5話
……っていうか、さっきから目の端で光がチカチカしている。
なんなんだ、いったい?
太陽の光か? でも、顔を動かすと一緒に光も動くので、違うだろう。そもそも、森の中だし。
病気か? 頭を打ったっけ?
顔を動かさずに、その光を注視してみる。
すると――
「……メニュー画面?」
RPGによくある画面が宙に浮かぶ。同時にチカチカも消えた。
画面端をさわると掴めたので、引っ張ってみると動く。タブレットみたい。
画面には、右側に『アイテム』や『魔法』などが縦に並んでいる。
左側は、『LP:1050/1050』『MP:1000/1000』とあり、その下にそれぞれ緑色と青色のバーがあった。
さらに『10:23』とあり、これは時間だろうか? 『100000E』はなんだ?
確認のため、『アイテム』にタップしてみる。新たな画面に変わった。やはり引っ張ると動く。先ほどまでの画面はない。
よくよく見れば、右端上部に小さな『×』があった。タップすると、元の画面になった。
今度は『魔法』にタップすると、また画面が変わった。右端上部の『×』にタップして、元の画面に戻す。
「ふむ」
まぁ、パソコンのウィンドウ操作を空中でしているみたいだから、慣れれば問題ないだろう。操作方法もそれほど難しくない。
あとは内容だな。
再び『アイテム』をタップ。そこには、【ナイフ】【水筒】【保存食30】【寝袋】【杖】【手紙】とあった。
少し考えて【ナイフ】をタップ。すると目の前に、鞘に収まったナイフが出現する。何もせずに見ていると、しばらく浮かんでいたが、30秒ほどで地面に落ちた。
拾う。鞘から出すと、刃渡り20cmほどの綺麗な両刃のナイフだ。思ったより頑丈そうで、様々な場面で使えそうである。
鞘に収めてから、少し考えて、画面に押し付ける。するとナイフは画面の中に消えた。
「テンプレ……」
ついでに手を画面に押し付けると、画面の中に沈んでいく。頭の中で【ナイフ】と思い浮かべると、手の中にナイフの感触があったので、画面から手を引き出した。思った通り、ナイフを握っていた。そのまま画面にナイフを突っ込んで手を放し、今度は【手紙】を取り出す。
白い封筒が出てきた。中から便箋を取り出し読む。
『この手紙を読んでいるということは、無事に異世界に到着して、メニュー画面から手紙を取り出すことができた、ということだね。
良かったよ。
さて、いくつか説明しよう。
まずは君の身体だけど、事前に話した通り、新しく創ったモノだ。外見的にはほとんど変わってないけど、性能的には良くなっているはず。
それから服装だけど、一般人が着る一般的な服だよ。あんまり良い服装だと、奪われる可能性があるからね。
その代わりとはいうわけではないけど、君が欲しがっていた最強の装備を一つプレゼントだ。
そう、【神のボクサーブリーフ】だ。これはスゴいよ! 耐刃耐火耐水などに加え、汚れず蒸れず濡れず臭わず、さらに、急所を攻撃されても衝撃を通さない。ありとあらゆる障害をはね除けるんだ。まさに、究極の下着だね!
だけど、このプレゼントをしたために、他の道具類はあまりあげられなくなったけど、まぁ、良いか。いちおう、水と食べ物は最低限あるからね。
アイテムを持ち運べる『アイテムストレージ』は、容量無限、重量無視、内部時間停止というモノです。
スキルは見たかな? ランダムで決まったから何があるかわからないけど、君の性質に合うものが選ばれたはずだから、がんばって使いこなして欲しい。
ステータス画面は見たかな? ゲーム好きならなんとなくわかるよね。説明は省くよ。ちなみに、この世界の一般人の平均値は、100前後さ。さらにちなみに、地球の一般人はその二割減といったところかな。
お金なんだけど、10万E用意した。エギルが単位だよ。世界共通さ。価値としては、1E=10円ぐらいだったはず。これも世界共通。だから一年間は何もしないでも、生きることはできる。
時計を付けておいた。1日24時間になっているけど、あくまでもその世界でのことだから、もしかしたら最初の内は、感覚がずれるかも。
このぐらいかな。あとは実地で学んで欲しい。
あぁ、最後に忠告しよう。
このメニュー画面だけど、君だけの特典です。だから、他の人達には見えない。スキルとかステータスの話をしてもわからないし、おかしなやつと思われる。話すなら、信頼できる人にするんだね。
では、冒険を楽しんで欲しい、がんばって。 神より』




