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19話

 精霊様――ディーネの名前も決まったことだし、そろそろこの森から出たいと思う。


 ちなみに、ディーネ様と呼ぼうとしたら、困った顔をされた。オレを上位の存在としているようで、それなら仕方ないと思い、呼び捨てにすることにした。


 今までディーネは、『森の泉の精霊』として森の中にいくつかある泉にいた。だから、基本的にその周囲でしか行動できない。

 オレと契約すれば、契約者であるオレの周囲もそれに含まれるので、助けて、と魔力を糧にお願いすれば、ディーネは来てくれるわけだ――本来であれば。


 ところが、『水の精霊』となったディーネはそれに縛られず、水のある場所ならどこでも召喚魔法で呼び出せることができるのだ。

 例えそれが砂漠のような場所でも、だ。

 大気中に含まれる僅かな水分で構わず、仮に宇宙空間のような場合でも、オレの血などを触媒に召喚することはできる。

 もっとも、召喚することは可能だが、それだけである。力を行使するなら、相応に水が必要になるのだが。


 現状では、ディーネに何ができるのか確認してみたら、森の泉限定で移動することができ、戦闘では回復・防御・支援が得意なのだそうだ。

 移動に関して、森の泉限定というのは、今まで行ったことがあるのがそれというだけで、今後は、一度行ったことのある、そこそこ水の溜まっている場所なら、移動可能であるらしい。


 攻撃手段については、全く自信がないそうだ。仕方ないので、とりあえずバスケットボールくらいの水球を作らせ、まっすぐ飛ばさせるようにした。最悪、大量の水を思い切りぶちまけろ、と指示しておいたので、なんとかなるだろう。


 基本的な戦術は、オレがナイフか杖を手にゾンビアタックをしつつ、背後からディーネに支援か攻撃をさせる、といったところだ。

 早いうちに、オレがなにかしら有効な攻撃手段を手に入れないと、困ったことになりそうだ。

 しかし、魔法を使えることができれば、このバカみたいな魔力と精神力(MP)のごり押しで、戦闘もかなり楽になるのではないか。




 ※※※※※




 森の端に一番近い泉に、ディーネに連れられて来た。

 水の中を移動するのは一瞬だったので、特に感想はない。


 あぁ、服がびしょ濡れになったが、ディーネに乾かしてもらった。水を吸収したとか。

 便利です。

 ついでに、身体の汚れ――汗とか皮脂、垢も一緒にできないか聞いたら、できるようなのでお願いした。すると、一瞬身体の表面がじっとりしたかと思ったら、すぐに乾燥してすっきりした。

 どうやら、水を操って身体の汚れを集め取ったらしい。マジスゴくない? ディーネさんパネェ。


 フロや洗濯機代わりに使える水魔法は、オレも是非覚えたいところです。圧縮してぶっぱなせば、攻撃手段としても優秀だし。


 水の有効な使い方をディーネと話しつつ、樹に登る。

 それなりの高さまで登ったら、周囲を見回した。


 ……やっとだよ。

 やっと樹ばかりの光景ではない、広々とした草原を目にできた。


 現在、12時が過ぎた頃で、太陽が中天にある。

 ようやく森から出れそうだ。まだこの世界に来て2時間も経ってなのに、既に2週間は過ぎているような感覚だが。



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