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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第20話 異世界人、東京へ

第20話です。


今回はついに、異世界の仲間が現代へ――。


初めての地球での反応や、

そして新たな謎に触れる重要な回になっています。


楽しんでいただければ嬉しいです。


昼。


窓から差し込む光が、部屋の床に広がっていた。


ユウイチは静かに共有カードを取り出す。


「……いくぞ」


淡い光。


一瞬で視界が切り替わる。


悠真の部屋。


『聞こえるか?』


『ああ』


すぐに返ってくる声。


『レオンが、仲間になった』


『……えっ、そうなんだ。』


少し驚いたような反応。


でも嫌そうではない。


『で、そっち行きたいって』


間が空く。


『……今から?』


『できれば』


少しの沈黙。


悠真が息を吐く。


『分かった』


短い一言。


でも、許可は出た。


『来い』


ユウイチは続ける。


『俺も戻る』


『ああ、その方がいい』


『異世界に一人は危ないし』


『こっちに二人いるとおかしいけど』


『まあとりあえず帰っておいで』


共有が切れる。


静寂が戻る。


ユウイチはカードを下ろす。


「OKだ」


リズが頷く。


レオンはにやっと笑った。


「いいね、地球」


その言い方は軽い。


でも、どこかワクワクが隠しきれていない。


三人で廃墟へ向かう。


薄暗い空間。


静かで、少しだけ冷たい空気。


天井の穴を見上げる。


光が差し込んでいる。


「ここから行くんだよな」


レオンが言う。


「そう」


「……なかなか思い切った移動方法だな」


少し笑う。


リズが飛行カードを取り出す。


「地球に行くときはこれ」


「便利だな」


レオンは興味深そうに見る。


「でもちょっと怖い」


「大丈夫」


「いや、その大丈夫信用できないやつ」


軽口を叩きながらも、目は楽しそうだった。


リズがレオンを抱える。


「いくよ」


体が浮く。


一瞬の無重力感。


「うわっ、これやばいな!」


そのまま上昇。


光の中へ消える。


次にリズ。


最後にユウイチ。


空気が切り替わる。


――地球。


天井裏。


木の匂い。


埃っぽさ。


現実の空気。


「……着いた」


レオンが辺りを見回す。


「なんか、落ち着くな」


「そうか?」


悠真が下から声をかける。


点検口の下。


視線が合う。


悠真とレオン。


そしてユウイチ。


「……ほんとだ」


悠真が言う。


「同じだな」


レオンが笑う。


「見てたけどさ」


「実物はやっぱ変だな」


ユウイチも肩をすくめる。


「慣れない」


リズが言う。


「ちょっと面白い」


空気が少し和らぐ。


悠真が現実に戻す。


「とりあえず、その格好は無理」


レオンの装備は明らかに浮いている。


「だよな」


「これ着て」


服を投げる。


Tシャツ、パーカー、ジャージ。


レオンは触る。


「軽い」


「いいから早く」


「どこで着替えるの?」


「向こう!」


慌ただしく着替える。


リズも一緒に。


数分後。


なんとか形になる。


「どう?」


レオンが腕を広げる。


「……まあ、いける」


「“まあ”なんだ」


「さっきよりはだいぶマシ」


そのとき。


「悠真ー?」


母の声。


空気が凍る。


「っ!」


悠真が固まる。


「いるなら返事しなさい」


「あ、いる!」


少し声が裏返る。


レオンが笑いそうになるのを、リズが止める。


悠真はリビングへ。


「どうしたの?」


「ちょっと出る」


「また?」


「うん、おじさんのとこ」


母は少し怪しむ。


でも、それ以上は言わない。


「ちゃんと連絡しなさいよ」


「分かった」


戻る。


小声で言う。


「ユウイチ、残って」


「そうだね」


ユウイチはすぐに動く。


部屋の奥。


カーテンの影。


気配を消す。


「絶対出るなよ」


「分かってる」


悠真が頷く。


「行くぞ」


三人で外へ。



昼の街。


空が明るい。


車が走る。


人が歩く。


レオンが止まる。


「……すご」


その一言が、やけに小さい。


「静かに」


「いや……」


周囲を見る。


「これ、全部人が作ったのか?」


ビルを見上げる。


「高すぎだろ」


車が横を通る。


「何あれ!?」


「車」


「魔道具?」


「違う」


「じゃあ何で動いてるの?」


「あとで説明する」


信号が変わる。


「光で止めてるのか」


自販機を見る。


「これ何」


「飲み物」


「どうやって出すの?」


「金入れる」


「金?」


反応が止まらない。


リズも静かに周囲を見ている。


「……こっちの世界、強いね」


ぽつりと言う。


悠真が少しだけ頷く。


「まあな」


強さの形が違う。


それをレオンも感じていた。



店に着く。


暖簾をくぐる。


一瞬で空気が変わる。


出汁の香り。


温かい空間。


レオンが止まる。


「……いい匂い」


誠が顔を上げる。


「来たか」


視線がレオンへ。


「こいつは?」


「レオンです」


誠が頷く。


「まあ座りな」


料理が出る。


湯気。


香り。


レオンが手づかみで一口。


止まる。


動かない。


「……なにこれ」


「どうした」


「うますぎる」


真顔だった。


「これ、なんでこんな味するの?」


何度も食べる。


リズも頷く。


「やっぱり違う」


悠真は少しだけ笑う。



店を出る。


空気が少し冷たい。


レオンが言う。


「行くか」


「場所」


三人で歩く。


少し開けた場所。


視界が広がる。


遠くに見える。


東京タワー。


赤と白の塔。


そして。


その奥。


富士山。


綺麗な形。


レオンが石板を取り出す。


ゆっくり見比べる。


沈黙。


長い沈黙。


「……同じだ」


小さく呟く。


いつもの軽さがない。


完全に一致している。


「……なんでだ」


誰に向けた言葉でもない。


悠真も言えない。


リズも。


ただ。


「偶然じゃない」


悠真が言う。


レオンが頷く。


「うん」


風が吹く。


静かな時間。


でも、その中に。


確実な違和感がある。


二つの世界。


本来なら交わらない。


でも今。


確かに繋がっている。


三人はその景色を見続けた。


何かが始まっていると、全員が分かっていた。

第20話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、

・レオンの地球初体験

・現代と異世界の価値観の違い

・ユウイチの待機という新しい動き

・石板と現実世界の一致

を描いています。


特にレオンの視点から見る現代は、

これまで当たり前だったものが“異質”に見えるという点で、

世界の見え方が変わる回でもあります。


そして、石板に描かれていたものが

実際の地球の風景と一致したことで、

物語の謎はさらに深まりました。


偶然なのか、それとも――。


ここからは、

「稼ぐ」だけではなく「謎を追う」流れも強くなっていきます。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。


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