第99話 次の目的地
神々の国から戻った悠真。
出雲大社と厳島神社の石版を手に入れる条件は、謎の人物ゼラモードを見つけることでした。
今回は仲間たちへの報告と、次の目的地へ向けた準備回です。
神々の国から戻った悠真は、王都の空を見上げた。
空は変わらない。
だが、胸の中には新しい課題が増えていた。
カンジンとベンジンが持つ二枚の石版。
出雲大社と厳島神社。
だが、それを手に入れる条件は簡単ではなかった。
ゼラモードを見つけること。
それが双子神から提示された条件だった。
「まいったな……」
悠真は苦笑する。
会ったこともない人物を探せと言われても困る。
だが、手掛かりがまったくないわけではない。
ゼラモードは地球へ行ったことがある。
いや、今も地球にいる可能性が高い。
ならば探す場所は決まっていた。
「まずはみんなに話すか」
悠真は足を進めた。
向かう先はガイオの屋敷だった。
屋敷へ戻ると、玄関を開けた瞬間に声が飛んできた。
「悠真さん!」
ララだった。
かなり慌てた様子で駆け寄ってくる。
「急にいなくなるからびっくりしたんだから!」
「あー……悪い」
「悪いじゃありません!」
頬を膨らませるララ。
その後ろからレオンとリズも姿を見せた。
「無事だったようだな」
レオンが言う。
「少しは心配してくれたのか?」
「少しな」
レオンは肩をすくめた。
「神々の国へ行ったのだろうとは思っていたからな」
「やっぱり分かってた」
「お前なら行きそうだからな」
「それで済ませるなよ」
悠真は苦笑する。
だが、こうして迎えてくれる仲間がいるのはありがたかった。
リズもほっとしたように笑った。
「でも、本当に良かった戻ってきてくれて」
「なんとか無事帰れた」
ガイオも奥から現れる。
「何かわかったのか?」
「それを今から話そうと思ってた」
一同は応接室へ移動した。
全員が席についたところで、悠真は神々の国で起きたことを説明し始めた。
カンジンとベンジン。
出雲大社と厳島神社。
そしてゼラモードという人物。
話が進むにつれて、全員の表情が真剣になっていく。
「つまり」
レオンが腕を組んだ。
「石版は二枚見つかった」
「ああ」
「だが、手に入れるにはゼラモードを見つけなければならない」
「そういうことだ」
しばらく沈黙が流れる。
ガイオが唸った。
「そのゼラモードという人物はどこにいるんだ?」
「それが分からない」
「探せと言われてもな」
「俺もそう思う」
悠真は肩を落とした。
リズが口を開く。
「でも地球にいる可能性が高いんですよね?」
「ああ」
「なら地球で探すしかありませんね」
それしかなかった。
悠真は頷く。
「そのつもりだ」
ララが少し身を乗り出した。
「また地球へ行くんですね」
「ああ」
ララは一度だけ地球へ行ったことがある。
レオンとリズは何度も訪れている。
だから今さら驚く者はいない。
「ただ今回は長くなるかもしれない」
悠真がそう言うと、レオンが眉を上げた。
「長く?」
「人探しだからな」
悠真は続ける。
「すぐ見つかる保証がない」
「確かにな」
「それに地球とこっちじゃ時間の流れが違う」
リズが小さく頷く。
全員知っている話だった。
「地球の一日が、こっちでは二十四日だ」
「改めて聞くとすごいな」
レオンが苦笑した。
「だから俺一人で行くより、みんなで行った方が待ち時間がなくていいと思ってる」
「私たちもですか?」
ララが聞く。
「ああ」
「賛成です」
即答だった。
ララは嬉しそうに言う。
「待つより一緒の方がいいし」
リズも頷いた。
「私も手伝うよ」
レオンも反対しなかった。
「どうせ巻き込まれるんだろう」
「否定できない」
全員が少し笑う。
空気が和らいだ。
だが、話はまだ終わりではない。
「もう一つある」
悠真が言うと、一同が視線を向けた。
「モーガントから頼まれたことだ」
「頼み事?」
ガイオが首を傾げる。
「王家と話がしたいらしい」
その言葉に全員が驚いた。
「神が王家と?」
レオンが聞き返した。
「ああ」
「何のために?」
「食料の件だ」
悠真は神々の国で聞いた話を説明した。
神々の国では食料を作れないこと。
人間界から得ていること。
そして今はそれが上手くいっていないこと。
「なるほどな……」
ガイオが頷く。
「だが、なぜ王家なんだ?」
「昔は関係があったらしい」
「らしい?」
「詳しいことは俺も知らない」
それは事実だった。
悠真自身もまだ断片的な情報しか持っていない。
「ただ、モーガントは王と話したがってる」
そこで悠真は一人の顔を思い浮かべた。
「だからローディアスに頼もうと思ってる」
「騎士団長か」
レオンが言った。
「もう戻ってるかな」
娘を救った恩がある。
それに今のローディアスなら、話を聞いてくれるはずだった。
「王に取り次いでもらうのか」
「そのつもりだ」
「上手くいくと思うか?」
「分からない」
悠真は正直に答えた。
「でも、やる価値はあると思う」
神々と王家。
途切れた何かを繋ぐ機会になるかもしれない。
もしそれが実現すれば、モーガントにとっても大きな意味があるはずだった。
「それと」
悠真は続けた。
「三種の神器も、もう少し借りることになる」
「返さないのか?」
レオンが笑う。
「返したいんだけどな」
悠真も苦笑した。
「まだ神々の国へ行くことになりそうだから」
「確かに必要だな」
神器がなければ、神々との交渉は難しい。
今後も手放せないだろう。
話し合いが終わる頃には、外はすっかり昼になっていた。
窓から差し込む光が部屋を明るく照らしている。
悠真は椅子にもたれた。
やることは決まった。
まずはローディアス。
その後、地球。
そしてゼラモード探し。
簡単な旅にはならないだろう。
だが、立ち止まる理由もなかった。
「忙しくなりそうだな」
悠真が呟く。
レオンが笑った。
「今さらだろ」
「だな」
悠真も笑う。
石版の謎は少しずつ形になってきている。
その先に待つのが何なのかは分からない。
だが確実に、一歩ずつ近づいていた。
まずはローディアスに会いに行こう。
そう決めると、悠真は静かに立ち上がった。
第99話を読んでいただきありがとうございます。
石版の謎を追う中で、新たな目標となったゼラモード探し。
そしてモーガントから託された王家との話し合い。
次回はローディアスを訪ね、王家へ話を通してもらうために動き出します。
引き続き応援していただけると嬉しいです。




