第36話:ボク達を見詰める猫と妖しげな科捜研
レクサスに乗り込むと、結城は喜屋武さんに尋ねる。
「さっきは何を話してたんです?」
喜屋武は、レクサスのキーを回しながら、
「あぁ、武部課長達に話してた件かい?アレは署長に話してた事と同じだよ。多分、署長からの通達が出るのに時間掛かるだろ?下手すりゃ明日の朝だ。だから、現場方の課長に言っとけば、今から対応してもらえるじゃないか。それでだよ」
「なるほど・・・」
結城はシートに深く腰を沈め答えた。
「それに・・・」
「それに、何です?喜屋武さん」
「もし今夜、また、キャサリン捜査官が動いても対応してもらえるだろ?」
「あー、それで」
「そうだよ、結城クン。覚えておきたまえ。仕掛けは何重にもしておくモノさ。でも、良かったね。キミが助けた女の子が無事で」
「もうそんな情報まで?」
結城が驚くと、喜屋武さんはニヤニヤ笑い、
「見くびってもらっちゃー困るな、俺の情報収集能力」
「ははは、すいません」
《喜屋武さんには、頭上がんないなぁ・・・》
結城達は捜査用資料として事件現場の本棚の漫画全部と、机の上にあったPCをレクサスに積み早々に現場を立ち去る。
結城達が捜査資料をレクサスまで運んでる最中、近辺の猫達だろうか?がボク達をじっと見詰めていた。
《特に弁天よりも小柄な傷だらけの虎柄の猫なんかは、不思議そうな顔で・・・》
結城達は府警本部に戻ると、その足で被害者・春日のPCを持ち科捜研(科学捜査研究所)に向かった。
科捜研の研究員・東警部補が対応してくれ、
「で、結城君。何処まで調べればいいのかしら?」
妖し気に笑う。
東警部補、大阪府警本部内で一・二位を争う美貌の持ち主だ。
いつも白衣を着用していて、何故かその姿は艶めかしい。
《バツイチの子持ちらしいけど・・・。ほんと、ドキドキするなぁ・・・》
「えっとですね、メールや閲覧したサイトの中に、“弁天”・“布袋”・“戎”、それに“簀巻き”の言葉があれば教えて欲しいんです」
喜屋武が言葉を補って、
「東クン、それから削除されたハードディスクの中身も復活させてみて、調べてくれないか?」
「了解。容易い御用よ。いつまでかしら?」
東警部補は、ペンをクルクルと弄びながら尋ねる。
「なるたけ早くがいいのですが・・・」
結城が申し訳なさそうに言うと、東警部補はため息を吐き、
「みんなそう言うのよね。困ったわ。急いでなきゃ、アタシが担当するんだけど・・・。残念ながら、アタシは捜査一課の仕事抱えてるし、今、手が空いてるのは・・・」
東警部補は“んー”と考え、一人の研究員を呼び寄せた。
「亜理紗ちゃん、ちょっと来てくれる?」
「はーい、東さん」
やって来たのは、長身の割にナイスバディの、ショートカットが良く似合う若い研究員だった。




