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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第36話 黒鎧の正体と、勝つための一手

第36話です。


決勝戦、ついに決着。


黒鎧の戦士ロー・カイザーの正体、

そしてレオン・グラディウスがどう勝つのかが描かれます。


力だけでは届かない相手に、

レオンが選んだ戦い方とは――。

闘技場の中央。


決勝戦は、想像以上の激戦になっていた。


レオン・グラディウス。


ここまで圧倒的な強さで勝ち進んできた男が、初めて明確に押されている。


剣と剣がぶつかる。


重い衝撃音。


レオンが後ろへ跳び、間合いを取る。


肩で息をしていた。


「……やばいな」


観客席で悠真が呟く。


「レオンが押されてる」


リズも真剣な顔だった。


「でも、さっき何か分かった顔してたよね」


その視線の先。


レオンは黒鎧の男を睨んでいた。


ロー・カイザー。


だが、その名は偽りだった。


鑑定カードで表示された情報。


能力値――AAA。


そして名前欄に浮かんだ、別の名。


レオンが小さく笑う。


「やっぱりな」


黒鎧の男は無言。


レオンが剣を肩に担ぎ、声を張る。


「王都グランセルの元騎士団、防衛隊長」


観客席がざわつく。


王都グランセル。


この大陸最大の都市国家。


多くの上級魔道士と騎士が集う中心地。


その名を知らぬ者はいない。


「まさか……」


リズが目を見開く。


悠真が聞き返す。


「そんなにすごいのか?」


「すごいなんてもんじゃないよ」


ララが答えた。


「王都グランセル騎士団、防衛隊長といえば英雄級」


「街を一人で守れるって言われる存在」


レオンが続ける。


「顔を隠してるのは、バレりゃ騒ぎになるからだろ」


「なあ――」


黒鎧の奥を見据える。


「ローディアス隊長」


その瞬間。


ロー・カイザーの動きが、わずかに止まった。


観客席がどよめく。


悠真が立ち上がる。


「反応した……!」


レオンの読みは当たりだった。


黒鎧の男――本名ローディアス。


かつて王都グランセルを守った最強の盾。


そして、レオンが若い頃に所属していた騎士団の上官でもあった。


「……なるほど」


悠真が呟く。


「そりゃ強いわけだ」


ローディアスは低い声で初めて口を開いた。


「……余計なことを」


重い声だった。


レオンは笑う。


「久しぶりだな、隊長」


次の瞬間。


ローディアスが動く。


さっきまで以上に速い。


黒剣が振り下ろされる。


レオンは受けるが、吹き飛ばされた。


地面を転がる。


口元から血が流れる。


「レオン!」


リズが叫ぶ。


悠真も拳を握る。


だがレオンは立ち上がる。


まだ笑っていた。


「相変わらず、バカみてえに強ぇな」


ローディアスは無言。


再び迫る。


剣撃。


斬撃。


リフレクト。


隙がない。


まともに打ち合えば勝てない。


レオンもそれを理解していた。


だからこそ。


勝ち方を変える。


「身体強化五十倍」


「加速」


光が走る。


レオンの姿が消える。


観客席がどよめく。


「速い!」


悠真が叫ぶ。


だが、ローディアスも対応する。


剣で受ける。


ならばもう一段階。


レオンが分身カードを発動。


三人になる。


三方向から同時に攻める。


ローディアスは本体を見抜き、剣を振るう。


その瞬間だった。


レオンの狙いは攻撃ではなかった。


足元。


鎧の重さ。


可動域。


一瞬の踏み込みの癖。


そこへ全力の体当たり。


ローディアスの重心が崩れる。


「っ……!」


わずかに膝が浮く。


レオンはその隙に背後へ回る。


耳元で囁いた。


「隊長」


「なんで王都を捨てた」


ローディアスの動きが止まる。


ほんの一瞬。


だが、それで十分だった。


レオンの剣が鎧の継ぎ目へ滑り込む。


肩口。


浅いが確かな一撃。


ローディアスがよろめく。


さらに追撃。


足払い。


転倒。


黒剣が手から離れる。


レオンの大剣が首元で止まった。


静寂。


誰も動けない。


そして次の瞬間。


爆発的な歓声が闘技場を揺らした。


「勝者!」


「レオン・グラディウス!」


悠真は思わず息を吐いた。


「……勝った」


リズも目を潤ませている。


「すごい……」


ララは静かに笑った。


「まともにやったら勝てなかった」


「でも、勝つ方法を選んだ」


レオンらしい勝ち方だった。


ローディアスは地面に座ったまま、小さく笑った。


「……成長したな」


レオンも剣を下ろす。


「隊長、重すぎるんだよ、その鎧」


ローディアスは立ち上がる。


「顔を隠すには、都合がいい」


そう言って去ろうとする。


レオンが背中へ声を投げた。


「また会おうぜ」


ローディアスは振り返らない。


ただ一言だけ返した。


「……次は、容赦せん」


黒鎧の背が去っていく。


司会の男が叫ぶ。


「優勝者、レオン・グラディウス!」


「そして――ボーナスステージ挑戦権獲得!」


観客席が再び沸く。


悠真はレオンを見つめる。


ここからだ。


黄金殿の石版。


ようやく、手が届く。

第36話を読んでいただきありがとうございます。


今回は決勝戦の決着回でした。


ロー・カイザーの正体は、

王都グランセル元騎士団・防衛隊長ローディアス。


能力評価AAAという、

この世界でも最高峰クラスの実力者です。


ここで大事なのは、

レオンが“真正面から上回って勝った”わけではないことです。


まともに打ち合えば不利。


だからこそ、


・相手の癖を見る

・鎧の重さを利用する

・心理的な揺さぶりをかける

・一瞬の隙を逃さない


という頭脳戦で勝ちにいきました。


レオンは豪快に見えて、

実はかなり冷静に戦える男です。


この勝利によって、


・強さ

・経験

・判断力


その三つが揃ったキャラとして描けたと思います。


また、ローディアスもただ負けるだけではなく、

格を落とさず去る形にしています。


そして何より大きいのはラスト。


レオン・グラディウスが優勝し、

ついにボーナスステージ挑戦権を手に入れました。


目的はもちろん、黄金殿の石版。


次回は新たな強敵との戦い、

そして石版獲得へ物語が進みます。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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