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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第11話 拠点と次の一手

第11話です。


今回は、おじさんが一度現代へ戻り、

悠真とリズだけで動き出す回になります。


拠点や装備を整えつつ、

少しずつこの世界の“現実”が見えてきます。

翌朝。


田中誠は、宿の前で軽く腕を回していた。


「そろそろ戻る」


その一言に、悠真は少しだけ顔を上げた。


「……もうそんな時間なんだ」


「本業あるからな。こっちばっかりもいられん」


あっさりした言い方だったが、それが現実だった。


悠真は小さく頷く。


「……助かった」


「まだ終わってないだろ」


誠は軽く言う。


「ここからどうするかだ」


その言葉が残る。


三人で廃墟へ向かう。


穴の下に立つ。


見上げると、相変わらず高い。


「じゃあな」


誠は飛行のスキルカードを取り出した。


「無理するなよ」


「そっちこそ」


短い会話。


それだけで十分だった。


誠の体が浮く。


ゆっくりと上昇し、そのまま穴の中へ消えていった。


静かになる。


「……行ったね」


リズが言う。


「うん」


悠真は息を吐く。


ここからは、自分たちでやるしかない。


「……やるか」


まず向かったのは、商店街だった。


稼いだ金を、そのまま次に繋げる。


「装備を整える」


悠真が言う。


「いいね」


リズも頷いた。


最初に入ったのは、武器と防具の店だった。


壁に並ぶ剣や槍。


棚には軽装の防具。


「重いのは無理だな……」


悠真が呟く。


「動けなくなる」


リズが即答する。


結局、選んだのは短剣と、軽めの胸当て。


最低限の防御と、いざというときの手段。


「……これで少しはマシか」


「安心感が違う」


リズが言う。


次に向かったのはスキルショップ。


棚に並ぶカードを見ながら、必要なものを選ぶ。


バリアカード。


これは必須。


飛行カード。


帰るために必要。


そして。


「これ」


リズが指差す。


身体強化カード。


倍率二倍。


無制限使用。


一万マニー。


「安いな」


「低倍率だからね」


リズが答える。


「高いやつはもっと上がるけど、値段も跳ね上がる」


悠真は少し考える。


普通の高校生が二倍になったところで、大したことはない。


でも。


「……ないよりはいいか」


そう言って、それも買った。


全部で三万マニー。


残りは七万。


「……減ったな」


「でも必要」


その通りだった。


次に向かったのは、不動産の店。


露店だけでは限界がある。


拠点が必要だ。


「五十日更新だ」


店員が説明する。


「期間ごとに契約」


悠真は頷く。


案内された部屋に入る。


思ったより広い。


二部屋に加えて、しっかりしたリビング。


簡単なキッチンもある。


「……いいな、これ」


「広い」


リズも素直に言う。


家賃は一万マニー。


「ここでいいです」


即決だった。


これで拠点ができた。


残りは六万マニー。


荷物を置く。


リビングに立つと、少しだけ現実感が出た。


「……住むか」


悠真が言う。


「一緒に?」


リズが聞く。


「守ってもらわないと困るし」


半分本音。


リズは少しだけ笑う。


「いいよ」


「じゃあ、パーティってことで」


軽く手を差し出す。


リズも合わせる。


「よろしく」


その瞬間、ただの協力関係から一歩進んだ気がした。


午後。


露店へ向かう。


そこで違和感に気づく。


「……場所、違うな」


昨日より奥。


明らかに人通りが少ない。


「変えられてる」


リズが言う。


ギルドへ行く。


ミレイナが対応する。


「すみません、場所が」


ミレイナは少し困った顔をした。


「最近、苦情が多くてですね」


「苦情?」


「他の露店からの申し立てです」


やっぱりか、と思う。


「一時的に調整させていただきました」


丁寧な言い方。


だが意味は明確だ。


「……分かりました」


それ以上は言えなかった。


露店に戻る。


営業開始。


だが客足は悪い。


場所が悪すぎる。


それでも少しずつ売れる。


その中で。


「ここ、やめた方がいいぞ」


知らない男が言った。


「なんでですか」


「腹壊したって話、出てる」


一瞬、思考が止まる。


「そんなわけないだろ」


思わず強く言う。


「噂だよ」


男は肩をすくめて去る。


最悪だ。


場所をずらされ、さらに悪評。


完全に潰しにきている。


「……露骨だな」


悠真が呟く。


リズも頷く。


「完全に敵意ある」


その日の売上は落ちた。


明らかに。


夕方。


部屋に戻る。


リビングに座る。


静かだ。


「……どうする」


悠真が呟く。


このままじゃ削られるだけだ。


露店の場所は操作される。


評判も落とされる。


正面からやる限り、不利。


「やめる?」


リズが聞く。


「……やめない」


即答だった。


ここまで来て引く気はない。


「でも、このままは無理だな」


悠真は天井を見上げる。


考える。


露店だから潰される。


場所に依存している。


なら。


「……店舗、持つか」


ぽつりと出た言葉。


リズが反応する。


「店?」


「場所に左右されない」


「固定の?」


「そう」


露店じゃない。


店。


それなら、簡単には動かされない。


「……確かに」


リズが頷く。


「でも金かかるよ」


「だな」


残り六万マニー。


足りるかどうかは分からない。


でも。


「……これしかない気がする」


悠真は立ち上がる。


「露店のままじゃ、いずれ潰される」


リズが少し笑う。


「攻めるね」


「いや」


悠真は首を振る。


「これ、防御だ」


本気でそう思った。


守るための一手。


「……明日、探すか」


静かに言う。


この世界で生きるために。


次の一手を、打つ必要があった。

第11話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、

・拠点(部屋)の確保

・装備とスキルの強化

・同業者からの圧力

を描いています。


順調に見えていた流れの中で、

場所の変更や悪評など、現実的な壁が出てきました。


そして悠真は、

露店という形から一歩進み、

「店舗を持つ」という新しい選択をします。


次回は、その店舗探しと、

新たなステージへの準備に入ります。


よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。


引き続きよろしくお願いします。


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