2-3話 多数決だ〜!!
大通りに人だかりができていた。
野次馬が左右に割れ、その真ん中を、堂々と歩く四つの影が。
「…………………」
俺は、その光景を見て、動けなかった。
「ぎょえええええええ!!!!!!!!!!!」
髪が逆立つかと思った。
柵が、足の筋肉を見せつけながら闊歩している。鍬の尻尾の先の指が、左右にゆらゆら揺れている。大樹は頭のモンブランを誇示するように、胸を張って歩いていた。御座が、ふわふわと浮きながらその後ろをついて行く。
四体とも、周りの悲鳴など、まったく気にしていない。
「いやあ、良い町っすね〜!殿が喜びそうっす!」
「うむ、活気があるな! 我も気に入ったぞ!…おお!あの建物、面白い形をしておるな! 柵よ、見ろ!」
「おお!本当だ! しかし俺はこっちの筋肉が気になるな!!」
楽しそうだった。
心の底から、楽しそうだった。
俺は、そっと踵を返した。
関係ない。俺はただの村人Aだ。あの魔物たちとは、何の関係もない。ようこそ、マルタの村へ!
「あ!殿〜!」
鍬の声が、通りに響き渡った。
蛇の掌が、高々と振られている。
「おう!殿!ここにいたか!!」
柵が、謎の決めポーズで筋肉を披露しながら言った。
周囲の視線が、一斉に俺に集まった。
「……」
oh!やれやれ…逃げ場が、なかった。
俺は、深く息を吐いて、四体の前に歩み出た。
「……御座」
「はい」
「何がどうなってこうなった」
御座は、静かに、落ち着いた声で答えた。
「私は止めました」
「うん」
「ですが、大樹が鍬と柵を唆しまして」
「うん」
「『殿がいる町に行くべきだ』と主張し始めまして」
「うん」
「『多数決だ〜!!』と叫びながら、三体で侵入しました。私は、殿に事情をご説明するために、やむを得ずついてきた次第です」
「……御座、お前がいても止められなかったのか」
「……申し訳ありません」
御座が、珍しく、少しだけ頭を下げた。
「はっはっはっはー! 主よ!!我らが来たからには、もう安心だ!思う存分、観光を楽しむが良い!」
大樹が、蔦をぶわりと広げながら高らかに笑った。
「できるかーーーーー!!!!!!!!!!!」
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