表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/62

3-1話 御座がそう言うなら、そうなんだろう


 廃村に着いた翌朝。


 俺が目を覚ますと、御座(みくら)が静かに待っていた。


 いつも通りの、落ち着いた気配。でも、どこか「話があります」という雰囲気が漂っている。


「……なんだ、御座」


「殿、一つご提案があります」


 御座が、ゆっくりと話し始めた。


 内容は、こうだ。


 今、俺たちの集団はおよそ千三百体を超える。このまま烏合の衆として動かしていては、食糧も確保できなければ、拠点の整備もままならない。だから、四つの衆に分けて、それぞれに役割を持たせたい。


 柵衆、鍬衆、大樹衆——それぞれ約四百体の小鬼族を配属し、狩猟と戦闘を担わせる。


 御座衆は、ギコと増幅魔法の使い手三体を含む百六十体で編成。生産と内政に特化させる。瓦礫の撤去、草むしり、拠点の整備は御座衆の非戦闘員が担う。


「……なるほど」


 俺は、話を聞きながら頷いた。


「御座、お前が考えたのか」


「はい。ただ、実行するかどうかは、殿のご判断に委ねます」


 俺は、少し考えた。


 少し、というか、ほとんど考えなかった。御座がそう言うなら、そうなんだろう。


「やってくれ」


「承知しました」


 御座が、静かに動き出した。


 御座の号令は、あっという間に伝わった。


 ギコの笛——増幅魔法なしの通常バージョン——が鳴り響き、千三百体超が一か所に集まる。


 御座が、静かに、しかし明確に指示を出していく。


 柵の前に四百体が集まる。鍬の前に四百体が集まる。大樹の前に四百体が集まる。残りの百六十体が、御座の周りに集まる。


 驚くほど、スムーズだった。


「かみさまのいいつけでち!!」


「ついていくでち!!」


「でちでちでち!!」


 小鬼族は、よく分かっていないまま、嬉しそうに動いている。


 それでも、形にはなっていた。


 俺は、その光景を、少し離れたところから眺めていた。


「……お疲れ様でございます、神。」


 御座衆の小鬼が一体、俺に向かって頭を下げた。


「俺、何もしてないんだが」


「神がいてくださるだけで、皆の士気が上がります。でち」


 ……そういうもんか。

あとなんかお前、流暢な喋り方だな、難しい言葉使って。大人じゃん。


 柵が、四百体の小鬼族を前に、筋肉をバキバキに膨らませながら叫んでいる。


「柵衆よ!!我に続けぇぇぇ!!!」


「「「でちーーーー!!!!」」」


 鍬は、蛇の腕をうねうねさせながら、軽やかに指示を出している。


「じゃあ鍬衆は川の方向から索敵っすね〜!いくっすよ〜!」


「「「でちーーー!!」」」


 大樹は、蔦をぶわりと広げて、傲然と仁王立ちしていた。


「大樹衆よ!!我が率いる以上、天下無敵と知れ!!はっはっはっは!!」


「「「でちでちでち!!!!」」」


 ……大樹、意味のないことを言っている。でも、小鬼族はなぜか一番テンションが高い。


 御座だけが、静かに、淡々と、全体を見渡していた。


 その目が、ふと俺の方を向いた。


「殿」


「なんだ」


「今日から、ここが殿の城です」


 俺は、崩れかけた石垣と、草に飲まれた棚田の跡を見渡した。


 城、か。


「……城にするには、まだまだかかりそうだな」


「はい」


 御座は、一拍置いてから言った。


「ですが、必ずなります」

最後まで読んでいただきありがとうございました(*´-`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ