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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第22話 勝てば、すべて手に入る街

第22話です。


新たな舞台「グラード・マーケット」へ到着。


これまでとはまったく違う空気を持つ街で、

物語が一気に動き出します。


まずは“この街の異様さ”を感じてもらえたら嬉しいです。

数日後。


馬車はゆっくりと速度を落としていった。


車輪が石畳をこすり、乾いた音が響く。


「そろそろだ」


御者が軽く振り返る。


「前がグラード・マーケットだ」


その一言で。


空気が少し変わった。


悠真は顔を上げる。


前方。


ゆるやかな坂の先。


見えてきた。


街。


――巨大だった。


「……」


言葉が出ない。


今まで見てきた街とは、明らかに規模が違う。


壁は高く。


門はさらに巨大。


装飾も派手で、金色の装飾があちこちに使われている。


ただの街じゃない。


“見せつけてくる街”だ。


「……でかいな」


やっと出た一言。


リズも目を細める。


「うん……すごい」


レオンは軽く笑った。


「ここが金の街」


「グラード・マーケット」


馬車は門の前で止まる。


すでに行列ができていた。


人、人、人。


冒険者。


商人。


明らかに強そうな装備の連中。


逆に、ぼろぼろの格好のやつもいる。


共通しているのは一つ。


全員――目がギラついている。


「……なんだこの空気」


悠真が小さく呟く。


並びながら周囲を見る。


声が飛び交っている。


「次こそ当てる……!」


「今日で取り返す!」


「もう一回だけ……!」


言葉の意味は違うのに。


聞こえ方は同じだった。


焦り。


執着。


何かに追われているような声。


リズも小さく言う。


「……ちょっと怖い」


レオンが肩をすくめる。


「まあな」


「ここはそういう街だ」


順番が回ってくる。


門番が立っている。


鎧。


鋭い目。


「目的は?」


短く問われる。


レオンが答える。


「滞在と商売」


門番は三人をじっと見る。


悠真にも視線が来る。


一瞬。


値踏みされたような感覚。


「……入れ」


低い声。


許可が下りる。


門をくぐる。


――その瞬間。


音が、爆発した。


「うおおおおおおお!!」


「いけえええええ!!」


「倒せええええ!!」


悠真は思わず立ち止まる。


「……なにこれ」


街の中。


人の密度が一気に上がる。


そして。


音。


歓声。


怒号。


金属音。


すべてが混ざっている。


匂いも違う。


汗。


鉄。


焼けた何か。


そして――


かすかに甘い、金属のような匂い。


「……」


リズも周囲を見ている。


「すごい……けど」


言葉を選ぶ。


「落ち着かない」


レオンが前を歩きながら言う。


「中央行くぞ」


三人は人混みをかき分ける。


進むにつれて。


音はさらに大きくなる。


そして。


視界が開けた。


「……」


悠真は言葉を失う。


目の前。


巨大な円形の建物。


そしてその奥。


ひときわ目立つ。


金色の建物。


光を反射している。


まるで。


“金そのもの”でできているかのような輝き。


「……あれか」


悠真が呟く。


レオンが頷く。


「黄金殿」


「この街の心臓だ」


そのとき。


「決着ううううう!!」


爆音のような歓声。


三人は引き寄せられるように中へ入る。


――闘技場。


広い。


とにかく広い。


円形の空間。


中央に二人。


戦っている。


剣と魔法。


激しい衝突。


観客は総立ち。


「倒せええええ!!」


「そこだ!!」


「今だ!!」


悠真は息を呑む。


「……すごい」


動きが速い。


強い。


そして――


必死だ。


一瞬の隙。


勝負が決まる。


片方が倒れる。


静寂。


ほんの一瞬。


そして。


「うおおおおおおおおお!!!!!」


爆発。


歓声が空間を揺らす。


勝者が立っている。


息を荒くして。


そのとき。


空間が、光る。


「……?」


悠真が目を凝らす。


光が集まる。


一点に。


そして。


現れる。


マニー金貨(通常のマニー硬貨の100倍)


一枚。


十枚。


百枚。


千枚。


――山になる。


「……え?」


思考が止まる。


金が。


生まれた。


リズも言葉を失う。


「今……」


レオンが言う。


「勝者報酬だ」


当たり前のように。


悠真は動けない。


「……なんだよそれ」


観客は歓喜している。


「すげええええ!!」


「一発逆転だ!!」


「次は俺だ!!」


目が。


全員、同じだった。


欲望。


興奮。


そして――


狂気。


悠真はゆっくり言う。


「……だから、か」


レオンが横で言う。


「そう」


「勝てば、全部手に入る」


「負けたら終わり」


悠真は視線を巡らせる。


豪華な装備。


強そうな連中。


そして。


震えている奴ら。


すべてが混ざっている。


「……ここ」


リズが言う。


「危ないね」


レオンが少しだけ笑う。


「だから面白い」


そのとき。


悠真の視線が奥へ向く。


黄金殿。


その内部。


一瞬だけ見えた。


“何かが祀られている”


反射する光。


形。


どこか見覚えがある。


「……あれ」


小さく呟く。


レオンが気づく。


「見えたか」


悠真はゆっくり頷く。


「多分……」


確信に近い。


「石版だ」


リズも静かに言う。


「あるね」


空気が変わる。


この街。


ただの金の街じゃない。


中心に。


理由がある。


悠真は深く息を吸う。


そして言う。


「……行こう」


ただ見るためじゃない。


確かめるために。


三人は。


黄金殿へと歩き出した。

第22話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、

・金の街のスケール感

・街に漂う違和感と狂気

・黄金殿と闘技場の存在

・勝者に与えられる莫大な報酬

を描いています。


この街の特徴はシンプルで、

「勝てばすべてを手に入れられる」という構造です。


だからこそ人が集まり、

そして同時に壊れていく。


これまでの“稼ぐ”とは違う形の金の流れが、

ここでは支配しています。


そして物語的にも重要なのが、

黄金殿の奥にある“石版の存在”。


ここから、

・戦うのか

・利用するのか

・壊すのか


悠真たちの選択が問われていきます。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。

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