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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第18話 二人で回す初日

第18話です。


今回は、悠真とユウイチ、それぞれの役割で動き出す回になります。


初めての分業と、少しずつ見えてくる新しい形に注目です。


部屋のリビング。


悠真とユウイチが向かい合う。


「……慣れないな」


「それな」


同時に言う。


同じ顔。


同じ声。


リズがくすっと笑う。


「見てて面白い」


「いや、こっちは結構違和感あるんだけど」


悠真は頭をかく。


だが、やることは決まっている。


「まず資金だな」


ユウイチが言う。


「店舗借りるなら、回す金が必要だ」


「だな」


三人で街へ出る。


素材屋に入る。


何気なく棚を見ていた悠真の足が止まる。


「……ん?」


そこに並んでいたのは、見慣れた色。


金。


塊のまま、普通に置かれている。


「……これ」


悠真が近づく。


「金だよな?」


リズが覗き込む。


「うん、金」


「いくら?」


「百グラムで千五百マニー」


悠真が固まる。


「……は?」


思わず声が出る。


「……安くない?」


「この世界だと装飾くらいしか使わないし」


リズが言う。


「あと普通に採れる」


その言葉で。


悠真の頭に、これまでの光景がよぎる。


川での砂金取り。


時間をかけて、少しずつ集めていたあの作業。


「……いや、待て」


悠真は頭を抱える。


「俺ら、あんな頑張って取ってたよな?」


「うん」


リズが普通に答える。


「……ここにあるじゃん」


静かに言う。


「……マジかよ」


少し悔しい。


無駄ではない。


でも。


「最初から知ってたら……」


思わず苦笑する。


ユウイチも同じように笑う。


「まあ、気づいたからいいだろ」


「……だな」


切り替えるしかない。


「これ、地球で売ったら」


「かなり高いんでしょ」


リズが言う。


その瞬間、答えは出る。


「……買う」


「どれくらい?」


「五百グラム」


ユウイチが頷く。


「一気には売らない」


「目立つからな」


考えも同じだ。


合計七千五百マニー。


「……これでいける」


悠真が言う。


部屋に戻る。


金をテーブルに置く。


「じゃあ俺、行ってくるわ」


悠真が言う。


ユウイチが頷く。


「こっちは任せろ」


リズも軽く言う。


「大丈夫、やれる」


その一言で、少し安心する。


悠真は息を吐く。


「……一人で行くの、初めてだな」


今までは――


「リズがいたしな」


思わず口に出る。


リズが少しだけ笑う。


「ちゃんと帰ってきてよ」


「もちろん」


悠真は頷く。


廃墟へ向かう。


静かな空間。


穴の下に立つ。


見上げる。


「……行くか」


飛行カード。


体が浮く。


一人で。


ゆっくりと上昇する。


そのまま、穴の中へ。


地球へ戻る。



異世界。


「……やるか」


ユウイチが言う。


リズが頷く。


「まず露店を出そう」


「何か売れるものは?」


100均の商品はない。


でも。


料理ならできる。


残っている食材を使う。


ユウイチが手を動かす。


焼く。


味付け。


動きは自然だ。


「……ほんと同じだね」


リズが言う。


「まあね」


露店を開く。


だが。


「……人、少ないな」


場所は相変わらず悪い。


それでもやるしかない。


そのとき。


「おい」


声がかかる。


振り向く。


例の連中。


「まだやってんのかよ」


男が笑う。


「懲りねえな」


ユウイチは無視する。


だが。


男は近づいてくる。


「ここ、使うなって言ってんだろ」


空気が悪くなる。


リズが一歩前に出る。


「やめて」


「関係ねえだろ」


男がニヤつく。


周囲の客も離れ始める。


「……めんどくせえな」


ユウイチが小さく言う。


そのとき。


「あれ、またやってる?」


明るい声。


振り向く。


「お、やってるじゃん」


レオン・グラディウス。


いつもの軽い笑顔。


「なんか楽しそうなことしてるね」


空気が変わる。


男たちの表情も変わる。


「……あんたは関係ねえだろ」


「いやいや」


レオンは笑う。


「関係あるよ」


軽く言う。


「ここ、俺が気に入ってる店だし」


その一言。


重さが違う。


男たちは少し顔をしかめる。


「……チッ」


そのまま離れていく。


完全に引いた。


「助かった」


ユウイチが言う。


「いいっていいって」


レオンは軽く手を振る。


「で?」


露店を見る。


「今日は料理?」


「そう」


「いいね」


レオンは笑う。


「食べていい?」


ユウイチが皿を出す。


レオンが一口食べる。


そして。


「……うまっ」


素直なリアクション。


「なにこれ、めっちゃいいじゃん」


笑いながら言う。


「普通の料理だけど」


「いやいや、普通じゃないって」


レオンが楽しそうに言う。


その声に、周りが反応する。


「そんなにうまいの?」


「ちょっと食べたい」


人が集まり始める。


さっきまでの空気が変わる。


「……またやったな」


ユウイチが言う。


リズが笑う。


「完全に流れ作ってる」


レオンは満足そうに言う。


「こういうの好きなんだよね」


その一言で。


場が一気に明るくなる。


人が並び始める。


「……いけるな」


ユウイチが言う。


「うん」


リズも頷く。


悠真がいなくても。


ちゃんと回る。


それが、証明された瞬間だった。

第18話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、

・金の新たな使い道の発見

・悠真の単独帰還(初)

・ユウイチとリズによる露店運営

・同業者からの嫌がらせとレオンの介入

を描いています。


特に、これまで苦労して集めていた砂金が、

実は素材屋で安価に手に入るという点は、

悠真にとって少し悔しさもある発見になりました。


そして今回から、

“二人で異世界と現代を回す”形が本格的にスタートします。


悠真がいなくても回るのか――

その答えが少し見えた回でもあります。


次回は、地球側の動きと、

資金を活かした新たな展開へ。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。


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