6話
まあまあ長い手紙でした。
でも、神様、ありがとうございます。
かなり優遇して頂きました。別れ際、文句を言ってごめんなさい。
ただ、究極の下着に関してはノーコメントです。
メニュー画面の確認を続けよう。
次は『魔法』だが……空欄でした。まだ使えないのか。残念。
では『スキル』は――
ガサガサ……
「……ッ!?」
慌てて周囲を確認する。が、わからない。
メニュー画面に集中しすぎた。
こんな何があるかわからないところで、警戒しようとも考えないとは……。
いや、後悔も反省も後だ。
まずは安全を確保しよう。
とは言え、現代日本は東京に生きる生粋のもやし野郎だ。
森の中での行動など経験したことなどない。
どうする? どうする? どうする?
身を守る道具。
防具はない。
武器は……。
ナイフを出しベルトに挟むがまだ鞘から抜かない。
あまり刃物に触れたことがないので自分を切りそうで怖い。
それから杖を出す。
120cmぐらいのまっすぐな杖。
変な装飾がないから持ちやすい。
握ると太すぎず細すぎずちょうど良かった。
襲いかかられても杖で殴ってナイフで刺す。
いちおうのイメージはできた。
できるかどうかわからないけど。
無理矢理笑うつもりで口の端を持ち上げる。
少し落ち着いた。
「……すー……はー……」
深呼吸して酸素を取り込む。狭くなった視野が、少し戻った気がした。
森の中は静かで、先ほどの物音が気のせいだったような感じがするけど……。
油断しないで辺りを見回す。
カサ――
「……ッ!」
音のした方を凝視する。
ガサガサガサガサッ!
何か黒い塊が飛びかかってきた!
[ワイルドドッグが現れた!]
頭の中に何か文章が浮かぶ。
字幕みたいだ。
黒い塊の動きがやたらゆっくり見える。
だからだろうか?
黒い塊が犬であるとわかる。
黒犬は大きく顎を開き、オレへと向かってくる。
何も考えられず、ただ、持っていた杖を突き出す。
黒犬の開いた口、喉の奥に直撃した。
「キャインッ!?」
黒犬の勢いが腕に伝わり、
痺れとなり、
脳天を貫き、
足の指の爪先まで、
全身に回り、
これまで感じたことのない感覚に戦慄する。
オレはその感覚をもう一度確かめようと、杖を振り上げる。
……僅かに躊躇い、転げ回る黒犬の身体を足で踏み付け――杖を降り下ろした。
何度も何度も。
…………
………
……
[ワイルドドッグを倒した!]




