23話
SPはスキルの獲得に使うと決めたが、それは今じゃない。
もっと安全なところで、ゆっくり選びたい。
オレはステータス画面を消して、周囲を見渡した。
異変は無さそうだ。簡易マップを見ても……いくつか光点が近付いてくる。
血の匂いとか、かな。
ゴブリンと戦うため、街道から少しそれてしまっていたので、戻って再び歩き出す。
ついでに、石を拾う。
たくさん拾って、『アイテム』に収納。
重さが関係ないなんて、チョー便利です。
オレ達が移動しているのに、簡易マップの光点はこちらに近付いてくる。
完全に捕捉されているけど、何故に?
目で見えている?
匂っている?
それとも……?
まぁ、オレも相手を捕捉しているし。
ならば、同様に相手もオレを捕捉していても、不思議ではないか。
理由がわからないから、対応できないってだけで。
ある程度近付いてオレの目でも見えた――チートなのだろう、コンタクトレンズが必要だった視力は回復していた――から、投石を開始する。
ゴブリン2体と犬――ワイルドドッグ2頭に、高く山なりに投げる。
こちらに向かって走り出したが、それも計算して投げた石は、ゴブリン2体の頭に直撃した。
生憎ワイルドドッグは、当たる直前に加速して避けた。
多分このやり方でも、あいつらに正面から当てるのは難しいだろう。
気付かれないうちじゃないと、ムリなんだ。
それがわかっただけでも、良かった。
ディーネに水球を撃ってもらった。
ワイルドドッグが水球を避けた瞬間、石を投げる。後ろ脚に当たった。
走ってきたもう1頭のワイルドドッグが、オレに飛びかかる。
杖でカウンターの一突き。
そこにディーネの水球が当たり、ワイルドドッグの頭が弾けた。
脚が動かなくなったワイルドドッグは、唸ってこちらを威嚇するが、無視して杖を降り下ろす。
倒れていたゴブリンのとどめを刺して、戦闘終了。
やっぱり石だけでは、そうそう死なないか。
こういうときに、幸運が影響するのだろうか?
そんなこんなを考えつつ、死体を回収し、また歩き出す。
途中、ディーネが浮かない顔をしているので話を聞くと、
「え? 戦闘で役に立ってない? そんなことはないけど……」
考えてみれば、ディーネの得意なのは回復、防御、支援だ。
そのうちの、回復に関していうと、オレには全く必要ない(放っておいても勝手に治る)。
今までの戦闘では、防御の類いもいらなかった、となると、確かにディーネの役割は……?
ディーネに防御魔法について聞くと、水の壁を前方に出すことができる、とのこと。
うーん? まぁ、あれば便利っちゃ便利かな。
でも、今のところは必要ないか。
ふと思いついた。温度は変えられないのか、と。
熱湯が出せるなら、攻防一体の強力な魔法になるはず……ムリですか、そうですか。
頑張っても、45℃くらい?
……フロにはちょうど良いね。
そうなると、次に出てくるのは高圧水流だなぁ。
単純に言うと、たくさんの水をスゴい勢いで一点に集中させる。回転させると、なお良し。
と、オレは指をぐるぐるさせながら、説明する。
さすが水の精霊だけあって、オレの拙い説明でも理解してくれたので、実験してみることにして、近付いてきた大ウサギにぶちかました。
その一撃は、大ウサギの眉間を貫き、さらに身体を貫通していった。
ふむ。なかなかの威力です。
これなら主力の攻撃になる。
と思ったけど、そうは問屋は下ろさず。
魔力の消費が厳しいそうで。
2発が限界らしいので、切り札として使うことにしましょう。
※※※※※
と、なんやかんやしているうちに、前方に大きい城が見えた。
いや、城というよりも、城塞というか。
堀に囲まれ、壁が高く、門も厚く大きい。
仮に敵に攻め込まれても、簡単には落ちそうにない。
そんな印象である。
もっとも、今は城門は開かれ、人の通行もそれなりにあるようだ。
オレも通りたい。
森から戦闘しながら、1時間ちょっと。すごい疲れたというわけではないけど、いろいろあったので休みたいのです。
さぁ、行こうと、足を速めようとして、ディーネのことを思い出す。
精霊を連れていて、問題はないのだろうか?
行かないのか、と微笑みながら首を傾げているディーネを見て、オレは少し悩む。
絶世の美女が、水のような透けた衣装(肝心なところは隠れているが)をその豊満な身体に纏わせ、裸足でいる上に、若干宙に浮いている。
ふむ?
宙に浮いているのに、初めて気付いてちょっとビビったが、それは今はどうでもいい。
問題は、そんな彼女を連れている男がいる、ということだ。
怪しい、ではすまされない気がする。
どうしたらよいでしょうか?




