表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/23

19

「トレントだ」


目の前には果物の実った短く太い木がある。

言われなければ容易には気付かなかっただろう。

ほとんど気配が存在しない。

ダイスケさんは俺がやる、と言って前に出る。

すると木がみしみしと音を立て始めた。


「動くっす!」


巨木に顔のようなウロが開き、うめき声を上げて地面から離れ出す。


『うぉぉぉぉん』


その前に飛び出たダイスケさんの体が急に膨れ上がった。

身長5mほどだろうか、筋骨隆々とした巨人だ。


「おぉぉぉおおおお!」


ドコーン!


腰を落としたダイスケさんの正拳突きがトレントに突き刺さる。

ダイスケさんはそのままラッシュをかけ、トレントは倒れ込みそうなほどの衝撃を受けていた。


『おろろーーん』


ばきばきと枝や幹がきしみ、ダイスケさんはそのままラッシュをかけ続ける。

そんなダイスケさんの足下に、トレントが伸ばした根っこが槍の用に何本も飛び出してきた。


「フンッ!」


ダイスケさんはそれをバックステップで難なく避け、右のローキックで根っこをけり砕く。

そしてローキックを振り抜いた勢いで体を一回転させ、左の後ろ回し蹴りを叩き込んだ。


『うぉん!』


ドシーンと音を立ててトレントが倒れる。

ダイスケさんはその隙を逃さず、トレントに覆い被さって連打をぶち込んだ。

めきめきと破砕音が響き、トレントの体はどんどん砕かれていく。

そしてしばらく連打が続くと、トレントはぴくりとも動かなくなった。


「やったみたいね」


「うっす」


ヒトに戻ったダイスケさんはトレントの上に立つと、ガサガサと枝葉の中を探った。

そして俺達を呼ぶと、赤い木の実を投げ渡してきた。


「それがトレントの実だ」


「これが錬金術の素材に使えるんすね」


「おう。お前達も持って行け」


「うっす」


メイがいただくわと言ってヒトの鞄に仕舞う。

このインベントリ代わり便利だよなぁ。

そして俺達は次の敵を探す。


「走ってるものの気配を感じるっす」


多分、ビッグボアだろう。

俺達は慎重に森の中を移動する。

すると茶色くでかい物体が遠くに居た。


「居たわ。雪辱をはらしましょう」


「うっす、俺が前に出るっす」


そして俺が前に出て、抜刀してビッグボアに対して大きな声を上げた。


「おーーい!」


すぐにビッグボアはこちらを発見し、蹴爪を蹴立てて突っ込んでくる。

まっすぐにこちらに向かってくる大イノシシ。

衝突の寸前。

今だ!

俺は闘牛士のようにイノシシを躱し、、前転してすれ違いざまに一撃を入れる。


『ブルルゥ!!』


「やぁぁぁ!!」


その前にメイが躍り出た。

何をする気だ。

そしてウンディーネになると、大イノシシの勢いを殺さず、飛び跳ねて顔にしがみついた付いた。


「ぐうぅっ!」


『ゴボボッ!!」


「キエェェエェッッ!」


水の中につっこみ、一瞬動きが止まったイノシシに対し、俺は渾身の力を込めて脛払いを見舞う。

ビッグボアの脚はずばっと切れて、イノシシのは動けなくなったぞ!


「キエェェェエエェェエッッッ!!!」


『ゴボボボッ!!』


そこに俺は容赦のない連撃を繰り出す。

後部を切り裂かれイノシシは苦悶の声を上げる。

だが俺の連撃は止まらない。


「キエェェェェエエエェェェエエェェッッッッ!!!!」


立木に打ち込む様に俺の連撃が続き、いのししの後部はずたずただ。

そしてその攻撃をずっと続ける内に、イノシシはようやく動かなくなった。


「ウンディーネって便利ね……流石水の精霊だわ」


「雪辱ははらしたっすね!」


「そうね」


俺は残心を終えて、剣を納めた。

そして俺はイノシシは前部の皮だけを剥ぐ。

するとダイスケさんがこんな事を言ってくれた。


「こいつの肉は旨いぞ」


そうか、イノシシだからおいしいに決まってる。


「そうね。イノシシだものね。ちょっと食べたいわ」


俺もその意見に賛成だ。

よって肉も一部はぎ取り、メイに持ってもらって疑似インベントリに仕舞ってもらった。

さぁ、探索を続けよう。





その後俺達はさっきと同じ手段で四匹のビッグボアを狩り、後は帰るだけとなった。

しかし気配が道をふさぐ。木の上に居るやつと大きな気配がする奴がいる。


「ジャイアントスパイダーとトロールだな」


そしてダイスケさんは俺がトロールを始末する、と言う。


「了解したっす」


「私たちはジャイアントスパイダーを狩るわ」


そして俺はヌエを試すため変身し、虎の足取りで獲物に近づく。

メイもウンディーネになり、溶けて草むらに隠れ、そろそろと近づいた。


「ッシャァ!」


そして俺が木々の中のジャイアントスパイダーに雷撃を放つ。

その横には巨大な二つの頭を持つ巨人が悠々と歩いている、


『ギィィィ!!』


雷を受けて1mほどの大蜘蛛がぼとりと落ちてきた。

チャンス!

俺がその後も容赦なく電撃を浴びせると、大蜘蛛はなんと麻痺した様に動かない。

その間にもダイスケさんは巨人に変身し、ほぼ同スケールの巨人に驚くほどの素早さでハイキックをお見舞いする。

その一撃が脳震盪を起こしたのか、巨人は膝から崩れ落ちた。

そこにダイスケさんは容赦ない連撃浴びせた。

意外と脆いらしく、次々とトロールの肉片が飛びトロールは倒れる。

マウントを取ったダイスケさんは、顔面をまた容赦なくパウンドした。

そしていつしかトロールは動かなくなり、彼の勝利が確定した。

やはりダイスケさんはすっごい強い。

一方俺達が相手していた蜘蛛はと言うと……

あっさり麻痺して動かなくなり、煙を噴くまで雷撃を浴びせたらたやすく死んでしまった。

相性が良かったのかヌエが強いのか、あっけないものだった。


「なんか簡単におわっちゃったっすね」


「良いんじゃない?楽な方が良いわよ」


そうして俺はジャイアントスパイダーの甲殻を手に入れ、ダイスケさんはトロールの脂肪を手に入れた。

そしてあとは帰るだけだ。

と、思ったところでまた気配があった。

今度は小さい。


「何か居るっす」


「そうなの?じゃあ迂回して進む?」


「いや、敵ならレベリングに倒しても良いんじゃないっすか?」


「うむ」


そうして俺達はその気配に近づいて行く。

そしてその姿を見た俺達は思わず立ち上がった。


「あのドラゴンっす!」


「ほんとだわ。こんな所に居て大丈夫なのかしら」


それは、湖で怪我をしていた赤いドラゴンだった。

ドラゴンは俺達を見つけると、みゅう、と鳴いた。

そして俺達に近寄ってくる。

ダイスケさんは敵か?と聞くので俺は味方っすと答えた。


「みゅうみゅう!」


ドラゴンは鳴きながら近くに寄って来て、俺の脚にすりついた。


「かわいいもんすね」


「そうね。でもこんな所にいたら危ないわ。また怪我しちゃう」


「そっすねー」


俺はドラゴンを撫でる。

そしたら鱗が一枚はがれた。


「あっ」


「うわっ大丈夫っすか!?」


「みゅう」


ドラゴンは平気そうに鳴く。

その鱗はガラス質に透ける真っ赤な物だった。


「大丈夫そうっすね」


「じゃあその鱗もらっちゃいましょ」


「そっすねー。きれいなもんす」


そしてしばらくドラゴンを撫でていると、くぅーと音が聞こえた。


「あれ?おなか空いてるっすか?


「じゃあ何か食べるものは……丁度良いわ、ビッグボアの肉があったわね」


「あー、丁度良い生肉っすね」


そしてメイはヒトになり、肉の一部を切ってドラゴンの前に差し出す。


「ほら、食べる?」


「みゅう!」


ドラゴンはためらいなく肉に齧りつき、あっという間に食べてしまった。


「もうちょっとあげましょ」


「みゅうみゅう!」


メイはもっと肉を切り出し、ドラゴンの前に差し出す。

するとドラゴンは肉を気に入ったようで、どんどん食べていった。


「お肉がなくなっちゃうわね」


「仕方ないっすよ。おなか一杯になるまであげちゃうっす」


「うむ」


ダイスケさんも優しい目でドラゴンを見ている。

そしてドラゴンはなんと肉を食べ尽くしてしまった。

どこにこんなに入るのだろう?


「みゅうみゅう!」


と、思った瞬間、ドラゴンの体が光りだした!


「「「!?」」」


そうしてドラゴンのシルエットはどんどん大きくなり、ついには7m程にまで大きくなる。

そして光が収まったとき、そこには赤い鱗をした立派なドラゴンが鎮座していた。


「……でっかくなっちゃった……」


「なんかすごいことに……」


「うむ……」


次いでドラゴンは優しいうなり声を上げて、首を下に下げてくる。


『クルルル……』


「どういう事かしら」


「乗れと言ってるのではないか」


「送ってくれるんすかね?」


そして俺達がドラゴンの背中に乗ろうとすると、ドラゴンは嫌なそぶりを見せずに俺達を乗せてくれた。

全員が乗ると、ドラゴンは羽ばたき始める。

そしてついには浮かび始めると、急激な加速を始めて木立の間を抜け、森の上空に飛び出した!


「うわっぷ、木が!」


「我慢しなさい!」


次いで龍はばさばさと羽ばたいて前に進む。

かなりのスピードだった。

そうしてあっという間に森を抜けると、はじまりの町の北門につき、ドラゴンは森の入り口に降り立つ。

そして俺達に降りろと促し、俺達が降りるとキュウ、と鳴いてまた飛び立っていった。


「貴重な体験をしたっすね……」


「そうねー」


「うむ」


そして俺達は町に戻ったのだった。


手違いで18話の中に19話が入ってしまっていました……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ