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超えられない季節(僕の心臓がとまるとき)  作者: 秋山 冬夏


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12/13

巡る季節

数年後。


大洗の海を見下ろす高台に、三人の家族の姿があった。

あきと、なつ。そして、よちよちと歩き始めたばかりの小さな男の子。


はる、こっちだよ。ほら、海が見えるよ」


なつが、柔らかな声で息子を呼ぶ。

はるとから一文字譲り受けたその名は、かつての冷たい冬を越え、新しい光を届けるために付けられたものだった。


なつは、指先で自分の左胸をそっと押さえた。

あの日、はるとがベンチに刻んだ文字を、今でも指が覚えている。


『Summer never ends(夏は終わらない)』


はるとの心臓は、あの日止まってしまった。

けれど、彼の愛は、あきという「秋」の抱擁の中に、そして陽という「春」の産声の中に、確実に受け継がれている。


水戸の梅が咲き誇り、大洗の海が輝く。

三人の季節が溶け合い、決して終わることのない「夏」は、眩い光の中に、どこまでも、どこまでも続いていく。

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