間幕 ゴシキジャースーツ開発秘話!
——やぁ皆。マッドだよ。お待ちかねのゴシキジャー解説タイムだ。……え?別にお待ちかねじゃなかったって?まぁまぁ、そんな固いこと言わずに聞いて行ってよ。……今回解説するのは、ゴシキジャーの装備——スーツに関する事だ。まぁ、性能に関しては前回話したから、殆ど話すことないんだけど……じゃあ何を解説するのかって?いい質問だ。十ポイントあげよう。
——さて、冗談はこれくらいにして……今回はボクがゴシキジャーのスーツを開発する時の話を語るとしようか。登場人物は先代ゴシキジャー達。何しろスーツのアイデアを出してきたのは彼女達だからね。というわけで、いっちょいってみよう。
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——白河ミコトの場合——
こんにちは、ミコトさん。
「貴方は……確か、最近組織に入った方でしたか?」
そうだよ。赤羽サグルって言うんだ。オトさんの甥っ子で、組織での名前はマッド。よろしくね。
「なるほど……オトさんの甥でしたか。白河ミコトと申します。よろしくお願い致します」
うん。よろしく。……それで、聞きたい事があるんだけどさ。前にオトさんが話した、「ゴシキジャー創設計画」っていうの覚えてる?
「はい。オトさんが発案した、突然変異種に対抗できる特別な力を持った五人の戦士を創り出す計画……僭越ながら、私もメンバーの一人に加えさせて頂いております」
そうそう、それそれ。で、その特別な力を造る担当っていうのがボクなんだ。今日ミコトさんに会いに来たのは、その力のデザインをしてもらおうと思ってね。
「……デザイン、ですか。何故そのような事を?」
あなた達に与える力は、突然変異種を簡単に倒せる特殊な武器と、身体を守る特殊な鎧なんだ。武器はともかく、鎧に関してはボクの知識が疎くてね。何か参考になる意見でも貰えたらありがたいなって思ってさ。
「ふむ……ならば、まずは胸を守る鎧でしょうか。人間はどれほど強靭な肉体を持っていようと、心臓を貫かれたら終わりですので」
なるほど、まずは胸ね……
「私に造る鎧という話でしたら、身軽に動けるものが一番ですね。鎧部分は最小限にして、あとは全身スーツのようにでもしていただければ」
……それ、逆に動きにくくない?
「あまり露出をしたくないので。それに、私の身体能力であれば、多少動きにくくても機動性に問題はありません」
な、なるほど……ちなみに、武器はあなたが今持っているような刀とかの方がいいかな?
「いえ、特にこだわりはありません。この刀は祖父母から護身用にと託されたものですので。必要とあらば薙刀でも鎖鎌でも使いこなす所存です」
オーケー……分かった。じゃあ、その方向で進めさせてもらうよ。今日はどうもありがとう。
「お力になれたのなら幸いです。また何か必要な事があれば、何なりとお申し付けください」
はーい……絶対に敵に回しちゃ駄目だな、この人……ボクが突然変異種だってことは、願いを叶えるまで黙ってよう……
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——横田メアリーの場合——
……横田メアリーさん……だよね?
「ハイ?ワタクシに何かご用デスカー?」
え、なんで片言?
「カタコトじゃないデース!ワタクシの日本語は、ベリーベリーセンセーショナル!つまり、これが普通なのデース!」
少なくとも今まで会ってきた日本人に、そんな口調の人はいなかったんだけど……
「ま、細かいことはお気にナサラズ!それより、ワタクシに何かご用デスカー?」
あー……前にオトさんが言ってた「ゴシキジャー創設計画」って覚えてる?
「もちろんデース!ワタクシもメンバーの一人デスカラ!スーパーヒーローになって、悪を滅多打ちデース!」
ああ、だいたい理解してるんだね……ボクが今日来たのは、それに関する事だ。あなた達に与える装備の、デザインを考えて欲しいんだよ。武器と鎧を渡す予定なんだけど、ゼロからだと中々作業が進まなくて……せめてデザインだけでも一緒に考えてもらえないかな?
「もちろんオッケーデース!ワタクシに万事おまかせくだサーイ!」
ありがとう。じゃあまずは鎧部分から……
「ワタクシ、ニンジャになりたいデース!闇夜に隠レテ、ひっそりと敵を討ツ……So cool!」
いや、ちょっと待って?それだと防御性能が……
「忍び装束、一度着てみたいと思っていたのデース!お店で売ってるのは、サイズが合わないノデ……これは千載一遇のチャンスデース!」
ボクが造るの、コスプレ衣装か何かだと思ってない?一応、命を守るための鎧なんだけど……
「安心してくだサーイ。ワタクシ、避けることには自身がありマース!」
ああ、当たらない前提なんだね?それならまぁ、必要最低限の防御性能は付けておくけど……それを着て死んだりしないでね?ボクが責任を負うことになっちゃうから。
「Don't worry!心配いりマセーン!いざとナレバ、敵を悩殺するのがくノ一デース!ワタクシ、身体には自信がありマース!ワタクシの肉体美で、敵をメロメロにしマース!」
……うん。やっぱり、ミコトさんと一緒に考えようか。いろいろと心配だから。
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——古賀ミドリの場合——
「……なるほどな。つまり、この私に鎧とやらのアイデアを出せということか」
……うん。理解が早くて助かるけど……あなた、本当にゴシキジャーのメンバーなの?
「なんだ?文句があるのか?」
いや、えっと……随分小さい子だなって思って……
「貴様とあまり背丈は変わらんだろう。それに、私は貴様よりも頭がいいし、運動も出来る。そこらのぼんくらと一緒にするな」
ぼんくらって……そんな言い方は良くないんじゃない?
「事実を言って何が悪い。ぼんくらはぼんくらだ。それ以上でもそれ以下でもない。それを自覚できない人間が多いせいで、たまにつけ上がる愚図が生まれるのだ。全く嘆かわしいことだな」
ボクからすれば、そんなえげつない事を平然と言う子供がいることが嘆かわしいんだけど……
「子供じゃない。私は既に十年の時を生きている。この大人びたオーラが見えないのか?」
十分子供だし、大人びたオーラも見えないよ。
「……強情な奴だ。まぁいい、なら私の才能を見せてやろう。紙とペンをよこせ。今ここで鎧のデザインとやらをしてやる」
ええ?わ、分かったよ……はい、どうぞ。
「よし。……まずは、上半身……この部位には機動性を、鎧の厚さはこのくらいで……頭部を守る兜は、こういう形状でいいだろう……それから——」
おお……!どんどん図が出来上がっていく……!しかも、細かい注釈まで……!?この子、ただ者じゃないぞ……!?
「……よし、できたぞ。見た目、性能共に理論上完璧のはずだ。本当は試作もしておきたいところだが……まぁ、それは貴様の領分だろう。ほら、これを受け取れ」
凄っ……!?今の短時間で、これを!?絵も上手いし、部位ごとに注釈まで……!凄いよ、完璧じゃないか!
「ふっ、どうだ?これで私が子供でないことがはっきりしただろう?」
……う、うん。あなたは少なくともボクの知っている「子供」じゃないよ。
「ハハハ、そうだろうそうだろう!中々話が分かるじゃないか。そうとも、私はそこらのぼんくらとは一線を画す存在なのだ!ハハハハハ!」
めちゃくちゃ喜んでる……ん?なんか、用紙の左上に、「四年二組 古賀ミドリ」って書いてあるんだけど……ま、まぁいいか。
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——桃井ツクモの場合——
「鎧のデザインか〜……あたし、発想力も絵心もないからなぁ……期待はしないでよ?」
別にそこまでクオリティの高いのは望んでないよ。参考にさせてもらえば良いなってだけだから。
「でも、それってあたしが着るんでしょ?元アイドルとしては、ダサい鎧とか着ちゃったらまずいわけですよ。下手したらアラサーに差し掛かろうとしている成人女性の痛々しい姿が晒されちゃうわけで——」
だから、そこまで考える必要はないってば。抽象的でも何かアイデアを貰えたら、それで良い感じに造るから。
「マジ?よーし、じゃあツクモちゃん頑張っちゃうぞ〜!カッコいいの考えるぞ~!」
うんうん、それでいいんだよ……って、んん……?
「ヒーローと言えばスーツ!そしてカッコいいバイザー!あとあと、ちょっとセクシーな感じも足して……」
……あの、ツクモさん?ちょっと待って——
「そして武器はこう!なんか鎖がついてて強い奴!最後に可愛い髪飾り!——はい、完成!」
えっと……これは、一体……?
「ふふん、男の子には刺激が強すぎたかな?これこそカッコよくて可愛いヒーロー、ラブピンクだよ〜!」
な、なるほど……
「こんな感じで造ってくれるんだよね!?ね!?」
う、うん。任せて欲しいな……
「やった〜!ふふ、出来上がるのが楽しみだなぁ~!他の皆も、びっくりするだろうなぁ〜」
そ、そうだね……何これ、殆ど紐なんだけど……え、この上にライダースーツ……?それに、頭にバイザーを付けるって言ってたけど、これってバインダーのような……?本当に人間が着れる奴なの、これ?
「……どうかした?紙を持ったままポカンとしてるけど……あっ、もしかしてあまりの凄さにびっくりしちゃった?」
う、うん。こんなの今まで見たことないよ……
「ふふ、そうでしょそうでしょ〜!?」
あ、あはは……流石にこのままじゃいろいろとまずいから、後でミコトさんを呼んでこよう……はぁ……
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——赤羽オトの場合——
「なんだ、マッドか。私に何か用か?今は画面の奥の美少女と戯れるのに忙しいんだが」
なんで仮にも組織のトップが、執務室で美少女ゲームやってるの?仕事はどうしたの?
「ふっ、もちろん終わらせているさ。今は休憩時間だったからな。見てみろ、美少女三銃士を連れてきたぞ」
いや、見せなくていいから……オトさんって本当に美少女好きだよね。
「何を今さら。私は三度の飯より美少女が好きなんだぞ?なんならそのまま美少女を食べたいくらいだ」
うわぁ……
「おい、蔑むような瞳で私を見るな。そういうのは美少女にやってもらいたい」
なんでそんなに開き直ってるの?恥とかないの?
「恥じる必要が何処にある。君も美少女の神秘に耳を傾けてみろ。柔らかな肌に甘い香り、ガラス細工のように繊細な身体——」
……なんだろう、人間をこんなに気持ち悪いと思ったのはオトさんが初めてだよ。世界のためにも、一回死んだ方がいいんじゃない?
「ふむ、心臓を数秒止める程度なら出来るが……この世に美少女がいる限り、私は何度でも蘇るぞ?」
なんなの?封じられた厄災か何かなの?
「厄災とは失礼な。美少女を守るヒーローと呼べ」
なんで美少女限定……って、そんなことはどうでもいいんだよ。ボクがここに来たのは——
「——鎧のデザインの話だろう?もちろん分かっていたとも」
嘘でしょ?この人、分かってた上であんな発言してたの?頭がおかしいんじゃないの?
「既に図案もできているぞ。コンセプトはそうだな……魔法少女だ。赤を基調とした衣装に、ヒラヒラのフリルを付けてだな——」
ポンコツが三人目になった!なんなのそのヒラヒラの衣装、ただ可愛いだけで防御性能が皆無じゃないか!ボクが言うのもなんだけど、これは突然変異種と戦うためのものなんだよ!?流石にナメすぎじゃない!?
「ハッハッハ、奴らを相手に驕ったりなどしないさ。よく見ろ、鎧部分はちゃんとしているだろう?」
……ほ、本当だ。よく見たら、意外としっかりしてる……一見したらふざけてるように見えるけど、割と細かい部分まで考えてある……
「当然だ。私は仕事でふざけるなんてことはしない。自分で言うのもなんだが、公私混同はしないタイプだからな」
な、なんか納得いかない……この人、普段はどうしようもない変態なのに。
「ハッハッハ!この私に恐れをなしたか?」
恐れをなしてるよ……オトさんはいろんな意味で敵に回したくないね、絶対に。
「ハッハッハ!それはお互い様だ、マッド。——だが、私達は遠くない未来、敵同士になる……そうだろう?」
…………ああ、そうだね。
「君の企みは、いつか私が止めてみせる。……と言いたいところだが、私では君を止められない。だが、君を止められる者は、必ず現れる。必ずな」
……必ず、か。それは楽しみだな。
「さて、無駄話はこれくらいにしよう。この図案は君に預けておく。装備を造るのに役立ててくれ。私はまた仕事に戻るよ」
分かったよ。またね、オトさん——
…………。
……赤羽アゲハ……
……君は、やっぱりボクの前に立ちはだかるのかな。
……楽しみだなぁ。君の顔を絶望に染めるその時が、待ち遠しいよ。
……あれから、もう二年経つのか……
……サグル……ようやく、願いを叶えられそうだよ。
……もう少し。もう少しだけ、待っててね。
……君の願いを、ボクは必ず叶えてみせるから——




