表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
75/101

第75話「選ばれる者」

第75話です。


今回はローディアスの戦闘回になります。


これまであまり描かれてこなかった“元騎士団の英雄”としての実力、

そしてこの世界の常識が通じない相手との戦い。


空を飛ぶ存在。

見たことのない敵。


その中で、どう戦うのか。


単なる力ではなく、経験と読みで勝つ戦いに注目していただければと思います。


また、相手である天使側にも事情があります。

“負けられない理由”がある戦いです。


そのぶつかり合いも含めて楽しんでいただければ嬉しいです。

白い空間だった。上下も左右も曖昧な、境界のない場所。だが足の裏の感触だけは確かにある。ローディアスはゆっくりと周囲を見渡した。


「……異空間か」


 その瞬間、気配が現れた。


 前方。音もなく現れたそれを見て、ローディアスはわずかに目を細める。


 背に白い羽。


 宙に浮いている。


「……なんだ、あれは」


 見たことがない。だが、迷いはなかった。


 強い。


 次の瞬間、天使は消えた。


 上。


 斬撃が落ちる。


 ローディアスは咄嗟に体を捻る。刃がかすめる。遅れて空気が裂ける音が響く。


「……空から来るか」


 立ち上がる。視線を上げる。


 天使は静かに浮いている。羽ばたきもない。ただ、そこにいる。


 再び消える。


 今度は横。


 速い。


 剣を合わせる。衝撃が腕に食い込む。押し返される。


「……っ」


 体勢を崩しながらも踏みとどまる。


 相手はすぐに距離を取る。そしてまた空へ。


 間合いを支配されている。


 降ってくる斬撃。


 避ける。だが追撃が速い。二撃、三撃と連続で来る。浅く切られる。


 血が滲む。


「……」


 ローディアスは止まらない。避けながら見ている。


 飛び方。止まり方。攻撃の前のわずかな“間”。


 そして――降りる瞬間。


「我らは負けられない」


 天使が初めて口を開いた。


 低い声。


「契約だからな」


 それだけだった。


 だが、重い。


 ローディアスは小さく笑う。


「……そうか」


「なら、遠慮はいらんな」


 踏み込む。


 速度を上げる。


 だが届かない。相手の方が速い。視界から消える。斬撃が走る。


 かすめる。血が増える。


「……速いな」


 呟く。


 だが視線は冷静だった。


 もう見えている。


 三度目の攻撃。


 あえて受ける。剣で受け止める。


 衝撃。


 重い。


 だが――そのまま見る。


 相手が一瞬だけ“止まる”。


 完全ではない。だが、確かに鈍る。


「……そこか」


 距離を取る。呼吸を整える。


 ポケットに手を入れる。一枚のカード。


「少し借りるぞ」


 発動。


 一瞬、世界が変わる。


 動きが遅く見える。視界が広がる。


 天使が動く。


 上から来る。


 ローディアスは動かない。引きつける。


 そして――踏み込む。


 地面を蹴る。同時に一瞬の加速。


 空へ。


 ほんのわずかだが、高さを得る。


 天使の止まる瞬間へ。


「捉えた」


 一閃。


 刃が通る。


 だが――


 浅い。


 天使は崩れない。


 距離を取る。再び空へ。


「……しぶといな」


 ローディアスが呟く。


 呼吸が荒い。カードの効果も切れる。


 天使は構える。


 だが、さっきとは違う。


 動きに“乱れ”がある。


 傷が効いている。


 それでも――来る。


「我らは……負けられない」


 声がわずかに揺れる。


「そういう契約だ」


 再び言う。


 今度は重い。


 覚悟ではない。


 縛りだ。


 天使が突っ込む。


 速い。だが雑になっている。


 ローディアスは動かない。


 最後の瞬間。


 半歩ずれる。


 斬撃を外す。


 そのまま踏み込む。


 地上。


 天使が着地する。


 一瞬。


 ほんの一瞬の隙。


 だが、足りる。


「終わりだ」


 踏み込み。


 一閃。


 深い。


 天使の動きが止まる。


 羽が震える。


 それでも、まだ倒れない。


 剣を握る。


 踏み出す。


 最後の一撃。


 来る。


「……っ!」


 ローディアスはわずかに目を細める。


 そして。


 迎え撃つ。


 交差。


 音が消える。


 次の瞬間――


 天使の剣が、止まっていた。


 ローディアスの剣が、先に届いていた。


 静止。


 そして。


 天使の体が、光に変わる。


 崩れる。


 消える。


 完全に。


 静寂が戻る。


 ローディアスは剣を下ろさない。


 息を整える。


「……初見殺しか」


 小さく呟く。


 飛べる敵。それだけで戦いは別物になる。


「ほう」


 声が響く。


「やるな」


 軽い声。


「まさか一人目を越えるとは」


 ローディアスは視線を上げる。


「……見ているのか」


「当然だ」


 愉しげな声。


「ローディアス」


 一瞬、空気が変わる。


「騎士団の元英雄」


 完全に知られている。


「……当たりだな」


 笑う気配。


 ローディアスは何も言わない。ただ構えを崩さない。


「壊すには惜しい」


 その一言。


「だが、試練は終わらん」


 空間が歪む。


「次だ」


 ローディアスは剣を握り直す。


 呼吸は荒い。


 だが、目は死んでいない。


「……上等だ」


 短く言う。


 まだ終わらない。


 むしろ――ここからだ。

第75話を読んでいただきありがとうございます。


今回は一戦目ということもあり、

ローディアスの“戦い方”を中心に描いています。


飛べる相手に対して、地上からどう対抗するか。

その中でスキルカードをどう使うのか。


このあたりがポイントになっています。


また、天使側もただの敵ではなく、

契約によって縛られている存在として描いています。


「負けられない」ではなく、

「負けてはいけない」戦い。


その違いが少しでも伝わっていれば嬉しいです。


そしてローディアス。


やはりこの男は強い。

ですが、余裕があるわけではありません。


むしろギリギリで勝っている。

だからこそ、次の戦いがどうなるのか。


さらに厳しくなるのは間違いありません。


次回は第二戦。


戦い方も、相手も変わります。

ここからさらに難易度が上がっていきます。


引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ