2-2話 いくらですか…!
露店が、通りに並んでいる。
食べ物、布、装飾品、薬草――見たことのないものばかりだ。
「いらっしゃい兄ちゃん、新鮮な南の果物だよ!」
「お、旅の人かい?うちの干し肉、樹海育ちの獣のやつだよ!」
声をかけられるたびに、ふらふらと吸い寄せられる。
果物を一つ買って食べた。甘い。こんな味、初めて知った。
焼いた串を買った。うまい。
布製の腕輪を買った。なんとなく。
俺チャン、今日めちゃくちゃ自由だな。
そんな時だった。
「おお、兄ちゃん、ちょっとちょっと」
路地の角に、小さな台を置いた老人がいた。シワだらけの顔に、やたらと人懐っこい笑みを浮かべている。
「珍しいもん、見てかないか」
台の上には、小瓶に入った液体や、乾燥した草、そして――一つの石が置いてあった。
透明な、丸い石。
陽の光を受けて、七色にきらきらと輝いている。
「……なんすか、これ」
「ふふふ。兄ちゃん、目がいいねえ。これはな、樹海の奥で採れる、特別な宝石だよ」
老人は、石をそっと持ち上げて、俺の目の前に近づけた。
「持った者に、幸運をもたらすと言われとる。旅人には特に効くんだわ」
光が、石の中で踊っている。
「いくらですか…!!」
「そうだなあ。兄ちゃんは良い顔してるから、特別に」
老人が告げた値段は、さっき稼いだ金貨の、三分の一ほどだった。
高い。絶対高い。
でも。
……きれいだな。
「……ください」
俺は、財布を開いた。
石を眺めながら、通りをぶらぶら歩いていると。
「きゃあああああ!!」
「な、なんだあれ!」
「魔物だ!! 魔物が町に入ってきたぞ!!!」
通りの向こうから、悲鳴が聞こえてきた。
……?
俺は、石をポケットにしまい、声のした方へ、のんきに歩き出した。




