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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第37話 ボーナスステージ、悪魔討伐

第37話です。


チャンピオン大会優勝の余韻も冷めない中、

レオン・グラディウスに与えられた最後の試練――ボーナスステージ。


相手は、これまでとは次元の違う存在。


そして勝利の先には、黄金殿の石版が待っています。

闘技場の熱狂は、まだ終わっていなかった。


レオン・グラディウスの優勝。


その余韻に包まれながら、観客たちは立ち去るどころか、むしろ席へ戻り始めていた。


ざわめきが広がる。


「まさか……やるのか?」


「ボーナスステージか?」


「久しぶりじゃないか!」


悠真が周囲を見回す。


「なんだ?」


リズが興奮気味に答える。


「みんな帰らない……」


ララが説明した。


「優勝者だけに与えられる特別挑戦」


「滅多に挑む人がいないの」


「危険すぎるから」


その時、司会者の男が中央へ現れた。


声を張り上げる。


「皆様、お待たせしました!」


「本日の優勝者、レオン・グラディウスに――」


「ボーナスステージ挑戦権が与えられます!」


歓声が爆発する。


「挑戦しますか!?」


観客の視線が一斉にレオンへ向いた。


レオンは少しも迷わなかった。


「やる」


さらに歓声。


悠真は苦笑する。


「即答かよ」


リズも笑う。


「らしいね」


ララだけは真剣だった。


「気をつけて」


「普通の相手じゃない」


レオンは肩を回す。


「強いんだろ?」


「ちょうどいい」


司会者が続ける。


「この試練を越えた者には!」


「主催者側が可能な範囲で、望む褒美を与えます!」


悠真が小さく拳を握る。


「……石版、取れるかもしれない」


ララも静かに頷いた。



闘技場中央の床が開いた。


重い鎖の音。


地下から鉄格子付きの巨大な檻がせり上がってくる。


空気が変わった。


生暖かく、嫌な臭いが漂う。


リズが顔をしかめる。


「……なにこれ」


ララの表情も険しい。


「魔力の臭い……」


檻の中で、何かが動いた。


赤い目が二つ。


次の瞬間、鉄格子が内側から吹き飛んだ。


現れたのは、黒紫の巨体。


二本の角。


背中には蝙蝠のような翼。


鋭い爪。


口元から紫色の炎が漏れている。


司会者が叫ぶ。


「地獄の闘獣!」


「ヴァルディアブル!!」


観客席が悲鳴と歓声に包まれた。


悠真が息を呑む。


「……でかい」


レオンの倍近い体格。


ただ立っているだけで圧迫感があった。


ヴァルディアブルは首を鳴らし、レオンを見る。


そして笑った。


「……人間か」


低く濁った声だった。


悠真が目を見開く。


「しゃべった!?」


ララが頷く。


「上位悪魔種……知能が高い」


レオンは剣を構える。


「会話できるなら助かる」


「手加減いらねえな」


開始の鐘。


同時にヴァルディアブルが消えた。


「は!?」


悠真が声を上げる。


速い。


巨体とは思えない速度でレオンの前へ現れる。


爪が振り下ろされる。


レオンは大剣で受けた。


だが吹き飛ばされる。


地面を滑り、砂煙が舞う。


「レオン!」


リズが叫ぶ。


レオンはすぐ立ち上がる。


口元をぬぐう。


「……いいな」


笑っていた。


次はレオンが動く。


加速。


身体強化五十倍。


一気に距離を詰め、大剣を横薙ぎに振るう。


だがヴァルディアブルは片腕で受け止めた。


金属音のような音が響く。


「硬っ……!」


悠真が叫ぶ。


悪魔が口を開く。


紫炎。


一直線に放たれた炎が闘技場を焼く。


レオンは横へ飛ぶ。


炎が床を溶かした。


「魔法まで使うのかよ!」


悠真が叫ぶ。


ララも険しい顔だ。


「普通の相手じゃない……」


レオンは距離を取り、鑑定カードを使う。


一瞬、目が細くなる。


「なるほど」


「再生持ちか」


切っても治る。


ただ削るだけでは勝てない。


ヴァルディアブルが笑う。


「見抜いたか」


「だが遅い」


再び突進。


レオンは分身カードを使う。


三人になる。


三方向から同時攻撃。


ヴァルディアブルは一体を掴み潰す。


偽物。


その瞬間、本体が背後へ回った。


大剣が首筋へ叩き込まれる。


鈍い音。


悪魔が膝をつく。


だが傷が塞がっていく。


「面倒だな」


レオンが舌打ちする。


ララが立ち上がった。


「核!」


「胸の中心に魔核がある!」


レオンが笑う。


「最初から言え」


再び加速。


ヴァルディアブルも炎を放つ。


だがレオンは止まらない。


炎の中を突っ切る。


バリアカード展開。


一瞬だけ炎を耐え、そのまま懐へ。


「終わりだ」


全身の力を乗せた突き。


大剣が悪魔の胸を貫いた。


紫の光が砕け散る。


ヴァルディアブルの目から力が消える。


巨体が崩れ落ちた。


沈黙。


そして次の瞬間。


闘技場全体が揺れるほどの歓声が爆発した。


「勝者!」


「レオン・グラディウス!!」


悠真が拳を握る。


「やった!」


リズも飛び跳ねる。


「すごい!」


ララは胸を押さえていた。


(……やっぱり、すごい)


顔が赤い。


誰にも気づかれないよう、そっと座り直した。



司会者が中央へ降りる。


「見事です!」


「望む褒美をお聞かせください!」


金貨。


屋敷。


称号。


誰もがそう思っていた。


レオンは迷わず言った。


「黄金殿に飾ってある石版」


場内が静まり返る。


司会者が目を丸くする。


「……石版?」


「本当にそれで?」


「金でも名誉でもなく?」


レオンは肩をすくめる。


「それでいい」


主催者席ではざわめきが起きていた。


やがて代表者が立ち上がる。


「……あれは古い飾り物」


「由来も分からぬ珍品です」


「まさかそれを望むとは」


少し間を置き、しぶしぶ頷く。


「よろしい」


「優勝者の願いとして、石版を授けます」


悠真たちは顔を見合わせる。


ついに。


三枚目の石版が手に入る。


だがその時、ララの表情だけが少し曇っていた。


「……早すぎる」


悠真が聞き返す。


「え?」


ララは黄金殿の方角を見つめていた。


「石版が、こんな簡単に動くなんて……」


その言葉の意味を、まだ誰も知らなかった。

第37話を読んでいただきありがとうございます。


今回は大会後の特別戦、ボーナスステージを描きました。


相手となったヴァルディアブルは、


・高い知能

・圧倒的な身体能力

・魔法攻撃

・再生能力


を兼ね備えた、かなり厄介な強敵です。


これまでの人間相手の試合とは違い、

純粋な戦闘能力だけでは押し切れない相手として登場させました。


そこでレオンは、


・鑑定で能力を見抜く

・弱点を探す

・最短で核を破壊する


という冷静な戦い方で勝利しています。


レオンは豪快に見えて、

実際はかなり頭を使って戦える人物です。


そして何より大きいのは、報酬の選択。


普通なら金や名誉を望む場面で、

迷わず石版を選びました。


ここでレオンが、

ただ強いだけではなく仲間の目的を理解して動ける男だと伝わる回でもあります。


結果として、ついに三枚目の石版が目前となりました。


富士山。

東京タワー。

そして黄金殿(金閣寺)。


物語の核心へ、少しずつ近づいています。


ただしラストでララが違和感を口にしました。


“簡単に動きすぎている”


この一言は、今後かなり重要になっていきます。


次回は黄金殿で石版受け取り、

そして新たな旅路への準備が始まります。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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