ロヴと談夜湖
―数時間前
満月が夜の木々達を照らす頃、ロヴは談夜山頂上まで登り切っていた。
『夜談湖にいる悪魔2匹の討伐または、天使の素質を持ったメガネの女の子の誘拐 このどちらかを成功させてね』
「と、キルフィールに言われたものの あいつ場所の名前間違えてるし ここは 談夜湖なのに 夜談湖って、ここはアラビア語で喋んねーよ」
と1人ツッコミをしながらロヴは湖を高台から見下ろしていた。
「お、なんか光ってるなぁ…誰かいるのかな?」
ロヴはそう1人でボヤいた後、ゆっくりと高台から降り、山道を下り湖の方向へと向かった。
山道を下り終わったロヴは湖周辺で光りが灯ってる場所を目指して木陰から身体を潜めて動き始めた。
(光はあの、火から出てるのか… )
遠くから目を細めながら光を見つめていたロヴはその先で人々が集まっているのを理解した。
(あの感じ悪魔は…少なくとも あの水色髪は悪魔で確定だな、しかしそうなるともう1人はどこに…)
そう考えてるうちに、オシャレな服を着た老人が子供6人を連れて、山道へ向かっていくのが見えた。
(やっば、これみんな ここから離れるつもりじゃ! メガネの子、メガネの子だけでも…!)
ロヴは音を殺して歩くのをやめて、颯爽と光の先へと走り出し 腰につけていたハンドガンを構えたまま、木に寄りかかって気絶してるドリーを首元から捕まえようとしたその時
「差別があるのは知ってたが、政府はそれに関して、何も思わないのか?」
というサタナキアの純粋な質問にロヴは耳を傾けた。
その時、ロヴの頭の中の記憶が断片的かつ強制的に思い出させるように声が響いた。
『お前達は、危険思想だ。 その為我々は貴様らを差別する』
『ロヴちゃん、それ危ないよ?』
『自分がまともな恋愛を出来ると思うなよ』
そう響き渡る声にロヴは怒りを抑えるため歯を食いしばり、一呼吸置いた後周りに聞こえるように
「思わないから政府なんでしょ?」
と答えた。
発言する必要のないはずなのに不意に出た言葉にロヴは自分の口を咄嗟に塞いだ。
(やらかした、どうする、メガネ…メガネ…!)
動揺しながらもロヴはそれぞれがドリーから目線を外し別の方向を見たタイミングを計らって、身を飛び出しドリーを盾にするように皆の前に現れた。
―現在
「なんで、そんなことするんだ…ロヴ」
両手を上げ両膝を地面につけたままテータはロヴを見つめながら問いかけた。
「んー、命令だから?」
ロヴは自分のハンドガンが先程勢いよく身を投げ出した時に傷がついてないか確認しながら、答えた。
「ドリーを捕まえろって命令か?」
セキヤは撃たれた肩を抑えながらうつ伏せ状態で質問をした。
「え、この子ドリーって言うの?」
「知らないのに、捕まえるのか…?」
「まぁ、名前教えて貰ってたら間違えて私がナンヨウハギを捕まえちゃうからじゃない?」
そう呟きながらロヴはふと湖の方向を横目流した。
(水色髪のやつが居ない…。)
そう気づいた瞬間にはもう遅かった水で出来たトライデントが3本宙に浮いてるのが見えた。
「やば…!」
「グシャグシャグシャ」
砂埃が舞っており、そこに姿は見えなかったが確かに3本のトライデントが見事的中し、身体に差し込まれていくような音が聞こえた。
「やれた!? 私できた!?」
セパルは湖から顔を出し、刺さったかどうかをテータかセキヤに聞いたが
「あぁ、見事に刺さったよ。」
答えてくれたのは、テータでもセキヤでもましてやサタナキアでもなければ、先程までテータ達とお喋りしてたロヴの声でもなかった。
セパルはその声に聞き覚えがあり、身体を震わせたまま、砂埃が晴れた瞬間、その恐怖は紛れもなく本物であったと知ることになる。
ロヴが先程まで居た場所に立っていたのは恐怖と嫌悪感を感じるようなオーラを放っている存在、キルフィールだった。




