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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第34話 黒鎧の圧勝と、決勝前の静けさ

第34話です。


チャンピオン大会第二試合。


今回は、黒き鎧の戦士ロー・カイザーの実力が明らかになります。


そして決勝戦を前に、

石版に関わる新たな話も動き始めます。

闘技場の熱気は、まだ冷めていなかった。


第一試合、レオン・グラディウスとララ・フェルシアの激闘。


その余韻が観客席のあちこちに残っている。


「すごかったな……」


悠真がぽつりと呟く。


「うん」


リズも頷く。


「ララちゃん、負けたけど強かった」


レオンは腕を組んだまま、静かに闘技場を見ていた。


「次だな」


その視線の先。


第二試合。


ガンレイ・ドウガンと、ロー・カイザー。


司会の男が声を張り上げる。


「第二試合!」


「歴戦の武道家、ガンレイ・ドウガン!」


観客から低い歓声が上がる。


人気というより、敬意に近い空気だった。


四十を超えてなお第一線。


その積み重ねが評価されているのだろう。


「対するは――」


司会の声が一段下がる。


「黒き鎧の戦士!」


「ロー・カイザー!」


ざわめきが広がる。


歓声というより、緊張。


観客の多くが、この男をどう見ればいいのか分かっていない。


ロー・カイザーは無言のまま舞台中央へ歩く。


重い鎧を着ているはずなのに、足音はほとんどしない。


顔は見えない。


視線すら分からない。


ただそこに立つだけで、空気が重くなった。


「……嫌な感じ」


リズが小さく言う。


悠真も頷く。


「分かる」


「なんか、あいつだけ違う」


レオンは口元だけで笑う。


「面白え」


開始の鐘が鳴る。


ガンレイはすぐに動いた。


無駄のない踏み込み。


年齢を感じさせない速度だった。


「速い!」


悠真が思わず言う。


身体強化二十倍。


そこに超特急カードを重ねた突進。


一気に間合いを潰し、拳を叩き込む。


だが。


当たらない。


ロー・カイザーは最小限の動きでかわしていた。


紙一重。


それだけで十分だった。


ガンレイは止まらない。


二撃、三撃、四撃。


拳と蹴りの連撃。


さらに分身カード。


三方向から同時に襲いかかる。


観客席がどよめく。


「やるね、あのおじさん」


リズが言う。


悠真も見入っていた。


経験と技術。


ただ力押しではない。


だが。


次の瞬間だった。


ロー・カイザーが、初めて剣を抜く。


黒い長剣。


鈍い光を放つその刃が、一度だけ横に払われた。


何が起きたのか、一瞬分からなかった。


空気が裂ける音。


見えない斬撃が広がる。


ガンレイの分身が同時に消える。


本体も、胸元を浅く裂かれて後方へ吹き飛んだ。


「……え?」


悠真が声を漏らす。


リズも目を見開く。


「今、何したの……?」


ガンレイはすぐに立ち上がる。


だが表情が変わっていた。


余裕が消えている。


本気の顔だ。


バリアカード発動。


透明な壁が体を包む。


そのまま再び突進。


最後の勝負に出た。


ロー・カイザーは動かない。


剣を下ろしたまま、ただ待つ。


そして。


ガンレイの拳が届く寸前。


ローの体が淡く光った。


リフレクト。


衝撃がそのまま跳ね返る。


ガンレイ自身が弾き飛ばされ、地面を転がる。


そこへ、ロー・カイザーが一歩だけ前に出る。


重い一撃。


黒剣が首元で止まった。


勝負あり。


静寂。


そして、遅れて歓声が爆発した。


「勝者!」


「ロー・カイザー!」


だが、その歓声にもどこか戸惑いが混じっていた。


強すぎる。


圧勝だった。


ガンレイは悔しそうに立ち上がり、ローを見つめる。


「……届かんか」


それだけ言って、静かに去っていった。


ロー・カイザーは何も言わない。


剣を納め、そのまま舞台を降りる。


悠真は黙っていた。


嫌な汗が背中を伝う。


「……強すぎるだろ」


リズは逆に目を輝かせていた。


「すごかった……!」


「レオンとやるんだよね!?」


レオンは腕を組んだまま、余裕の表情だった。


「まあまあだな」


悠真が振り向く。


「まあまあって……勝てるのか?」


レオンは笑う。


「やってみりゃ分かる」


その一言に、不思議と安心感があった。


場内アナウンスが響く。


「決勝戦は一時間後!」


「それまで休憩とします!」


観客たちが一斉に動き出す。


食事を買う者。


試合を語り合う者。


賭け直しに走る者。


闘技場全体が祭りのようだった。


悠真たちも一旦席を立つ。


「腹減った……」


リズが言う。


「さっきからずっと集中してたもんね」


悠真も頷く。


そのときだった。


「……そういえば」


悠真が足を止める。


「ララがさっき、石版のこと話したいって言ってたよな」


リズも思い出したように目を丸くする。


「あ、ほんとだ」


「なんだったんだろ」


レオンは先に歩きながら言う。


「呼べば来るだろ」


その言葉の直後。


後ろから声がした。


「……誰が、呼べば来るですって?」


三人が振り返る。


そこには、頬を少し膨らませたララ・フェルシアが立っていた。

第34話を読んでいただきありがとうございます。


今回はロー・カイザーの強さと異質さを描く回でした。


対戦相手のガンレイ・ドウガンは、

経験豊富な実力者であり、決して弱い相手ではありません。


それでもロー・カイザーは、


・見えない斬撃

・リフレクトによる反射

・無駄のない動き


によって圧倒しました。


ここで大事なのは、

“強い”だけではなく、“何を考えているか分からない怖さ”です。


レオンとはまた違うタイプの強者として描いています。


一方で、レオンはその試合を見ても余裕の表情。


ここで悠真の不安と、レオンへの信頼の対比も入れています。


そしてラスト。


忘れかけていたララの「石版の話」が再び動き出しました。


つまり、ララはただの大会参加者ではなく、

物語の核心にも関わる人物になります。


次回はいよいよ決勝戦前。


レオンとロー・カイザー、

最強同士の戦いが始まります。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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