17話
では、試してみよう。
とはいっても、どうしたものかな? さすがに、頸動脈をスッパリやるってのも、躊躇うよね。
「よし」
精霊様がこちらを見て首を傾げるのを横目に、気合い一発、オレはナイフを取り出し手首に添えつつ泉に入れて、一気に斬った。痛い。
「……!?」
精霊様の顔に驚愕が広がる。
泉がオレの血で染まっていった。
LPゲージが1割ほどなくなり、その後、徐々に減っていく。これは、継続ダメージか?
でも、そんなに減らないな。これだと、LPが0になるのは時間がかかりそうだ。
などと思って流れる血を見ていたら、手首の傷口が塞がり、LPが回復した。時間にして数秒のことだった。
実際、血が流れていたのも短い時間だった。あの程度の傷だと、治るのに30秒くらいか。
いや、傷口を水に浸けていたからかもしれない。そのまま空気に触れてたら、もうちょっと早いか。
となると頸動脈を斬っても、勢いよく血が吹き出るが、すぐに収まって治りそうだ。
便利な身体になったなぁ。すごいぞ、【不死】のスキル。いや、この場合、【超回復】か。
しかし、こうなると契約はどうしようか? 血が必要なのに、斬って流しても、すぐに治ってしまう。
そうだ! ナイフを刺したままにしておけば良いんだ。ナイフが栓代わりになるから、血はそんなに流れないけど、傷が塞がることはない。
よし、と思って精霊様の方を見ると――そこには、般若がいた!
「うおっ!?」
……ではなく、ものすごく怒った精霊様でした。
ケガした手首を掴まれ、説教された。
言葉にしないで伝えてくるので、勢いがすごかったです。頭が揺れました、マジで。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
脳がグラングランしながら、日本に古来から伝わる最上級謝罪方法――土下座をした。
本当に驚かせて心配させて、ごめんなさい。
お互い冷静になって、精霊様によくよく聞けば、あくまでも魔法による契約なので、実際に身体を斬って血を流す必要はないそうだ。
マンガとかだと、手首を斬ってるシーンとかがよくあったので、ついつい勘違いしたね。
そういうわけで、契約することにした。
オレはここから脱出するために精霊契約する必要があるが、精霊様にも契約によるメリットがあるそうだ。
精霊が存在するためには、魔力が必要になる。
通常、自然にある魔力で賄っているが、とてもではないが足りないので、1日の大半は眠っていた。そうすることで、僅かな余剰分を貯めて、必要なときに使うのだ。
ところが、契約するとどうなるか。契約者に召喚されて力を行使する義務があるが、その義務も契約者の魔力を使うのだ。
それ以外は今までと変わらず、むしろ魔力を定期的に徴収することができる。
魔力の貯蓄に余裕ができるので、契約というのは精霊にとって、諸手を挙げてやりたいことなのだ。
契約することにオレと精霊様はお互い同意して、儀式をする。と言っても、難しいことはないらしい。
精霊様に促されるままに手をつないで、泉の中心に向かう。
振り向いた精霊様と向かい合って、オレと精霊様の視線が交わる。
泉から光がポツポツ浮かび上がる。教えられなくても、それが魔力が可視化したものなのだと、なぜだかわかる。
足元――泉の水が熱を持ち、同時に腹の中も熱くなっている。さっき飲んだ水だろう。それが、オレの血と混じり、身体中を廻り巡っている。その熱はオレの魔力となり、身体を循環して、さらに増幅されていく。
オレの魔力が可視化して、まるでオレ自身が光っているようだ。精霊様はその様子を見て驚いている。大丈夫なのか不安になるが、精霊様はじっとオレを見て頷いた。大丈夫なようだ。
精霊様の綺麗な顔が、ゆっくりと近づいてくる。
全て精霊様に任せようと、瞼を閉じた。
息がかかっているのではないか、と思えるほどに精霊様が近づき――柔らかなモノがオレの唇に触れた。
驚いて目を開けようとする前に、オレの頭の中の血がすっと引いた。
あ……貧血だな、と思った瞬間、目の前が真っ白になって、意識がなくなった――。
ステータス
名前 :ラムダ
レベル:1
生命力:1050
精神力:2000=1000+1000
筋力 :174
耐久 :172
敏捷 :175
器用 :181
魔力 :1100=100+1000
幸運 :20
スキル:不死 状態異常無効 超回復
杖の才能 魔法の才能 高速思考
杖LV.1 剣LV.1 投擲LV.1 錬金術LV.1
耐久走LV.1 解体LV.1 必中LV.1
召喚魔法LV.1(new)
加護 :【創造神】【創世神】
呪 :【創世神】
精霊 :【水】




