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「異世界は金で強くなるらしいので、現代から稼いで成り上がります」  作者: れいじ


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第107話 神々の国へ

【前書き】


いつもお読みいただきありがとうございます!


今回はゼラモードが久しぶりに神々の国へ戻ります。


懐かしい再会や、これからの世界について語られる大切な一話です。


ぜひ最後までお楽しみください。

屋根裏の穴が閉じられた廃墟には、静かな風だけが吹いていた。


 長い間、地球とヴァレルターニアを繋いできた入口は、その役目を終えた。


 悠真は最後に一度だけ振り返ると、小さく頷いた。


「行こう。」


 レオンも静かに頷き、一枚の転移カードを取り出す。


「ここからは転移カードを使います。」


 カードを発動すると、足元へ見慣れた魔法陣が広がった。


 ゼラモードはそれを見つめ、どこか懐かしそうに微笑む。


「今もちゃんと受け継がれておるようじゃの。」


 悠真も笑う。


「おじいちゃんが作ったスキルカードだもんな。」


「便利だからこそ、多くの者に使われる。」


 ゼラモードは静かに頷いた。


「便利な力ほど、正しく使われねば意味がない。」


「それが今も守られておるなら十分じゃ。」


 全員が魔法陣の中へ入る。


 次の瞬間、景色が白い光に包まれ、一瞬で転移は終わった。


 到着したのはガイオ商会の地下倉庫だった。


 周囲には荷箱や食料が整然と並び、人の姿はない。


「ここなら人目につきません。」


 レオンの案内で地下を抜け、一行は屋敷へ向かった。


 ほどなくして大きな扉が開く。


「レオン!」


 ガイオは弟の姿を見るなり足早に駆け寄った。


「怪我はないか?」


「何か無理はしていないか?」


「兄さん。」


 レオンは苦笑しながら頷く。


「大丈夫です。」


「みんなが助けてくれました。」


 ガイオはようやく安心したように息をつく。


「本当に心配したんだぞ。」


 その様子を見て、ララは思わず微笑んだ。


 レオンは昔から兄に大切にされている。


 その変わらない兄弟の姿に、自然と頬が緩んだ。


 レオンは一歩前へ出る。


「兄さん、紹介したい方がいます。」


 ガイオの視線が一人の老人へ向く。


「こちらがゼラモード様です。」


 その名前を聞いた瞬間、ガイオの表情が固まった。


「……ゼラモード様?」


 神話として語り継がれる創造神。


 その本人が目の前に立っている。


 ガイオは慌てて姿勢を正し、深々と頭を下げた。


「初めまして。


 ガイオ・グラディウスと申します。」


 ゼラモードは穏やかに笑った。


「そう固くならんでもよい。」


「今はただの人間じゃ。」


「ですが……。」


「人であろうと神であろうと、礼を尽くすのは変わりません。」


 その返事にゼラモードは満足そうに頷いた。


「よい青年じゃの。」


 悠真が笑う。


「ガイオさんには何度も助けてもらってるんだ。」


「そうか。」


 ゼラモードはガイオを見つめた。


「しばらく、この屋敷を拠点として使わせてもらえんか。」


「もちろんです。」


 ガイオは迷うことなく答えた。


「皆さんのお役に立てるなら光栄です。」


 ゼラモードは懐から二枚一組のカードを取り出した。


「これを受け取るがよい。」


「双界カードじゃ。」


 ガイオは丁寧に受け取る。


「これは……。」


 悠真が説明する。


「一枚なら通信。」


「二枚揃えば、お互いが承認した時だけ転移できる。」


「地球とも繋がるようになるんだよ。」


 ガイオは驚きを隠せなかった。


「まさか地球とな……。」


 ゼラモードは静かに言う。


「使い方は悠真たちから教わるとよい。」


「便利な道具じゃが、扱う者の心が何より大切じゃ。」


「承知いたしました。」


 その日は久しぶりに皆で夕食を囲み、それぞれの近況を語り合った。


 ゼラモードが地球で食品工場を営んでいると聞き、ガイオは何度も感心したように頷いていた。


 翌朝。


 まだ朝日が昇り始めたばかりの時間。


 悠真は剣、盾、鎧の三種の神器を身に着け、屋敷の前へ出た。


 ゼラモードも静かに歩いてくる。


 神器へ目を向けると、どこか懐かしそうに目を細めた。


「その三種の神器も、ずいぶん長く人々を守ってきたようじゃ。」


 悠真は頷く。


「王様から聞いたよ。」


「この神器は、おじいちゃんが王に授けたものなんだって。」


「うむ。」


 ゼラモードは優しく笑った。


「ずっと受け継がれてきた証じゃな。」


 二人は祭壇へ向かった。


 祭壇へ到着すると、ゼラモードは静かに中央へ立つ。


「六十年ぶりか……。」


 その声には、少しだけ懐かしさが滲んでいた。


 祭壇が淡く輝き始める。


 黄金色の光が空へ伸び、神々の国へ続く光の階段が現れる。


 それは神々の国への扉が開いたことを告げる神聖な演出だった。


「では参るぞ。」


 次の瞬間、二人の身体は柔らかな光に包まれる。


 一瞬で景色が切り替わった。


 目の前には白い神殿が立ち並び、澄み切った空がどこまでも広がっている。


 神々の国だった。


 神殿の入口では、一人の神が静かに待っていた。


 ゼラモードの姿を見つけると、その神は深く頭を下げる。


「ゼラモード様。」


「お久しぶりでございます。」


 モーガントは深く頭を下げ、穏やかな笑みを浮かべた。


「まさか、再びゼラモード様をお迎えできる日が来るとは思っておりませんでした。」


 ゼラモードは懐かしそうに神殿を見渡す。


 白い雲の上に築かれた神殿。


 どこまでも続く澄み渡った空。


 神々の国は何一つ変わっていなかった。


「石版を預けに来て以来じゃの。」


 ゼラモードは小さく笑う。


「久しぶりに見る景色じゃ。」


 モーガントも微笑んだ。


「あの時のお土産は、皆とても喜んでおりました。」


「そうか。」


「また持ってきたぞ。」


 ゼラモードはそう言って笑う。


 悠真は二人の会話を静かに聞いていた。


 ゼラモードが神を辞めたあとも、一度だけここへ来ていたことは聞いていた。


 その時、十二柱の神々へ地球のお土産を渡し、カンジンとベンジンへ石版を預けたのだ。


 ゼラモードは悠真へ目を向ける。


「今は地球で食品工場を営んでおる。」


「毎日忙しいが、なかなか面白いぞ。」


 悠真も頷く。


「俺もグラード・マーケットで工場を経営してます。」


「ガレスさんと一緒に少しずつ大きくしているところです。」


 モーガントは感心したように息を漏らした。


「地上も随分と変わってきたのですね。」


 ゼラモードは腕を組む。


「まずは悠真の工場をもっと大きくする。」


「話はそれからじゃ。」


 そして少しだけ空を見上げた。


「形になれば、この神々の国でも工場を作ってみたいと思っておる。」


 モーガントの表情がぱっと明るくなる。


「本当ですか!」


「もちろん、すぐにはできん。」


 ゼラモードは笑う。


「まずは地上で設備や技術を確立せねばならん。」


「作り方も覚えねばならんしの。」


「じゃが、この国には天使の泉がある。」


「天使たちがおれば、働き手に困ることはあるまい。」


 モーガントは嬉しそうに何度も頷いた。


「神々の国にも工場……。」


「考えたこともありませんでした。」


 しかし、ゼラモードは穏やかな表情のまま続ける。


「ただし、一つだけ条件がある。」


 モーガントも表情を引き締めた。


「工場ができれば、この国だけで生活できるようになるじゃろう。」


「じゃが、それで人間たちとの関わりを絶ってはならん。」


 静かな声が神殿へ響く。


「神々はこれからも人間たちを見守る存在じゃ。」


「困っておれば手を差し伸べ、願いには耳を傾ける。」


「その役目だけは決して忘れてはならん。」


 モーガントは深く頭を下げた。


「承知いたしました。」


「私たちはこれからも人間たちを見守り続けます。」


 ゼラモードは満足そうに頷いた。


「その言葉が聞ければ十分じゃ。」


 そう言うと、大きな袋を取り出す。


「それと、土産じゃ。」


 袋の中には、ゼラモード食品の商品がぎっしり詰まっていた。


 モーガントは目を輝かせる。


「これは……!」


「前回とはまた違うものばかりですね。」


 ゼラモードは楽しそうに笑った。


「ほんの一部じゃ。」


「工場ができれば、このくらいのものはいつでも食べられるようになる。」


「ありがとうございます。」


 モーガントは大切そうに袋を抱えた。


「皆、きっと喜びます。」


 ゼラモードは満足そうに頷く。


「さて。」


「本来の目的を果たすとするか。」


 モーガントは転移カードを取り出した。


「カンジンとベンジンは天使の泉にいる。」


「ここから転移しよう。」


 三人は光に包まれ、一瞬で別の区域へ移動する。


 そこは見渡す限り白い雲に包まれた神秘的な場所だった。


 雲の中央には、透き通るような泉が静かに輝いている。


 天使の泉。


 新たな天使が生まれる、神々の国でも特別な場所だ。


 泉のほとりでは、小さな二人の神が泉を見守っていた。


 そのうちの一人がふと顔を上げる。


 続いて、もう一人も振り返った。


 二人の視線がゼラモードで止まる。


 一瞬だけ時間が止まったような静けさ。


 そして次の瞬間。


「ゼラモード様!」


「ゼラモード様!」


 二人は子どものような満面の笑みを浮かべ、一目散に駆け寄ってきた。


 ゼラモードも自然と笑顔になる。


「おお。」


「元気にしとったか。」

【後書き】


第107話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回はゼラモードが約六十年ぶりに神々の国へ戻り、モーガントとの再会や、神々の国の未来について語られました。


そして最後には、カンジンとベンジンとの再会。


次回はいよいよ二人との会話、そして石版の話が動き出します。


物語も少しずつ終盤へ向かって進んでいきますので、引き続き『異世界は金で強くなる』をよろしくお願いいたします!

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