26話
というわけで、冒険者ギルドに到着です。
宿の女将さんに言われた通り、広場に着いたらギルドはすぐにわかった。
5階建てのかなり大きな建物に、それらしい格好をした人達が出入りしていたからだ。
うん。テンプレっぽい展開がありそう。
「おい、ボウズ」とか言われて、絡まれたりするんだ。
いや、オレの年齢なら、「おい、オッサン」だろうか?
くぅ、なんかドキドキしてきた。
しかし、身分証が欲しいんだし、ケンカするわけにはいかないな。
どうやって、対処しよう?
「おい、そこのあんた」
「……はいっ!? なんですか!?」
キター! まだ建物の中に入ってないけど!
オレが建物の前でぼんやりしていたら、革鎧を身に付けたマッチョなハゲ男が、のしのしやってきた。
「そこに立ってられると、邪魔なんだ。どうしたんだ? 道にでも迷ったのか? わかるところなら、連れて行ってやるよ」
……マジか? ただの親切な人……だと?
「……い、いえ。冒険者ギルドって、ここで良いのかなーって、ちょっと迷ってまして。申し訳ない」
「なんだ、それなら合っているよ。ここが、冒険者ギルドだ。
そら、先に入れよ」
ニカッと笑うと、ハゲ……ではなく剃髪した男は、ギルドの扉を開けてくれた。
な、なんというジェントルマン。マッチョなのに……(偏見)。
「あ、ありがとうございます」
あまりのことに、声が少し震えてしまったが、ゆっくりと建物の中に入る。
その後ろから、マッチョ男も入ってきた。
なんか退路を塞がれた、と思うのは、オレの心が汚れているのだろうか?
扉の正面はカウンターがあり、数人の受付をしている職員がいる。
左側には、壁に紙が貼られている。テンプレなら、あれは依頼票じゃないかな。
奥に階段があって、2階に行けるんだな。
右側は、丸いテーブルがいくつかあり、食事ができるようだ。奥の方に仕切りがあって、そちらで調理するようだ。
オレはキョロキョロとしていると、剃髪マッチョ男が受付の方に向かい、手招きする。
「こいつ、初めて来たみたいだから、面倒みてやってくれよ。じゃ、頼んだぜ」
受付の女性にそう言うと、剃髪マッチョ男は2階に上がっていった。
ジェントル、かつスマート。
なんということでしょうか。
お礼を言うヒマさえ与えないとは。
あんな男になりたいものだね。
「こちらへどうぞ。
はじめまして。私は冒険者ギルドで受付をしております、アンナと申します。よろしくお願いいたします」
「これはご丁寧に。
私はラムダです。こちらこそよろしく」
「本日は、どのようなご用件でしょう? 何か依頼したいことが?」
「いえ。登録したいと思いまして」
「はい。承りました」
そこから先は、特に何もなく進んでいった。
書類に必要事項を記入(代筆してもらった)し、提出するだけの簡単なお仕事だ。
なんだかわからない金属でできた名刺くらいのプレートに、ちょっと血を垂らすといつの間にか名前などが刻まれている、という不思議体験もした。
さらに、冒険者ギルドの簡単な説明を受けた。
なんというか、テンプレだなぁというのが、オレの感想だった。
「……以上になりますが、何かご質問はございますか?」
「えーと、あ、そうだ。他にもギルドがあるんですよね?」
「ございます。魔法使いギルド、商人ギルド、職人ギルドです」
「私は今、冒険者ギルドに加入しましたが、それらのギルドにも加入できるのでしょうか?」
アンナさんに、オレの質問ににっこりと笑って、
「はい。特に禁じられておりません。
ただし、それぞれギルドごとにノルマが定められています。
例えば当ギルドでは、最低ランクは30日の間に10の依頼を受けなくてはなりません」
このノルマは、ギルドに加入しても仕事をせず、身分証を手に入れようとすることを防ごうとするものらしい。
ちなみに最低ランクはGで、F、E、Dと上がっていき、最高ランクはSSSの10段階となっている。
ランク毎にノルマは変わっていくそうで、Sランクになるとノルマなどなく、ある種の名誉職のようになるとか。
「ノルマをこなせないと、資格剥奪ということもあり得ますので、ご了承下さい」
つまり、複数のギルドに加入すると、ノルマだけが増えてにっちもさっちもいかなくなってしまうのだ。
「ですので、せいぜい2つのギルドに入るのが、限界かと思われます」
テンプレなギルドの説明も聞いたし、もう質問もない。
もし聞きたいことができたら、また来れば良い。
ふむ。じゃあ、ディーネのこともあるし、次は魔法使いギルドに行くかな。




