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第7話:旅立ち ~王都を後にして~

英雄学園を卒業した日は、爽やかな青空が広がっていた。

校門の前には多くの生徒たちが集まり、別れを惜しむ声があちこちから飛んでいた。

「本当に行っちゃうんだな、ユーマ!」

「アイもたまには顔を見せに来いよ!」

「ミアちゃんも元気でね~!」

ユーマは銀髪を風に揺らしながら、少し寂しそうに笑った。

半年間過ごしたこの学園に、思っていた以上に愛着が湧いていた。授業、寮生活、友達との他愛ない時間——すべてが輝かしい思い出だ。

「学園生活、終わっちゃったね……」

荷物を軽く抱えながらユーマが呟くと、隣のアイが空を見上げて微笑んだ。

「短かったけど、濃かったな」

「短かった?」

「ユーマが毎日騒いでたから、時間経つの早かったんだよ」

「なんで!? 私は普通に頑張ってただけだって!」

思わず頰を膨らませて抗議すると、ミアが獣耳をぴょこぴょこさせながら大笑いした。

「二人とも最後までこの調子ですね~。私、すごく楽しかったです!」

卒業式の後、三人は学園長室に呼ばれた。そこで正式に王都からの依頼を受けた。

魔王軍の動きが活発化しているという報告を受け、西の国境方面へ調査と討伐に向かうことになった。予言の「双星の英雄」として、本格的な旅が始まる。

王都の巨大な城壁を背に、街道を歩き始めた頃には太陽がすっかり高く昇っていた。

ミアは何度も振り返っては手を振っている。

「寂しい?」ユーマが優しく聞くと、ミアは少し耳を垂らして笑った。

「ちょっとだけ……。でも、みんなと一緒なら大丈夫です!」

街道沿いの景色は美しく、緑の丘や澄んだ川が続いていた。

ユーマは女の子の体で歩くことにすっかり慣れ、軽やかな足取りで先頭を切る。時折スカートの裾が風に舞うが、もう気にならなくなっていた。

夕方近く、小さな町に到着した。

冒険者向けの宿を取り、賑やかな食堂で夕食を囲む。

焼きたてのパン、香ばしいシチュー、甘い果実酒が並んだ。

「なんかまだ実感ないな、卒業したってこと」

ユーマがパンをちぎりながら言うと、アイが苦笑した。

「明日には嫌でも実感すると思うぞ」

「なんで?」

「学園のふかふかベッドがないからな。地面で寝ることになるかも」

「あ……」

ミアが吹き出して笑い、テーブルが一気に和やかになった。

「そこですか!? ユーマさん可愛い~!」

三人が大笑いしていると、食堂の奥から二人の人物が近づいてきた。

長い緑髪の優しげなエルフの女性と、髭を蓄えた逞しいドワーフの男性だ。

「失礼します。あなた方が双星の英雄の方々ですね?」

エルフの女性が穏やかに微笑んだ。

「私はセレナ。古代魔法を専門にしています。旅のお手伝いができればと思い……」

「俺はガルドだ! 斧一本で魔物をぶっ飛ばすぜ。強え仲間が欲しかったら声かけてくれ!」

こうして新たにセレナとガルドが加わり、六人パーティが完成した。

みんなで杯を合わせ、笑い声が響く。ユーマはアイと目を合わせ、嬉しそうに頷いた。

夜、宿の屋根の上で三人は星空を見上げた。

「これから本当の旅だね……」ユーマが呟く。

「少し不安もあるけど、みんながいれば大丈夫」ミアが尻尾を振る。

アイが静かに言った。

「そうだな。魔王を倒して、またこの学園に帰ってこよう。みんなで」

外では夜風が優しく吹いていた。

学園という守られた場所はもうない。

これからは本物の冒険が始まる。危険も、出会いも、成長も待っている。

それでも——

ユーマ、アイ、ミア、そして新しく加わった仲間たち。

六人の胸には、確かな希望と高揚感が満ちていた。

明日から、広い世界へ。

双星の英雄たちの物語は、まだ始まったばかりだった。



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