18話
ふわふわとした感覚とともに、意識が戻った。
目を開けたら、美女の顔と豊かな双丘があった。
下から見上げるなんて、生きてて一度は経験したいことだった。いや、一度ではなく、二度、三度でもだが。
ちなみに、知らない天井だ、というセリフは、生きてて一度は言いたいなと思っているけど、それは今じゃない。
オレは、精霊様に膝枕されている。
頭の下はひんやりとして、さらに柔らかで、いつまでもこうしていたいと思ったが、そうもいかないので、起き上がろうとしたが、精霊様に止められた。
「重くないですか? 痺れたり……え? 血流を操作して痺れないように……そんなことが可能ですか。そうですか。
私はどれくらい気を失ってました? ……数百秒?」
5分くらいかな? 精霊は時間があやふやなのか。
まぁ、良いか。
体調は問題ないから、起き上がろうと思ったけど、精霊様が良いなら、オレとしてはこうしていたい。膝枕万歳。
微笑んでいる精霊様を見ていたら、少し違和感を覚えた。
なんだろう、顔が変わったわけではないし……強いて言えば年を取った?
あぁ、そうか。さっきまでは、子供が笑うようなニコニコした笑みだったけど、今は大人の女性が笑うような落ち着いた笑みなんだ。
外見的には同じなのに、表情だけでかなり違うものです。
さてさて、絶景をだいぶ堪能したので、起き上がろう。今度は止められなかった。
ついでに、顔を胸に埋めたいという衝動に駆られたが、自重した。だって、オレ、紳士だし。
しょうもないことを考えていたら、精霊様に心配された。
ごめんなさい、なんでもないです。
オレは精霊様に首を振ってから、メニュー画面を開いた。さっきから、視界の隅がチカチカしていて、気になっていたんだ。
名前 :ラムダ
レベル:1
生命力:1050
精神力:2000=1000+1000
筋力 :174
耐久 :172
敏捷 :175
器用 :181
魔力 :1100=100+1000
幸運 :20
スキル:不死 状態異常無効 超回復
杖の才能 魔法の才能 高速思考
杖LV.1 剣LV.1 投擲LV.1 錬金術LV.1
耐久走LV.1 解体LV.1 必中LV.1
召喚魔法LV.1(new)
加護 :【創造神】【創世神】
呪 :【創世神】
精霊 :【水】
うーむ。
なぜだか、精神力と魔力が膨大に増加し、スキルが増えている。
それに、精霊様って『森の泉の精霊』じゃなかった? これだと『水の精霊』みたいなんだけど。
とりあえず、精霊様に聞いてみると、進化したらしい。
よくわからない。そんな簡単に進化するものなのか?
精霊様によると、オレには神様の加護があり、それが契約に影響を及ぼしたのではないか、とのこと。
詳しいことはわからないそうだけど、少なくとも、通常の契約とは違って、対等の関係ではなくなったようだ。
確かに、【召喚魔法】というスキルはおかしい。召喚とは、目上の者が下の者を呼び出すことなのだ。
オレが聞いた契約に関しては、そんな一方的な関係にはならないはず。
しかし、結果は違う。
どうしようか悩んでいると、精霊様は気にしなくても良い、進化できて、上位精霊になれたのでかまわない、という。
チョロインか、と思ったが、今さらどうしようもないので、それについては気にしないことした。
魔力とか精神力も全て、神様(と女神様)のせいにしよう。そうしよう。
なんか、すごい疲れた。
腹が減ったので、保存食を出した。カロリーバーのようだ。ほんのり甘めで、やたら食べ応えがある。そこまで大きくないが、1個だけで十分だ。
精霊様が食べたそうだったので、もう1つ出して上げた。
小動物みたく、少しずつかじって食べているのが、とてもかわいらしい。ずっと見てられる。
手持ちぶさたになり、ステータス画面を適当にタップしていたら、精霊様の名前が決められることに気付いた。
「……そういえば、精霊様は名前がありますか? ないですか。え? 私が付けても? あぁ、良いんだ。では……」
どうやら、オレに名付けて欲しいようだ。精霊様はカロリーバーを食べながら、期待したような表情でオレを見ている。
んー、名前を決めるのは苦手なんだけど……水の精霊になったし、有名なところから、
「ディーネ、でどうでしょうか?」
ドキドキしていたけど、嬉しそうな顔で微笑んでいる精霊様を見て、オレはほっとしたのだった。




