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4話

「あぁぁぁあぁぁ……っいて!」


 背中に衝撃が走る。痛い。落ちた……のか?


「うぅ……なんだよ、もう。逆バンジーってなんやねん」


 オレは背中をさすりながら、思わず関西弁で言った。

 そして、周囲を見回す。


「森の中か……やはりテンプレ」


 どこかの街の中とかが良かったけど。しょうがないか……。

 砂漠の真ん中とか、雪山とか、海の中よりかはマシだろう。

 木漏れ日の下、緑の匂いを感じながら、この場所に送ってくれた神様に感謝。


「さて」


 どうしようか。

 そうだ。神様は魂だけしかないオレに、身体を用意してくれるって言ってたっけ。

 まずはその身体をチェックしよう。

 ……

 …………

 ………………

 うん、わからん。

 鏡がないから顔の造作は確認できないし。変わってないよね?

 指や腕なんかも、変化があるようには見えない。ほくろの位置は一緒だったと思うけど、あまり覚えていないし。

 視線の位置が変わっているようには思えないし、違和感はないので、170ぐらいだった身長は変わってないだろう。

 腹を見たが、軽いメタボによる脂肪がなくなっている。むしろ、体重が減って痩せたかも。

 まぁ、不都合はないよな。……ないよね?


 身体を動かしてみよう。

 首を回し、腕を振り、腰をひねって、足踏みして、軽く跳ねてみる。

 異常なし。どころか、なんか調子良い気がする。

 身体が軽い。

 高校卒業以来、運動らしい運動はしていないので、どこが調子良いのかわからないけど、この様子ならもっと身体を動かしたいなぁと思う。


「これがチートか?」


 少なくとも、運動能力に関しては、以前とは別物じゃないだろうか。

 そんな気がする。

 ただ以前がへっぽこなので、比べるにしても、参考にはしないほうが良いかな。落ち着いたら、どのくらい出来るかきちんと確認しよう。

 調子に乗ると、怪我しそう。


「……この服装は」


 服装は『ぬののふく』だ。他に言い様がない。正確には、麻の服だけど。ちょっとゴワゴワする。街に着いたら、着替えを買おう。

 足元は皮製のブーツだ。柔らかではあるが、少し頼りない感じがする。

 驚いたのは下着だ。黒色のボクサーブリーフタイプで、きちんと伸縮するのだ。ゴムとかあるのだろうか? そのおかげか穿き心地が良く、というよりは穿いていないかのようだ。

 服やブーツに比べたら、下着の縫製技術だけ別物のように思える。

 何か理由があるのだろうか?

 今は考えても仕方ないか。


「持ち物はなし」


 元々、免許の更新に行くつもりだったので、手荷物はほとんどなかったけど、財布やスマホ、着ていた服はどうなった? 異世界にそぐわないから換えられたのだろうか?

 ……いや、違うか。移動したのは魂だけだから、服なども神様が用意してくれた物なんだ。


「裸で放置されるよりはマシだろうけども」


 お金や食べ物などは早急になんとかしなければ。

 特に、水がないと死ぬ。

 森の中で生活するスキルなんてオレにはない。

 ならば、早急に森を抜けることを優先しよう。

 その途中で、水や食べ物を見つけられたら良いのだが。


「さて……行くか」

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