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おはようございます!今日も良い一日が送れますように・・・

⭐︎前回のお話

ハロルド様に突然キスを迫られたリーネ! このあと、どうなる?

 突然差し迫るキス!


 と、殿方と接吻だなんて、今まで一度だってしたことがないのに・・・!


 たちまち頭が沸騰しそうになる。考えを巡らす間もなく、ハロルド様の麗しい唇が私の唇に触れるか触れないかの距離まで迫っていた!


 む、胸が張り裂けそう! 

 ああっ、もうダメ!



「近寄るんじゃ、なぁぁぁぁぁーーーーーい!!!!!!」



 バッチィィーーーーーーーーン!!!!



 頬を張る、強烈な一撃音が響いた。

 次いで屋敷の裏庭奥に、静寂の帳が降りる。


 目の前で横を向いている貴公子様の頬に目をやると、くっきりと赤い手形が残っていた。


 あ、やばい。


 と思った瞬間、彼の顔が、ゆっくりと時間をかけて私に向き直った。


「リ、リーネ・・・?」

「ごご、ごめんなさい、ハロルド様。

・・・私、私、我慢しようと思ったんですが、限界だったんですの。心からお詫びします。ですが、ですが・・・」


 かろうじで自分の気持ちを押し留めていた心の堤防が、決壊していく音が聞こえた。


「私たち、まだ出会って三回目なのですよ?」


 ハロルド様は訳がわからないのだろう。キョトンとしたお顔をされている。

 その様子を目にした途端、堤防の瓦礫の上をどどどどと激流のように流れ出す感情が・・・


 それは、「怒り」だった。


 私が結婚に向いていない理由。それは強気な性格が邪魔をするだけではない。私を口説こうとする全男性に対する、湧き上がるような強い「怒り」が原因だった。

 今まで何度もハロルド様の行為に対して鳥肌と憤りを感じていたけれど目を瞑ってきた。けれど今回ばかりは、さすがに黙っていられなかったのだ。

 分かってる。みんなこう思ってるのよね?

 婚約者をビンタするなんて、常軌を逸している、と。でもね、これでいいのよ。だってよく考えてみて? 


 我慢って体に毒でしょう!!!! 言いたいことを言わなければ、婚約なんて、できませんのよ!!!!


 開き直った私は、それはもう全身全霊で、婚約者に想いをぶつけた。


「私達、まだお会いして三回目なんですのよ!? それなのに一回目で手の甲に口付け、ニ回目で頬にキス、三回目で唇にキスをしようとしましたわね!!!!」

「あ、あぁ・・・。でも私達は結婚を約束した仲だ」

「だ と し て も!!!!!」


 大声で貴公子様を牽制する。


「手を出すのが早すぎやしませんか!!!? イケメンだから許されると!!? 私、私、そういうのが許せませんの! はっきり言って、気持ちが悪かったですわ!!!!」

「き、気持ちが悪い・・・!?」


 ハロルド様はビンタされた頬を手でかばいながら、美しいお顔を歪ませてしまった。

 あぁ、そういうお顔もなさるのね。悲しそうなお顔までカッコいいと思えるのだけれど・・・もう少し言わせてもらいます!


「出会ってすぐに触られて、毎回毎回、鳥肌が立っていましたの!! だって、あなたの食事の好みも、得意なことも、苦手なこともまだ何も知らないのに・・・いきなり体だけ求められて許せなかったのですわ!!!!!!」

「そこまで求めてないが」

「いいえ、同じことです!!!!」

「えぇ・・・?」


 ハロルド様が咳払いをして、私を見やった。


「君がそんな風に思っていたとは・・・私が急ぎすぎてしまったようだ。すまない」

「あっ・・・いえ。その、私の方こそ、申し訳ございませんでした」


 侯爵家の大切な一人息子であり、銀髪の貴公子と名高い殿方に、あろうことか謝罪をさせてしまった。

 それが引き金となり、一気に正気を取り戻した。途端に、強い後悔が波のように押し寄せてきた。


 ・・・あぁ、どうしましょう!

 私ったら、なんてことをしてしまったの!? 隠していた本音を、つい思いっきり炸裂させてしまいましたわ! 本当に、本当に申し訳ございません。私の振る舞いはいけないことだと分かっています。


 それもそのはず。ハロルド様の一族は私よりも爵位の高い貴族である。いや、そもそも女性が男性を引っ叩くこと事態が有り得ないのに、侯爵家のハロルド様に男爵家の小娘が手をあげたなんて知られた日には・・・

 村八分される。そして悪評が流れに流れ、嫁ぎ先がなくなる。

 こんなことで・・・こんなことで、私の貴族人生が終わるなんて!

 これからは修道院に入って神に祈りを捧げながら静かに生きていこう。

 でもせめて・・・せめて最後に、これだけは言わせて欲しい!


「私、あなたのお顔は好きですが、アプローチの仕方が嫌いですの。ビンタもしてしまったし、この婚約は無かったことになるでしょうね。そして私は修道院に入ることになるかと思います。でも忘れないで下さい。急に迫られると怖いと感じる女性もいるということを」


 言い切ると固く目を閉じた。冷ややかな視線と暴力を覚悟する。

 ・・・が、何も起きない。


 薄目を開けると、ハロルド様のお顔が青ざめていたーーって、なんで彼がこんな表情をするの??


「君は何か誤解をしてないか? なぜ婚約が無かったことになるんだ。あと修道院には行くな。怖がらせてしまったのは申し訳ない」

「え? なぜ無くならないんですの? あなたをビンタしたから、この結婚は白紙に戻るのではないんですか?」

「私が君を好きだと言ったのは、伝わっていないのか?」



 私を、好き・・・?



「政略結婚なのに、ですか? 社交辞令ですわね。それに男性に手をあげてしまったのですよ? しかも婦女達から絶大な人気を誇るハロルド様に。それなのに、婚約が無くならないと?」

「に、人気? そうなのか?? ・・・とにかく、驚きはしたが私は君を好いている。だから婚約は破棄しない」


 ハロルド様は私をチラリと見ると、再び手を握ってきた。


「戻って、ティータイムの続きをしよう」

「・・・・・」


 あなたが勝手にお茶の席から私をここまで連れてきたのに、よくぬけぬけと「続きをしよう」なんて言えるわね。自分勝手ですわ。そもそも勝手に迫って来なければビンタする必要もなかったんですのに。

 顔はいいけれど、ハロルド様の距離の詰め方が嫌いですわ。


 ・・・と思ったけれど、私は胸の中に、そっと想いをしまうことにした。


リーネの結婚に向かない理由をお分かりいただけたでしょうか?笑

⭐︎今日の更新・・・11話を12時にアップします!

よろしくお願いします♪


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