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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第4話 はじめての投資

第4話です。


今回は、主人公が初めて“金を使う”選択をし、

さらに“自分で価値を生み出す”ことに踏み込む回になります。


この世界では、

買うことも強さですが、

生み出すこともまた強さになります。


その最初の一歩を描いています。

朝。


目が覚めたとき、最初に感じたのは――腹の違和感だった。


「……まずい」


昨日の飯を思い出す。


肉は硬く、スープは雑。


食えないわけじゃないが、うまいとは言えない。


「……あれで金取るのかよ」


ベッドの上で呟く。


金を払って、あの味。


どう考えても釣り合っていない。


ふと、頭に浮かぶ。


「……俺のほうが、うまいもん作れるな」


当たり前のように思えた。


特別な料理じゃない。


日本で普通に食べていたもの。


それだけで、この世界よりは上だ。


起き上がる。


顔を洗い、下に降りるとリズがいた。


「遅い」


「普通だろ」


軽く言い返す。


「で、今日はどうする」


リズが聞いてくる。


悠真は少し考えてから言った。


「外に行く」


「まあ、それはそうだけど」


「その前に」


少し間を置く。


「スキル、見たい」


リズが眉を上げる。


「へえ」


少しだけ興味を持ったような顔。


「いいよ。案内する」


二人で街を歩く。


やがて、他の店とは少し雰囲気の違う場所に入った。


中は静かだった。


棚に並ぶ、無数のカード。


「ここがスキルショップ」


リズが言う。


悠真は一枚を手に取る。


そこには見たことのない文字と模様。


「使い切りと無制限がある」


リズが説明する。


「無制限は高い。バカみたいに」


「じゃあ使い切りは」


「安いけど一回だけ」


シンプルだ。


悠真は棚を見ていく。


攻撃系。


補助系。


逃走系。


色々ある。


その中で、ふと目が止まる。


一枚のカード。


「……これ」


リズが覗き込む。


「バリア」


短く言う。


「一回だけ、攻撃防ぐやつ」


値段を見る。


百マニー。


「……高いな」


正直な感想だった。


リズは肩をすくめる。


「命より安い」


その一言で、重さが変わる。


悠真はカードを見る。


戦えない自分。


だが、これがあれば。


一回だけでも、防げる。


「……買う」


決めた。


金を出す。


カードを受け取る。


手の中に収まる一枚。


それだけで、少しだけ安心感があった。


店を出る。


「珍しいね」


リズが言う。


「何が」


「最初にそれ買うやつ」


「そうなのか」


「普通は武器とか」


悠真はカードをポケットに入れる。


「俺は普通じゃないからな」


リズは少しだけ笑った。


「まあ、見てて分かる」


そのまま街を出る。


外の空気。


昨日より少しだけ落ち着いている。


「で?」


リズが聞く。


「何する」


悠真は周囲を見る。


森、川、草地。


そして言った。


「食材集める」


「は?」


リズが素で聞き返す。


「飯、まずいだろ」


「……まあ」


否定はしない。


「なら、自分でやる」


シンプルな答えだった。


リズは数秒黙ってから、笑った。


「いいね、それ」


二人で川へ向かう。


水は澄んでいた。


中を覗くと、小さな魚が見える。


「これ、いけるな」


「捕れるの?」


「やる」


即答だった。


枝を拾い、即席の道具を作る。


試行錯誤しながら、水に入る。


最初は逃げられる。


だが、動きを読む。


位置を変える。


タイミングを合わせる。


バシャッ


「……取った」


一匹。


小さいが、確かに魚。


リズが少し驚いた顔をする。


「やるじゃん」


そのまま数匹捕まえる。


さらに、途中で弱い魔物も出た。


リズが処理する。


素材も回収。


一石二鳥だった。


「こんなもんか」


袋の中を見る。


魚、少し。


素材、そこそこ。


「帰るか」


街に戻る。


そのまま宿へ。


「……で?」


リズが聞く。


悠真は言った。


「厨房、借りる」


宿の主人に交渉する。


少し金を払うことで許可が出た。


中に入る。


調理場。


最低限の設備。


「……あるな」


塩。


それだけは分かった。


あとは見たことないものばかり。


だが、問題ない。


魚を処理する。


内臓を取り、洗う。


塩を振る。


火にかける。


ジュウ、と音がする。


香ばしい匂いが広がる。


リズが鼻をひくつかせる。


「……なんか、いい匂い」


やがて、焼き上がる。


皿に乗せる。


「ほら」


リズに渡す。


「食ってみ」


リズは少し警戒しながら、一口。


その瞬間。


動きが止まる。


「……は?」


もう一口。


さらに一口。


「……なにこれ」


信じられない、という顔。


「うまいのか」


聞くと、リズは即答した。


「うまい」


はっきりと。


「めちゃくちゃうまい」


驚きがそのまま出ている。


「ただの塩焼きだぞ」


悠真は普通に言う。


だが、リズは首を振る。


「こんなの初めて食った」


真顔だった。


その言葉で、確信する。


「……これ」


小さく呟く。


リズが見る。


悠真は言った。


「売れるな」


リズは一瞬だけ黙って。


そして、ニヤッと笑った。


「やっと分かってきたじゃん」


金の匂いがした。


はっきりと。


第4話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、

・スキルカードという「金で得る力」

・料理という「自分で作る価値」

この二つを描いています。


そして何より、

「これは売れる」という気づきが、今後の大きな流れに繋がっていきます。


次回は、実際に売ることで

この世界の“金の動き”が一気に加速していきます。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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