第16話 影を読む
第16話です。
今回は、シャドウビーストとの戦闘回になります。
悠真とリズ、二人での連携が試される場面です。
洞窟の奥。
空気が重い。
「……来るよ」
リズの声と同時に、影が揺れた。
床の影。
壁の影。
それがゆっくりと形を持つ。
黒い獣。
光を吸い込むような体。
「……あれが」
「シャドウビースト」
低く、唸る。
次の瞬間。
消えた。
「っ!?」
「横!」
リズの声。
悠真は反射で体を動かす。
横に跳ぶ。
そのすぐ横を、黒い影が通り抜けた。
速い。
想像より遥かに。
「……見えねえ」
悠真が呟く。
「だから光!」
リズが叫ぶ。
悠真はすぐに発光弾を取り出す。
投げる。
――閃光。
一瞬、洞窟が白く染まる。
その中で。
「いた!」
影の輪郭が浮かぶ。
「今!」
リズが踏み込む。
剣が走る。
だが。
「っ、浅い!」
弾かれる。
「硬い……!」
すぐに影が崩れる。
また消える。
「くそ……」
悠真は呼吸を整える。
見えない。
速い。
硬い。
最悪の組み合わせだ。
次の瞬間。
背後。
「っ!」
振り返る。
間に合わない。
「バリア!」
カードを切る。
透明な壁が展開される。
衝撃。
ガン、と音が響く。
「……あぶな」
一歩間違えれば終わっていた。
「ナイス」
リズが短く言う。
だが、余裕はない。
影はまた消える。
「……どうする」
悠真は周囲を見る。
影。
全部怪しい。
「……パターンあるな」
小さく呟く。
「え?」
リズが一瞬だけ反応する。
「動き、決まってる」
悠真の目が少し変わる。
冷静になる。
ゲームで何度も経験してきた感覚。
「出る位置、同じだ」
完全じゃない。
でも、傾向はある。
「三秒……いや、四秒間隔」
「見てるの?」
「なんとなく」
確信はない。
でも。
「もう一回来る」
悠真は発光弾を構える。
そして。
「……今だ!」
投げる。
光。
その瞬間。
影が浮かぶ。
「やっぱりな」
位置が読める。
「リズ、右!」
「分かってる!」
踏み込みが速くなる。
剣が振られる。
今度は深い。
だが。
「まだ!」
決定打ではない。
影が暴れる。
「くる!」
悠真が叫ぶ。
「フラッシュ!」
スキル発動。
強烈な光。
一瞬、完全に影が固定される。
「そこ!」
リズが一気に距離を詰める。
だが。
影が無理やり動く。
「っ……!」
速い。
まだ足りない。
「もう一回!」
悠真が叫ぶ。
発光弾。
投げる。
連続で光。
影が鈍る。
完全に動きが落ちる。
「今だ!」
悠真の声。
リズが踏み込む。
迷いがない。
一直線。
剣が、影の中心へ。
「――っ!」
突き。
黒い体の奥。
核のような部分を、正確に貫く。
一瞬の静止。
そして。
影が崩れる。
霧のように散る。
静寂。
「……終わった?」
悠真が呟く。
リズは剣を下ろす。
「終わり」
地面に、小さな黒い結晶が残る。
「これが……」
「ソウルコア」
リズが拾い上げる。
悠真はその場に座り込む。
「……疲れた」
一気に力が抜ける。
「よくやった」
リズが言う。
「戦ってないけどな」
苦笑する。
「ちゃんと戦ってた」
リズは少しだけ笑う。
「私一人じゃ、もっと時間かかってた」
悠真は少しだけ驚く。
「……マジで?」
「うん」
その言葉が、少し嬉しい。
「……まあ、ゲームのおかげかもな」
自然と出た言葉。
「アイテムの使い方とか」
タイミング。
距離感。
全部、感覚で分かる。
「センスあるよ」
リズが言う。
「戦いはまだだけど」
「ですよね」
即答だった。
でも。
「……悪くないかもな」
少しだけ思う。
戦えないわけじゃない。
やり方次第だ。
悠真はソウルコアを見る。
「……これでいけるな」
コピー。
もう一人の自分。
現実じゃありえない話。
でも。
ここまで来た。
「……やるか」
悠真は立ち上がる。
新しい一歩。
その準備は、整っていた。
第16話を読んでいただきありがとうございます。
今回は、
・シャドウビーストとの戦闘
・悠真の戦闘スタイルの確立
・ソウルコアの入手
を描いています。
悠真はまだ戦闘力ではリズに及びませんが、
アイテムや状況判断を活かしたサポートという形で、
しっかり役割を持ち始めています。
この「直接戦うのではなく、支える強さ」は、
今後の戦いでも重要な要素になっていきます。
そしてついに、ソウルコアを手に入れました。
ここからは、いよいよ“コピー”の実行へと進みます。
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