33話
冒険者ギルドに着いて、最初にすることは昼食だ。
もう昼過ぎだからね。
ギルドに併設されている食堂で、食べることにする。
ここは「ミルクを」とか注文して、「ガキが。ここは酒場だぞ! 酒を頼め!」というやり取りをしたい。
では、早速。
「ミルクを下さい。あと何か食べるものを」
「はーい。少々お待ち下さいね!」
……。
このギルドはことごとく、オレの夢を壊してくれる……。
傷心のオレは、腹がパンパンになるまで食事をした。
支払いがかなりのものとなったが、後悔はしていない。
美味かったし。
依頼票が掲示してあるのを見るが、オレは最底辺のGランクであるため、メルガルド大森林の中での依頼がなく、都市周辺のものしか受けられないようだ。
それだけ危険、なんだろう。
「あら、ラムダさん、でしたね。本日はどのようなご用件でしょうか?」
困ったオレは、受付にアンナさんがいたので、相談してみることにした。
かくがくしかじか、と事情を説明する。
「そうですね……。基本的にどのような依頼を受けるかは、その冒険者の自由でして。
冷たい言い方になってしまいますが、その依頼で何が起きようと、自己責任となっています」
あくまでランクというものは、目安だという。
「なので、ランクに合わない依頼を受けるだけなら、問題はありません。
ただし、実力が足りず依頼に失敗してしまうと、ペナルティがあります。
失敗してペナルティならまだ良い方で、死んでしまうこともありますし。
そういったことを減らすため、当ギルドは推奨ランクというものを設けていますし、依頼人の方からもランクの指定があります」
ふむ。まぁ、基本的にギルドの推奨するランクごとの依頼を受けていれば、問題はないというわけだ。
「わかりました、ありがとうございます」
とりあえず、オレが今、受けられる依頼はいくつか受けとこう。
ワイルドドッグやゴブリン討伐、大ウサギの毛皮集めなどだな。
「あと質問ですけど、武器や防具が欲しいのですが、どこかオススメのお店を教えてもらえないでしょうか?」
「んー、そうですね……?
初心者向けのものなら、ここのお店が良いかと」
「ここ?」
「ええ。この上にあります。武器や防具だけではなく、他に役立つ道具類が多くあります。割引も利きますし」
良い笑顔のアンナさん。まぁ、その売り上げが、アンナさんの給料になるからだろう。
その笑顔に免じて、行ってみよう。
というわけで、階段を上ってやってきました。
二階は応接室や会議室などがあり、さらに上の三階と四階に武器や防具、道具が売られているようだ。
まずは道具を見よう。
各種ポーションや毒消しなどの薬の類いに、干し肉や乾燥野菜といった非常食。旅に必要なテントや寝袋、などなど。
ふむ。
ケガは放っておいても治るし、毒も効かない。
非常食でなくとも、『アイテム』の中は時間が経過しないので、適当に食べ物を入れておけば良いし。
眠らないので、テントも寝袋も使わない。
どれもいらない、と思ったけど、一応揃えておくことにした。
初心者パックで一揃え買うと安くなるようだし、万が一、同行者がいるような事態に陥ったとき、持っていないと疑われてしまうからだ。
まぁ、初期投資だと思おう。
次に、武器を見る。
もっとも、基本的に投石がメインだし、あとは杖とナイフでなんとかなりそうだが。
でも、剣ってロマンですよね。
そう思って、いろいろ見てみる。
ちょっと短めのショートソード、両手持ちのツヴァイハンダー、柄が長めのバスタードソードなど、様々な種類の刀剣がある。
もちろんそれ以外にも、槍や斧などがあった。
アンナさんは安いと言っていたが、やはりそれ相応の値段のようだ。
他に買えるものがなくなってしまう。
やっぱり、もっとお金を貯めてからにしようか。
……おや?
入るときは気付かなかったけど、入口のところに無造作に剣や槍が立て掛けてある。
これ、なんだろう?
店員に訊くと、お弟子さんの造ったもので、特に出来の良いものを置いてあるのだそうだ。
出来の良い、といってもまだまだなのだそうだが、原価で売りに出している、とのことだ。
確かに安いが、今の話を聞くと不安になるな。
いくつか手に取ってみる。
うーん。
別に目利きができるわけではないけど、いや、これは……?
幅広の刀身で、ブロードソードと呼ばれているものだ。
あまり切れ味は良くなさそうだが、その代わり刀身が分厚く頑丈そうだ。
なんかピンときた。
これを買おう。
そう伝えると、売れると思ってなかったのか、サービスしてくれた。
自分で簡単な手入れができるように、油とか布をもらった。
ありがたいです。
あとは、防具だな。




