2 崩れていく
二十歳の誕生日付き合ってた彼と別れた。
七歳、離れていた。
社会人の彼が私にはすごく大人に見えて、余裕があって魅力的だった。
大好きだった。
でも弄ばれてた。
それが分かったのが誕生日。
それからの毎日。
大学生。
たった数ヶ月前まで高校生だったのに、急に「大人」って言われるようになって、でも中身は全然追いついてなかった頃。
あの頃の私は、少し壊れてたと思う。
いや。
壊れてたって言うと大袈裟だから、少し拗らせてた、の方が近いかもしれない。
ちゃんと好きだった。
今思うと笑うくらい、ちゃんと。
でも結局、綺麗に遊ばれた。
それだけ。
ありきたりな話。
でも20歳の私は、世界が終わった。
悔しかった。
悲しいより先に、悔しかった。
自分だけ本気だったことも。
相手は普通に生活続けてることも。
私だけ置いていかれたことも。
それから少しおかしくなった。
男遊びを繰り返した。
好きとかじゃなくて。
会って、話して、帰って。
また違う人に会って。
別に楽しくなかった。
でも止まれなかった。
たぶん、何かを取り返したかった。
あの時失ったものを。
その頃から少しずつ気づいてた。
若さって、価値になる。
女って、それだけで武器になる。
嫌でも分かる。
視線とか。
態度とか。
返信速度とか。
世界って思ったより単純だった。
そして、その事実を知った時。
少し安心した自分がいた。
ああ、まだ私には何かあるんだって。
今思えば、復讐だったのかもしれない。
誰へのかは分からない。
遊んだ男かもしれないし。
世界かもしれないし。
自分かもしれない。
ただ一つ確かなのは。
あの頃の私は、自分に価値があるって思いたかった。
だから始まりは、お金じゃなかった。
好奇心だった。
いや、多分嘘。
好奇心八割。
残り二割は、傷ついた自分への証明。
通知はすぐ来た。
少し笑った。
少し怖かった。
でも、それ以上にワクワクしてた。
新しい世界の入口を見つけた子どもみたいに。
初めての待ち合わせ今でも覚えてる。




