく人のできた王様だ。
『おかげでさらに国を豊かにするために遠くへ開拓にも出た。しかし最近そのことで問題がでてきている』
『世の中自分の思い通りにいかんもんじゃ。お主が完璧な王を目指すのは勝手じゃが、王は人の心が分からない、と言われるようにならぬようにの。それでわしも昔ととある国でわしの心が分からん王にムカついて聖剣の鞘を隠してしまったことがある。その後そやつは謀反の戦いで勝利しつつも死んでしまったわい。して問題とはなんじゃ?』
なんか長老説教臭いな。いまさらながらに思うけど。なんで長老上から目線なの?というか、とある国で聖剣の鞘隠したって。前世の世界にあった有名な円卓の騎士の物語みたいだな。ブリテンの衰退の原因が長老でないことを切に願う。
『ああ。それは重々承知している。問題というのは開拓者たちへ十分な援助が行えていないということだ』
『ふむ。なぜじゃ?』
『物資を運ぼうにも獣道ばかりで労力が足りない。せめて今進めている道の整備さえ終われば物資を届けることができるのだが』
『ふむ。なるほどの。しかしこの国はまだできたばかり。開拓とは時間をかけて行うものじゃろ。そう道の整備を急いでもせいてはことを仕損じる。いいとは思えん』
『やはりそうか。はぁ。道が整備されて流通がよくなれば開拓場所の名産品が入ってくるようになって食文化も豊かになり民の心ももっと潤うかと思ったのですが・・・・・』
『馬鹿もん!なぜそこであきらめる』
『しかし避ける人も資金も・・・』
『ならわしらヌンサが道を作ってやろう』
長老に相談する国王。やる気のない返事の長老。ため息つきつつもメリットを上げたら長老が食いつき手のひら返して協力を申し出る。長老の現金さにあきれ果てて言葉が出ない。横でさすが長老と賞賛するアリスがかわいい。じゃなくてだまされているとアリスに教えてあげたいがアリスはヌンサに対していい印象を持っている。下手なことを言ってヌンサ自体を嫌いになられたくもない。
「こうしてわしらヌンサは王都から八方に伸びる街道を作ることになった。そしてそれはもう困難の連続じゃった」
吹き出しの場面が切り替わる。といっても初代国王と長老にモザイクしか映ってなかったが。次は景色が映っていた。木や草原が映っている。整備中の道周りが映っているのだろう。
『あ~もう無理、わし無理。むりったら無理。これ以上重い石なんぞ持って歩けんわい』
ドシン。長老が街道に敷くために加工された石を投げ捨てる。
『ふむ十メートルか。わしめっちゃがんばった』
視線の移動でモザイクがまた現れる。たぶんモザイクは王都だろう。そこから十メートル石の敷かれた道ができていた。一応長老はがんばったらしい。同じく九人のヌンサが石を運んでいる姿が見える。
『ふむ。わし長老じゃしもういいじゃろ。ほかのところでも見にいこうかの』
『あ、長老ずるい。俺も俺も』
『よし、じゃあみんなでかけっこじゃ』
『わ~い』
ついにはみんな石と仕事を投げ出して走っていってしまった。そして行く所すべてのヌンサが道作りを投げ出しては他の街道製作場所へ移動する。ダメだこいつら。
『わしらがんばったじゃん?』
『そーだそーだ。道作りつまんない』
いや、つまんないとかじゃなくてさ。
ピコーン!長老の頭に電球が現れて光った。自然にやさしいLEDです、てなぞの文字もあるけど気にしないでおこう。
『だいたい石を置いても置いてもどこまで置けばいいのかわからん。終わりがあって始まりがあるのじゃ。始まりと終わりは表裏一体で対を成す。なのにわしらはまだ始まりしか見ていない。終わりが見えぬのでは終われるものも終われんじゃろ。見える目標って大事じゃね?』
『そーだそーだ』
『この道の先にはなにが待ち受けているのだろうか?この道はどこまで続いているのだろうか?みなの集。道を行き、未知(終わり)に会いにいかんか?』
『合点承知のすけ!』
ヌンサ全員がそろって敬礼する。返しの応答もなぜそれを使ったのかがなぞだ。そもそも長老もただ思いついたことを言いたかっただけで言葉に重みがない。長老はいいこといったとばかりに満足ドヤ顔だった。
『よし。再び各自持ち場に戻り、紐輪に入って一列に並んで終わりを目指すんじゃ。ちなみに一番最初に到着した班が優勝じゃ。景品もあるぞい』
『でも長老。もう日が沈むぜ?』
『大丈夫じゃ』
長老がゴムバンドのついたライトを取り出して周りに見せる。ふふふふ、と勿体振りながら頭に装着してライトを光らせた。お~と声を上げてヌンサたちの瞳を輝かせる。
『夜道もこれで安心じゃ』
『すげ~。かっけええ』
『ちなみにこのヘッドライトをつけられるのは先頭を走るものだけじゃ。わしの班はわしが先頭を走る』
他の班のヌンサが一斉にじゃんけんを開始する。中には戦闘に発展し、グーで殴りかかり、チョキで目潰し、パーの手刀と明らかにじゃんけんの領域を超えている姿も見られる。長老の班のヌンサはブーブーと講義していた。
映像がまた移り変わる。真っ暗な夜道の森の中を電車ごっこで走るヌンサたちが映った。先頭にはヘッドライトをつけた長老がいる。
『シュッシュッシュッシュフィッシュフィーシュ
シュッシュッシュッシュフィッシュフィーシュ』
歌うような掛け声で走っていた。
『ねえ長老』
『なんじゃ?』
『いまさらながらなんだけど。ゴールってどこにあるの?』
『わしらはそれを探しておるんじゃろうが?』
『でも道をつなげる開拓先があるから道を作ってるんだよね?じゃあ、ゴールってそこじゃん。ゴールってどんなところなの?どんな場所なの?』
長老の顔が驚きに染まった。たぶん何も考えてなかったんだろうな。適当に勢いで突っ走っていたところで急に現実的なことを言われて青ざめるとか。前世の会社にもあんな管理職いたっけ。何も考えずに突っ走って。運よくてうまくいく場合はいいけど。ダメだった場合徒労に終わるし、だいたい考察不足の準備不足で余計なことも多くやるから大変なんだよね。
長老の足が止まる。後ろの足も続けて止まった。
『見よ。夜が明けるぞ』
あ、ほかの事でごまかしにかかった。長老の言うとおり日が昇り始めて辺りが色づく。空に青さが戻り、白い雲が現れる。地上では木、草が緑色に。いろいろなものが姿を現していった。
『長老。向こうに開かれた場所があるぞ。家が見える』
『どうやら目的地(開拓先)に着いたみたいだ』
『ってことは俺らの優勝だ!』
『バンザーイ!』
九人のヌンサが万歳する。さっきヌンサが言ったとおり、森の開けた先に木造建ての家が垣間見える。吹き出しの脇で、ふ~何とか乗り切ったぜ、と一人逆方向に顔を向けて額を腕でぬぐう長老が何かに気づいた。
『みなの集。後ろを。わしらの来た道を見るんじゃ』
みんなが振り返るとそこには立派な石畳の道ができていた。
『道はわしらの後ろにあったんじゃ』
長老の発言にハッと気づいたように感銘を受けるヌンサたち。
『みなご苦労じゃったな』
『俺たちやったんだな』
『ああ。道ってこうやってできるんだな』
『長老。他のやつらも着いたかな?』
『ふむ。連絡を取ってみるかの』
人差し指と中指の立てた二本の先を眉間につけて、うわごとを呟くボケ老人のごとく長老が声を張り上げる。
『ハローシーキュー。ハローシーキュー。わし長老。どうぞ』
『トゥートゥートゥトゥトゥートゥートゥトゥ・・・・・』
返答モールス信号!?周囲に電子音が響いた。長老は黙ってゆっくりと二本の指を額から離すとポワポワポワと雲のふきだしが七つ出た。それぞれに別方向へ向かったヌンサたちが映る。彼らはまだ走っている最中だった。というか思い出回想の雲形ふきだしの中で連絡用の雲形ふきだしを出すとかどうなってるんだ。
『みなの集。こっちは終わったぞい』
『『『『『『『え?マジで』』』』』』』
『長老が優勝か~』
『で?どうすんの?』
『ゴールまで行く?』
『こっから戻って道作り再開するのもな~』
『それなんじゃがの。みな後ろを見てくれんかの』
後ろ?と?マークを浮かべながらヌンサたちが振り向く。
『『『『『『『・・・・?道ができてる~~~~~~~~!?』』』』』』』
『わしの目論見どおりじゃ』
『『『『『『『はっ!まさか?』』』』』』』
『そうじゃ。つまりあれがそれして・・・・・あれじゃ』
『『『『『『『あれか~~~さっすが長老~!?略して薩長』』』』』』』
『いやいや。おぬしらなくしてはあれも成り立たなかったじゃろう。みなの力じゃよ』
長老はゆっくりと空を仰ぎ見る。
『道はわしらの後ろにあったんじゃ』
一仕事を無事終えた男の顔をしていた。
「こうして一夜にして八路が出来上がったんじゃ」
目が勝手に横を向くと同じように横を向いたサマンサさんと目が合った。サマンサさんがふっと穏やかに笑って頷いたので俺もにっこり笑って頷き返した。人と人は視線だけで分かりあるものなんだな。
俺は。
パンッ!
長老を叩いた。
「お前の回想ツッコミどころが多すぎなんだよ!あれって何だよ。あれって。絶対わかってねえだろ。つうか長老が九十パーセントって何?――――」
まくし立てるように。すべてを取り戻すかのように。俺は長老のボケにツッコミまくった。何度叩いたかわからない。気づいたときには両頬が赤くはれ上がった長老が転がっていた。
ぴくぴく痙攣して地面に横たわる長老を眺めているとサマンサさんが話しかけてきた。
「さっきの道ができたあれ。たぶんヌンサの魔法だわ」
「ヌンサの魔法?」
ヌンサの魔法と聞いて以前ヌンサの村で見せてもらったヌンサインフィニティという目の前で詠唱しながらヌンサたちが踊ってめがねを創ったしょうもない魔法を思い出す。
「あのめがねを作る魔法ですか?」
そうそれ、と頷き返すサマンサさん。
「ヌンサの魔法はヌンサたちの強い思いで起きるの。必要なのは強い思いだけ。実は踊る必要も呪文も必要ないのよ。あれはたぶん歌うような掛け声にみんなの思いが一つになって魔法が発動したのね」
つまりなんやかんやで八路ができたのはヌンサのおかげという事実は変わらない。はやまっただろうか?頬がはれ上がるまで叩き倒した長へと目をやるとすでに復活していてアリスに意気揚々と自慢話をしていた。
「街道を作るときヌンサを率いるわしはまさに長にふさわしいほど威厳にあふれておったじゃろ。それこそ百鬼を率いて先頭を行くぬらりひょんのようにな。ヌンサ百鬼夜行はまさしくヌンサの総大将のわしだけが扱える超必殺技じゃ」
ヌンサ百鬼夜行?回想シーンを見る限りヌンサが縦に並んで紐を抱えてはしる姿はヌンサの電車ごっこにしかみえなかった。というか超必殺技って何だよ。
確かに街道を作るという偉大なことをしたのかもしれないが、俺の中には長老を褒め称えるような気持ちだけは湧いてこなかった。
(´・ω・)あれおかしいな?王都につかないぞ?




