外伝 ゴシキジャーの秘密解説!
――とうとうゴシキジャーが全員揃ったね。それじゃあ、ボク、赤羽サグルと一緒にこれまでの彼女達を振り返ろうか。まず、ゴシキジャーというのは……突然変異種という怪物から世界を守る、秘密組織のことだよ。ボクの開発した特殊な腕輪で、≪聖鎧装着≫っていう変身をして戦うんだ。≪聖鎧装着≫をすると、スーツによって身体能力が上がり、特殊な能力も付与される。ボクの作った、意志を持つ武器――≪赤い剣≫や≪青い槍≫っていうのも使うことができる。まぁ、これはとある素質が必要なんだけどね。……前置きはこれくらいにして、彼女達の紹介をしよう。
――まず、ボッチ不良なボクの姉、赤羽アゲハについてだ。
「……おい、誰がボッチで不良だ!」
彼女はゴシキジャーのフレアレッドで、圧倒的なパワーで敵を一網打尽にする、攻撃的な戦い方を得意とする。燃えるような赤いポニーテールと、魔法少女みたいな赤い装束が特徴的だ。彼女の専用武器である≪赤い剣≫は、炎を使った攻撃を得意とする武器だ。まぁ、お馬鹿なお姉ちゃんは、投げて使ったりもしてたけど。
「馬鹿って言うな!っていうか、さっきからなんなんだよ!何が始まってんだこれは!?」
――染めた赤髪が特徴的なボクのお姉ちゃんは、テストは毎回赤点で、喧嘩とゲームしかやることのないボッチな人だ。実は魔法少女ものや特撮ものが好きだったりもする。
「おい、なんでそれを知ってる!?っていうかあたしが気にしてる事を言うなよ!普通に傷つくから!」
さて、フレアレッドについてはこれくらいにしようか。次の人に行こう。
「あ、おい待て逃げんな――」
――――
二人目は、お姉ちゃんの事が大好きな健気な美少女――もとい、アゲハお姉ちゃん狂の青宮リリスお姉ちゃんについてだ。
「……なんで、言い直したの?」
彼女は成績優秀、容姿端麗、どこに出しても恥ずかしくない学級委員長だ。クラスメイトからの信頼も、先生方からの信頼も厚い。アゲハお姉ちゃんとは正反対だ。
「アゲハの、悪口……?サグル、いい度胸……」
彼女は冷静沈着なクールな戦士。ゴシキジャーのマリンブルーである。攻守完璧な隙のない槍術と、多彩な技を活かして戦う万能型。肩や胸などに鎧を装備した青い装束と、青いストレートの髪が特徴的な戦士である。彼女の持つ、≪青い槍≫は水を使った戦術を得意とし、装備者への忠義も厚い。秀才であるリリスお姉ちゃんにピッタリの武器だ。
「今すぐ撤回して……さもないと……」
――お姉ちゃんの昔の写真、あげようか?
「いる。持ってきて。今すぐ」
はいはいっと……ふぅ、なんとか誤魔化せた……ご覧の通り、リリスお姉ちゃんはアゲハお姉ちゃんをラブで好きだと言っている人だ。普段は品行方正なのに、お姉ちゃんの事となると変態度合いが増し、あの手この手でお姉ちゃんに迫る。……まぁ、ボクからしたら、お好きにしてって感じ。ガサツなお姉ちゃんを好きになる男なんていないだろうし。いっそのこと貰ってくれないかな。
「……また、悪口……?」
――よし!次に行こうか!命の危険が迫る前に!
――――
三人目は、ボクとお姉ちゃんの高校の人気ナンバーワン国語教諭、桃橋サクラお姉ちゃんについて。
「ふえっ……!?私!?」
そうだよ。美人で人気の高いサクラ姉についてのお話。……あれ、なんか挙動不審じゃない?
「な、なんでもないよ、サグル君……」
そっか。じゃあ説明を始めるね。サクラ姉はボクとお姉ちゃんが小さい頃からお世話になってる人で、生徒思いでとても優しい人。授業もとても分かりやすく、どこか人を惹きつける女性だ。
「ほ、褒め過ぎだよぉ……えへへ……」
……実は、人気である理由の大半が、そのいろいろとでかいスタイルと顔の良さだったりするのだけど……ここでは言わないでおこう。
「……?どうかしたの?」
――なんでもないよ。さて、サクラ姉が変身する戦士……ラブピンクについて説明しようか。桃色の長い髪と、身体の線が強調されるようなぴっちりとしたスーツ……そして、顔を覆うバインダーが特徴的な戦士だ。心優しく、必要な時だけ武器を振るう慈悲深さ。そして≪桃色のモーニングスター≫は、装備者に獅子奮迅の活躍を約束する。装備者の思い通り動き、敵を屠るその姿はまさに戦女神。気弱なサクラ姉には少し合わないかもしれないが、彼女はよくやってくれているよ。……あっ、補足しておくけど、別にスーツはサクラ姉に合わせたものじゃないからね?先代ラブピンクの要望通りに作っただけだからね?そこは間違えないように。
「サグル君、誰と話してるの……?」
おっと失礼。ついエンターテイナー気質が。
「エンターテイナー……?」
――コホン。ともかく彼女は、最近ゴシキジャーになったにも関わらず、突然変異種をしっかりと倒してくれている。ありがたい限りだ。やはり、サクラ姉は頼りになるよ。
「えへへ……サグル君のためなら、なんでもするよぉ……」
――少し、ボクに対する態度が他と全然違う事が気にかかるけど……まぁいいや。今度またお礼をしに行こう。そうだ、家に呼ぶのはどうだろう。
「お、お家!?それって――」
アゲハお姉ちゃんと三人で、何処かに出かけよう。二人共ショッピング好きだし、丁度いいよね!
「あ、うん……三人か……うん、三人ね……」
あれ、なんかテンション低くなった?おーい、サクラ姉?
――――
四人目は魔王の従者でボディーガード、茶髪ツインテールの木戸レモンさんだ。
「なんかうちの紹介、雑ちゃう?」
レモンさんは、最近出てきたからね。過度な紹介はネタバレになっちゃうんだよ。
「今日そんなメタい感じなんか?」
良かったら、自分で自己紹介してもらってもいい?ほら、お金あげるからさ。頼むよ、レモンさん。
「……しゃあないな。ほな、改めて自己紹介したるわ。あ、代金は後でちゃんと払いや。ツケ払いはナシやからな」
――流石レモンさん!容赦ないね!
「じゃあ……コホン。うちは木戸レモンや〜。翠川マオ様に仕える、護衛兼使用人やで〜」
ほうほう、他には?
「そうやな〜……好きなものはお金、嫌いなもの
は〜……無駄遣いとかツケ払いとかやな~」
お金が好きなんだね。何か理由とかはあったりするの?
「お金があれば、何でもできるやろ〜?逆に、お金がなければ、なんにも出来へん……だからうちは、お金のためやったら何でもするんや〜」
朗らかな口調で、中々えげつない事を言うね。でも、ゴシキジャーに給料とかはないよ?それなのに、何でランドイエローになったの?
「……一番の稼ぎ元である、お嬢様を誑かされたからなぁ。主が騙されてパーになるくらいなら、うちが近くで見とく方が賢いやろ?あと、これ結構便利やしな」
レモンさん、口調が戻ってるよ?
「もう十分やろ。こっから先は追加料金や」
手厳しいね。じゃあ、ボクが説明を代わるよ。……レモンさんの変身するランドイエローは、隠密行動や狙撃などが得意な単独行動型の戦士。忍者を連想させる和風の装束と、黄色いツインテールが特徴的である。専用武器である≪黄色い弓≫は、自分で使うことも出来るし、自動で矢を撃ってくれる砲台としても使うことが出来る。ついでに動体視力も人間離れしたものになる。頭の回るレモンさんにぴったりだね。
「……割と素直に褒めてくれるんやね」
え?ボクはいつも素直だけど?
「ふっ……腹黒男がよー言うわ。言っとくけど、うちはまだサグル君の事を信用しとらんからな」
名前で読んでくれてるのに、寂しいなぁ。
「赤羽さんと紛らわしいから呼んでるだけや。もっと信頼の足る男になって出直してき」
なるほど……お姉ちゃんは、信頼に足ると?
「どうやろねぇ……あの女は、真っ直ぐなだけの脳筋女や。別に、警戒する程でもないわ。まぁ、悪い人やないとは思うけどな」
ふーん……そっか。
「なんやそのつまらなさそうな反応。そっちが聞いてきたんとちゃうん?」
そうだけどさ……ま、いいや。そろそろ次の人に行こうかな。
「あ、ちょい待ち。うちへの代金がまだやろ」
あ、忘れてた。……ちなみに、どれくらい払えばいい?
「ひーふーみ……これくらいやね」
…………コンビニの高級アイスでどうかな?
「しゃーないな。それで許したるわ」
よし、ちょっと買ってくる。
――――
……えーと、最後の紹介はあなたなんだけど……
「ほう!我の武勇伝を聞きたいと申すか!?」
やっぱいいかな。帰ろう。
「待て待て待て!?何故Uターンをする!?我に話を振ってきたのは貴様だろう!?」
そうなんだけど……二連続でキャラが濃い人の紹介するの、結構きつくって……
「キャラが濃い!?貴様、この魔王に向かって、なんと無礼な事を!」
えー、というわけで、翠川マオさんでしたー。それでは皆さん、さよーなら――
「待ってよ!わたしわざわざ準備して来たんだから!わたしも紹介してよぉ!」
しょうがないなぁ。……コホン。彼女の名前は翠川マオ。金髪碧眼が特徴的な、翠川グループの社長令嬢だ。彼女は日頃、魔王と名乗っており、彼女の周りには忠誠心の高い臣下達がたくさん――
「待って」
――はい?
「あの、ちょっと盛りすぎというか……わたし、そんな大層な人間じゃないというか……」
面倒くせぇなこの人。
「面倒くさい!?あの、一応わたしはあなたより年上なんだけど!?もう今年で十八なんだけど!?」
魔王様、口調が崩れていますよ。
「サグルくんのせいだから!あ、違う違う……貴様のせいだぞ、サグル!」
ボクにどうしろと。
「も、もっと我に礼儀というものをだな……ああ、もういい!我が説明する!」
おお、乗り気だ。
「まずは名乗り!我こそは翠川マオ!またの名を、緑の魔王・アカシアグリーン!ゴシキジャー二期最古参かつ最強の戦士!」
そういえばそうだったね。確か二代目ゴシキジャーは魔王様→レモンさん→サクラ姉→リリスお姉ちゃん→アゲハお姉ちゃんの順番でスカウトしたんだっけ。
「うむ!我がゴシキジャーを統べるものと言っても過言ではないな!」
でも、魔王様はカリスマがなぁ……力は確かに一番強そうだけど。現実ではただのゲーム・玩具オタクの引きこもりだしなぁ。
「やめてよ!事実の列挙は人を傷つけるんだよ!?」
そう言われても……最初に≪緑の戦斧≫を持って、「こんなの無理!わたしには使えないよ!」とか言ったのは、どこの誰だっけ?
「うっ」
ボクは知ってるんだよ?魔王様が学校でも魔王様ムーブしてるから、レモンさんとボク以外喋りかける人がいないの。
「うっ……」
最近はボッチ拗らせて、ドラゴンのぬいぐるみに向かって「ドラ丸……わたし、皆に避けられてるのかな……」って相談してるって――
「ちょっと待って!?なんで知ってるの!?」
レモンさんにコンビニアイスあげたら教えてくれた。
「あの守銭奴ぉーー!!」
よし、レモンさんの元へ走っていった!今のうちに紹介し終えてしまおう!――彼女の変身するゴシキジャーはアカシアグリーン。緑のメッシュの入った金髪と、竜の鱗のように鋭い形状の鎧が特徴的な戦士だ。≪緑の戦斧≫という専用武器を用いて、大地を揺るがしたり、敵を一瞬で薙ぎ払ったりすることが出来る。……え?フレアレッドと役割が被ってないかって?大丈夫、差別化はできてるから。……ちなみにこれは余談だが、ボクの作ったスーツは特殊で、秘密保持のために認識阻害機能というものがついている。これがあれば、例え顔や姿を見られても、本人とは気づかれない。お姉ちゃんとかはガッツリ顔が出てるけど、他の人からは「なんかコスプレをしてる赤い人」という認識に留まる。
「はぁ……はぁ……全く、レモンはほんとに……!」
あ、魔王様。おかえりなさい。魔王様がいない間に、勝手に紹介しちゃったよ。
「嘘でしょ!?なんでわたしの出番が削られてるの!?」
まぁまぁ、細かいことはいいじゃない。
「よくないよ!ねぇサグルくん、わたしは一応あなたの先輩だよね!?もう少しこう、先輩の身を立てて……とかないの!?」
……ふぅー、疲れた。さて、そろそろ帰って一眠りしよっかな……
「ねぇ聞いてる!?どうしてもう帰ろうとしてるの!?」
以上、ゴシキジャーの秘密紹介でしたー……ありがとうございました……
「締めくくらないで!わたしまだ、いろいろと言いたいことが――!」
――――
……さて、ゴシキジャーの秘密紹介、楽しんでくれたかな?彼女達の裏の顔が見れて、割と面白かったんじゃないかな?いやぁ、あの五人を選んで正解だったよ。いろんな反応が見れて、久しぶりに楽しめたね。
ちなみに、まだまだ語りたい事は残ってるんだけど……今回は情報量も多いし、これくらいにしておこう。以上、赤羽サグルことゴシキジャー技術担当、マッドでしたー。




