二人だけの旅路16
今回は短くて申し訳ありません。
これ以上だとキリが悪くなるのでここで終わりにしました。
「松吟庵様はお若いのですね…母上と同じくらいに見えまする」
玲が白い女性のような松吟庵の顔を見惚れて呟いた。
景狼が何を言ってるんだ、という感じに玲を見る。
志柳が袖で口を隠し、肩を震わせている。
「松吟庵様、このままではお気の毒でございまする」
志柳が横の松吟庵を見る。
「そうじゃな。今更じゃな」
松吟庵が軽く笑うった。
「まずは身共の話を聞いて下され。その上で分からないことにはお答えする」
「よいな」
景狼と玲が頷く。
松吟庵も頷くと話し始めた。
「これはこの柳生の秘め事ゆえ洩らさないでもらいたい」
「身共は松吟庵ではあるが、新左衛門の母ではない」
「新左衛門の兄じゃ。柳生左衛門職厳と言う」
「今は家督を新左衛門に譲ったので、柳寿丸と呼んでくれればいい」
「身共の母は筒井の一族である福住宗職の娘じゃった」
「身共の職厳と新左衛門の宗厳の諱は福住の祖父から貰ったものじゃ」
「福住は筒井の家老で、筒井順昭は福住の力を恐れ、力を削ぐべく、柳生を攻めた」
「母はその戦いで亡くなったのじゃ」
「身共はこのような母に似た女のような顔での」
「幼き頃より嫉妬や羨望、邪な視線に晒され続けてきた」
「奈良の寺にさらわれたこともある」
「身共は表に出るのが嫌であったが、嫡男ゆえ家督を継ぐ必要があった」
「柳生が攻められた時に筒井は破廉恥にも嫡男を人質に要求してきおった」
「祖父にお知恵をお借りし、既に亡き母の死を利用した」
「身共が死んだことにし、人質を出すことを免れたのじゃ」
「それからこうして身共は松吟庵と名乗り、母に成りすましておるのじゃ」
「今はこうしてここに庵を構えて皆相談役となっているのじゃが、この声じゃ、とても母には思えんじゃろう」
「じゃから志柳が身共の代わりをするために御簾越しとしているのじゃ」




