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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第35話 石版の話と、決勝戦の幕開け

第35話です。


決勝戦の前に、ララ・フェルシアから石版について新たな情報が語られます。


そしてついに始まる、チャンピオン大会決勝。


レオン・グラディウスとロー・カイザー。

最強同士の激突です。

闘技場の休憩時間。


観客たちが一斉に動き出し、通路や売店は大混雑していた。


悠真たちは場内にある食堂へ入っていた。


大会の日だけあって席はほぼ埋まっている。


なんとか四人掛けの席を確保し、そこへララも自然に座っていた。


「……すごい人だな」


悠真が周囲を見ながら言う。


「これだけ入れば儲かるよね」


リズが現実的なことを言う。


レオンは出された料理を一口食べると、眉をひそめた。


「……イマイチだな」


ララが思わず笑う。


「こんな時でもそれ言うのね」


「事実だろ」


レオンは平然としていた。


「味が雑だ」


悠真も少し食べて頷く。


「たしかに」


「忙しい日に回転重視って感じだな」


リズが笑う。


「職業病だね、みんな」


少し和んだ空気の中、ララが表情を引き締めた。


「……それで、本題なんだけど」


悠真たちも姿勢を正す。


ララは周囲を一度確認し、声を落とした。


「黄金殿にある石版」


「私、それが目当てでこの街に来たの」


悠真とリズが顔を見合わせる。


やはりそうか、という反応だった。


「やっぱりな」


悠真が言う。


「知ってるのか?」


ララは頷いた。


「私の国では、その石版の研究が進められているの」


「私の国……」


少し誇らしげに胸を張る。


「魔法国家アストリア」


リズが目を丸くする。


「魔法の国って、本当にそういう名前なんだ」


ララが少し呆れた顔になる。


「通称よ」


「正式にはもっと長いけど、面倒だから皆そう呼ぶの」


悠真が聞く。


「もしかして、その国に石版があるってこと?」


「二枚」


ララは指を二本立てる。


「厳重に保管されてるの」


「でも、まだ何も分かっていない」


「絵に描かれているものも、誰も知らない景色ばかり」


悠真の胸が少し高鳴る。


富士山。


東京タワー。


この世界の人間が知らないのも当然だ。


「どうしても気になるの」


ララは真剣な目で言う。


「黄金殿の石版も調べたい」


「でも、結界が張られていて近づけない」


悠真は深く頷いた。


「俺たちも見に行った」


「無理だった」


レオンが腕を組む。


「じゃあ取れねえのか」


ララは首を横に振る。


「方法はある」


三人の視線が集まる。


「この大会の優勝者には、ボーナスステージへの挑戦権が与えられるの」


「そこで勝てば、主催者側が一つ願いを叶えてくれる」


リズが驚く。


「そんなのあるの?」


「ええ」


ララは頷く。


「もちろんできる範囲で、だけど」


「お金でも、権利でも、珍品でも」


悠真が前のめりになる。


「……石版も?」


「可能性は高いと思う」


ララが言う。


「だから私は優勝を狙ってた」


少しだけ悔しそうに目を伏せる。


「でも負けた」


そして視線をレオンへ向けた。


「だから……」


「レオンさんなら優勝できるかもしれないって思って、声をかけたの」


一呼吸置く。


「……まあ、それだけじゃないけど」


最後だけ小さな声だった。


リズがにやっとする。


悠真は気づかない。


「なるほどな」


真面目に頷いている。


リズは心の中でため息をついた。


(この人も鈍い……)


レオンは料理を食べ終え、水を飲んでから一言だけ言った。


「任せろ」


ララの顔が少し赤くなる。


「……うん」


その返事も小さかった。



一時間後。


闘技場は再び満員となっていた。


先ほど以上の熱気。


決勝戦。


誰もがその瞬間を待っていた。


司会の男が叫ぶ。


「チャンピオン大会、決勝戦!」


「レオン・グラディウス!」


大歓声。


「対するは!」


「黒き鎧の戦士!」


「ロー・カイザー!」


今度は歓声より、どよめきだった。


異質な存在感。


観客もその強さを見せつけられている。


中央へ進む二人。


レオンはいつも通り自然体。


ロー・カイザーは無言。


剣を携えたまま立っている。


開始の鐘が鳴った。


同時に、二人が動く。


速い。


一瞬で間合いが消える。


剣と剣がぶつかった。


凄まじい衝撃音。


砂が舞い上がる。


「……やばい」


悠真が呟く。


今までの試合とは次元が違った。


レオンの加速。


ローの対応。


互いに一歩も引かない。


斬撃。


受け流し。


踏み込み。


反撃。


一手ごとに観客席が揺れる。


「すごい……」


リズが息を呑む。


ララも真剣な目で見つめていた。


レオンが分身カードを使う。


三方向から同時攻撃。


だがロー・カイザーは迷わず本体を見抜き、防いだ。


レオンが初めて舌打ちする。


「チッ」


さらに身体強化。


速度が上がる。


だがローも同じだった。


ぶつかるたび、闘技場の床が削れていく。


「……レオン、苦戦してる」


悠真が言う。


これまで見せなかった表情。


本気の顔だった。


その時。


レオンの目が鋭く光る。


鑑定カード。


相手の情報を読む。


そして、一瞬だけ動きが止まった。


「……なるほどな」


低く呟く。


口元に笑みが浮かぶ。


「どうりで強ぇわけだ」


悠真が立ち上がる。


「レオンどうしたんだ……?」


レオンは剣を構え直す。


ロー・カイザーは無言のまま、こちらを見ていた。


闘技場の空気がさらに重くなる。


決勝戦は、まだ終わらない。

第35話を読んでいただきありがとうございます。


今回は前半で、石版に関する重要な情報が明かされました。


ララの故郷である魔法国家アストリアでは、

すでに二枚の石版が保管され、研究されていることが判明しました。


つまり石版は、悠真たちだけが追っている謎ではなく、

国家規模で価値を感じている存在ということになります。


また、黄金殿の石版を手に入れる現実的な方法として、

大会優勝者だけに与えられる“ボーナスステージ”も登場しました。


ここで物語の目的が明確になりました。


・大会に勝つ

・石版を手に入れる

・謎に近づく


かなり綺麗な流れです。


そして後半。


レオン・グラディウス vs ロー・カイザー。


ここまで余裕を見せていたレオンが、

初めて明確に苦戦する相手となりました。


互角以上の攻防。

今までとは次元の違う戦いです。


さらにラストでは、レオンの鑑定によって

ロー・カイザーの正体に繋がる“驚きの事実”が判明したような描写で締めました。


次回、その真実が明かされることになります。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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