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 檻のしあわせ 

 






「……王が最近はおとなしい」

 ぼやきながら、僕は箒の手を止めた。どう考えても、現王は攻め込むつもりなのだろう。今は蓄えているのか……。




 ふうっと息を吐く。面倒臭いなぁ、と頭を押さえてしまう。彼らは、《ここ》が気に入らないのだろう。刹那と玉響が来たことで激化したのだ。物凄く迷惑な話だが。

 

 王家は、あそこは昔からこの《保護区域》を嫌った。だが嗤えてしまうことで、《保護区域》を消し去ることは未だ出来ていない。


 当然だ。《ここ》はそんなに生易しい場所ではないのだ。難攻不落と言う話以前に、根本から間違っていた。




「《ここ》を失えば瓦解すると早く理解すべきだ」


 まぁ、もっとも。




“だからこそ”、王家は消したいのだろうが。




「ムクイ」


 カラさんが呼んだ。


「はい」


 僕も返事をする。……ああ、成程。




「“お客様”がいらっしゃいますか」

「うん。明日には、着くそうだよ。しかしウツロも非道いよ」


 喉を鳴らしながらカラさんがした発言。思わず“あなた方が非道いのなんか前からじゃないですか”と言い掛けた。

 僕のこんな思いも彼は感付いていながら、敢えて無視するのだろうけど。




「何か?」

「……止めてあげれば良いと思わない?」

「ウツロさんにそれを望みますか。同じ立場ならなさらないだろうとお考えのくせに?」


「そうなんだけどね」


 悪怯ない主人にもう動かない感情はただ流すに限ると判断していて、これは賢明だと自負したくなる。




 彼らに望むことは意味を成さない。僕は知っている。


 彼らが叶えるのは“壊れ掛け”を保護することだけなのだ。止めてしまうだけ。……王も可愛そうに。




 無駄なことを強いられたものだ。果たして王は耐えられるだろうか?







 この《保護区域》の、そして王家の、[隠し事]を知って。







「しかしまぁ……」

 僕は天を仰ぐ。レプリカは、どこまでも嘘を湛える。




 空を見上げ案じる。




 にしても現王は、刹那と玉響を見逃してはくれないらしい。




 静かな残滓を労る時間くらいあげれば良いのに、ね。







 終わって、しまうのだから。



 

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