2-5話 一つだけ、条件がある…!
「主よ、これからどうする?」
大樹が、蔦をゆらゆらさせながら聞いてきた。
「そーだなあ……」
草原に腰を下ろしたまま、俺は考える。
町には、良い思い出がない。ビー玉……あのジジィィィ!!
拳を握りしめると、隣で鍬がのんきに言った。
「もう殿は町出禁なんで、森っすね〜♪」
「テメェ〜鍬ぁ!!」
俺は拳をワナワナと震わせた。
が。
……まあ、やっぱそうなっちゃいますよね〜。
深呼吸する。
冷静に考えると、森での暮らしは、何不自由なかった。飯も水も寝床も、三体がなんとかしてくれていた。俺が「飽きた」「町見てみたい」とふらついた結果があれだ。
当分は、森に隠れていた方がいい。それは分かってる。でも。
「ーーーーフシュ〜〜〜〜……。一つだけ、条件がある」
四体が、一斉に俺を見た。
「樹海には戻らない。マルタの町にも近づかない。大都市グランからも離れる」
「一つじゃないですが?」
「別の森を探す。できれば、樹海より危なくない場所!」
俺のグッドマークがビカーン!と光る。
御座が、静かに頷いた。
「賢明かと。樹海より魔物の強さが劣る森は、グランから東の方角にいくつかあると聞いています」
俺は立ち上がり、夕暮れに背を向けた。
「おっし!森に行きますか!」
「おおーーー!!!」
柵が、筋肉をバキバキに膨らませながら立ち上がった。
「我も異存なし! どこへでもついていくぞ、主よ!!」
「わーはっはっは!!!」
「っす!」
四体が、思い思いのテンションで動き出す。
……やかましい。でも、なんか、悪くない。
俺は、ポケットの中のビー玉を一度だけ握りしめて、歩き出した。
あのジジイ、いつか絶対見返してやる。
もう一度、強く握りしめた。




