3-2話 それ、俺でもできる…!
四衆が動き出して、数日が経った。
拠点は、少しずつ変わり始めていた。
瓦礫が片付き始めている。草に飲まれていた石畳が、少しずつ顔を出してきた。崩れた建物の石材が、使えるものと使えないものに仕分けられて、きれいに積み上げられている。
御座衆の仕事は、地味だが着実だった。
一方、狩猟に出た三衆からは、毎日のように獲物が届く。柵衆が大型の獣を仕留め、鍬衆が川で魚を取り、大樹衆が木の実や山菜を集めてくる。
食糧問題は、当面はなんとかなりそうだった。
そして俺は——。
「神様、お疲れ様でございます。でち」
「……俺、何もしてないんだが」
御座衆の小鬼が、頭を下げながら通り過ぎた。
俺は、石垣の上に腰かけたまま、拠点を見渡していた。
昼になった。
「かみさま!おつかれさまでございますでち〜!」
鍬衆の小鬼が、魚を運びながら頭を下げた。
「……ありがとう」
夕方になった。
「かみさま、きょうもおつかれさまでちた!」
柵衆の小鬼が、獲物を担ぎながら頭を下げた。
「いや本当に何もしてないんだが」
夜になった。
「かみさま、ほんじつも、おつかれさまでございましたでち♪」
ギコが、頭の葉っぱを揺らしながら言った。
「……ありがとう、ギコ」
「かみさまはいるだけでいいでち」
「……そうか」
俺は、焚き火を見つめた。
いるだけでいい。
それはありがたいのだが。
……なんか、暇だ。
御座は参謀として指揮を取り、柵・鍬・大樹は各衆をまとめている。小鬼族たちはそれぞれの役割をこなしている。ギコは御座の補佐をしている。
全員、忙しそうだ。
俺だけが、することがない。
「……御座」
「はい、殿」
御座が、静かに隣に来た。
「俺、なんかしなくていいのか」
「殿は、ここにいてくださるだけで結構です」
「……それはそうなんだろうけど」
俺は、立ち上がった。
「なんか、したい」
御座は、しばらく俺を見ていた。
「……何か、ご希望はありますか」
「外に出たい。何か役に立てることをしたい」
御座が、少し考えた。
「でしたら」
「うん」
「各衆が仕留めた素材を、近くの集落で売ってきていただくことはできますか。生活に必要な道具や布、塩なども調達できれば、拠点の整備が一段と進みます」
俺は、目を輝かせた。
「それ、俺でもできる…!」
「はい。殿にしかできないことです」
……魔物を連れていったら即アウトだからな。確かに、人間の俺にしかできない。
「よし、行ってくる」
「お気をつけて」
御座が、静かに頭を下げた。
俺は、翌朝から、商人のような生活を始めることにした。
商人編突入(???)
商人ということは…露店の…




