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【創作の種その6】チートと最強

あくまで個人的見解です。

 本当に久しぶりにこちらを書く気がしますが。はい、エッセイです。小説のほうではなく、エッセイを書きます。


 今回のお話は、なろうには欠かせない、「チートと最強」のお話です。


 所謂、「主人公補正」とか、「お約束」とは別ですよ。


 個人的に思うに、なろう界においては「チート」と「最強」が同列で語られがちだと思いますが、実際には異なると思うんです。


「チート」に関しては、原義の通り、なんらかの改造コードや不正といった意味があり、「なろう」においては大分異なっている意味となっています。元の概念とほぼ関係ないところまで言葉が成長したというか、意味が変わったというか。まぁとにかく、意味としてはネガティヴな方向性の言葉であったと言えるんじゃないでしょうか。「チート」というのは、剣と魔法の世界に最新式の銃火器を持ち込むようなものです。戦おうとしても話になりません。剣と魔法の世界に住む住人達からしたら、理不尽も良い所です。


 ここが重要です。チートというのは、どこかに「理不尽」というものが見え隠れします。良しにつけ悪しきにつけ、驚くほど理不尽です。原義と変わってきている言葉ですが、個人的にはどこかネガティヴな印象をぬぐえないような気がします。


 「最強」に関しては、昔からある概念です。例えば、ロボットものの主人公と彼が乗る機体とか、その他色々。主人公が最強かどうかは置いておいて、「最強の力」とか、「最強のチーム」とか、敵にしても味方にしてもいますよね。「最強」という概念は、実はなろうにおいてもあまり変わっていないと思います。ただ、「最も強い」だけなのですから。それこそ特撮なんて、後半は最強のオンパレードです。例えば、某太陽の子とか、某キングフォームとか、某天の道を往き総てを司る男とか、某世界の破壊者とか、某セブンの息子とか。


 最強というのは、その使い方によるにせよ、そこまでネガティヴな印象はないと思います。しかし、なろうという所では最強の使い方に必死になっている気がします。「最強だから、絶対に負けてはならない」というような意識で、最強という概念をこねくり回している印象があります。ところが、「最強」というのは、「無敗」とはまた異なります。漫画などでは、作中最強キャラが結構負けています。特撮でも、最強になっても負けているシーンはよくあります。「最強だから、負けてはならない」というのは、強迫観念であり、「最強」が負けたからといって、キャラクターの魅力がなくなるわけではない、と申し添えておきます。「最強」であっても、敵に苦戦することはありえると私は考えます。そっちの方が、敵を倒したとき、より熱く、より盛り上がると思うのです。

 例えば、スポーツにおいて、「最強」と呼ばれていた選手/チームが負ける、ということはありますし、スポーツ以外でもありえることです。結局のところ、「なろう」においては、「最強」という言葉が独り歩きしている感があります。「最強」と「無敵」と「無敗」は違うのですから。


 もちろん、むやみに負けまくっていたら、「最強」という看板を下ろすことになってしまうでしょうが、「最強」というのは、絶対に負けてはならないところで負けない、勝たなければならない戦いで、敵を圧倒する、というのが必要だと思います。各種漫画、アニメ、特撮においても、主人公が最強クラスの力を手に入れてからも負ける、という描写はありますから。つまり、「世界を救う」とか「恋人を守る」とか、とにかく絶対に負けてはならない場面で負けないことが必要です。(バトルインフレはまた別かと思います)


 じゃあどうやって負けさせればいいんだよ、という話になりますが、それはやはり、バランスと描写の問題になるのかな、と思います。そこは技術的な問題。私ももちろん勉強不足なので、小説を読んだり漫画を見たり、映画を見たり、色々やって知識を蓄積することが必要かなーって、そう考えます。

 

 さて、ここまで「チート」と「最強」の概念的なところを語ってきましたが、じゃあこの両者の違いというのは、どこにあるのでしょうか。

 

 まずひとつ、あり方が違います。「チート」というのはいわば理不尽の塊です。よくあるスキル制のファンタジーで、主人公だけが持っている(作品内の世界観において)理解しがたいスキルが(作品内の人々にとって)意味不明の効果を発揮して、主人公以外のスキルをすべて無効化してしまう、というような。スキルを手に入れるような苦労も何もないような、そもそも、スキルというものが意味をなさないような、そんな理不尽です。「最強」というのは、あくまでもっとも強いだけです。先天的なものにしても後天的なものにしても、とにもかくにも、強い。今まで自分たちが苦戦していた強敵をあっさり倒すようなものかもしれませんが、(作品内の世界観において)とりあえず理解でき、(作品内の人々にも)どういうスキルか何とか理解できる、ようなものじゃないかな、と思います。

(早すぎて見えなかった、とか、威力が高すぎて敵が消し飛んだ、みたいなやつは最強の枠内かと思います)


 水掛け論になりそうですが、「チート」と「最強」、どっちが強いの? となった場合、それは「チート」のほうが強いでしょう。「最強」? だから何? を地で行く理不尽の塊なのですから。


「チート」と「最強」の違いは、ここです。


 世界観的に理解できるか、できないか。作中の人々が認められるか、認められないか。読者の理解というのは、この際二の次です。言ってしまえば神の視点、作中の人々がわからないことがわかります。もちろん、一番わかるのは作者でしょうが。


 理不尽か、理不尽すぎないか。


 絶対に負けないか、やりかたによっては敗北するか。


 そのキャラだけか、他のキャラにも発生しうるのか。


 比較してみると、これだけ差が見えてきました。


 チート能力を持つ主人公たちが、どこか無関心のような、傍観者めいた印象を受けるのは、こういったところからなのかもしれません、という風に結論付けて、この論を終わりたいと思います。


 それでは、さようなら。


ここまでお読みいただきありがとうございました。次回は私的なところを語りたいなぁ、なんて。気まぐれ不定期更新ですが、気長にお待ちください。

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