↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/228

168話

〔10月3日水曜日〕


 この度世界に来てからそれなりに経っていたと思うけど、暦があることに全く意識していなかった。

 まぁ、それどころではなかった、というのは、言い訳になるだろうか。

 それに、冒険者なんて暦が関係ない仕事だし。


 一日24時間、一週間7日、一ヶ月28日、一年13月に大晦日の1日を加えて365日あるようだ。

 非常にわかりやすい。


 学院は、月曜日から土曜日まで授業があり、日曜日が休日となる。

 後は、国民の祝日があると当然休日だ。

 この辺りは、日本と変わらない。


 春夏秋冬と四季があり、夏休みなどの長期間の休みがあるのも、日本と変わらない。

 なので、8月から先月の9月まで休みがあったため、次の長期の休みは13月の一ヶ月間となる。

 13月まであるのが、なんとなく慣れないけど、いずれは馴染むだろう。

 なるべく意識しておこう。


 そんなことをアヤノさんと図書室でしていたけど、そろそろ昼休みが終わる頃だな。


 この学院の図書室の蔵書はそれなりに多かったけど、実はジーク師匠と自宅の方が蔵書数が多かったのは驚いた。

 どんだけだよ、あの家は。


 まぁ、学院ならではの本もいくつかあったから、出来ればこの図書室には通いたい。

 明日も昼休みになったら、ここに来よう。






 さて、午後は身体を動かす時間だ。

 ちょっと午前の授業で、興味深い話を聞いたので、是非とも試してみたい。


 というのも、魔力で身体強化をすることが出来るらしいのだ。


 ファンタジーの世界では良くある設定だけど、実際にそんなことが可能なのだろうか?

 精霊であるディーネも知らないそうだし。


 ジーク師匠やクライネ師匠は知っているのか?

 ……いや、知っているよね。

 学院で教えていることを、あの二人が知らないとは言わせない。


 ならば、何で教えてくれないのか。

 後で問い詰めなければ。


 それはともかく。


 魔力で身体強化。

 筋肉だの骨だのを強くしましょう、ということなのだろうけど、魔法ではないらしい。

 

 イマイチわからない。

 いろいろ試してみる。

 むぅ……。

 何故か【結界術】が発動してしまう──これじゃない。

 いや、薄くして身体が表面に張り付かせれば……って、ちょっと違う。

 身体の内側に向かって魔力を……?

 おかしいなぁ……。オレは、【魔力制御】と【魔力操作】のスキルがあるはずなんだけど……。


「アヤノさん、出来ました?」


「いえ……良くわかりません。ラムダさんも、ですか?」


「うーん……。わからない。なんか、コツとかあるのかな?」


 二人して首を傾げる。


 他の生徒たちは出来ているのかすら、わからない。

 授業中の話の感じでは、既に夏休み前に修了している内容みたいだから、出来ているんだろう、きっと。

 見ても全然わからないけど……。


「貴様ら、何かあったのか?」


 オレアヤノさんが端の方でコソコソしているのを、軍曹先生に見咎められた。

 相変わらず、恫喝しているみたいな物言いだけど、オレたち二人のことを気にかけてくれているのは、なんとなくわかる……ような気がする、たぶん。


「はっ! 午前中の授業にありました、魔力での身体強化について二人で試していたのですが、あまり結果が出ず……」


 敬礼まではしないけど、背筋を伸ばしてしまうなぁ。

 仕事の上司が何故か自衛隊を退役した人で、報告するときはこういった言い方をしていたのが格好良かったので、なんか真似するようになったのだけど、その影響が出ているよ。


「ふむ?

 貴様ら二人とも、出来ているぞ」


「は?」


「え?」


「だから、魔力による身体強化だ。

 手本にしたいくらいだな。

 かなりギリギリまで絞っているのを、普段から行っているから、そういう訓練かと思っていたが……。

 まさか、無意識だったのか?」


 ……。


 アヤノさんと顔を見合わせる。

 (知ってた?)(知らない)(だよね)というアイコンタクトを交わしてから、軍曹先生の方を向いて、二人して顔を横に振った。


「ふむ。

 貴様らには、何が出来て、何が出来ないのか、把握する必要があるな。

 少し待っていろ」


 そう言って、軍曹先生はオレたちから離れて、他の生徒たちを集合させると、何かを指示してまた戻ってきた。

 王子様が何か軍曹先生に言っていたけど、全く取り合わない。

 そこにイザベラ嬢が出てきたけど、何なのかな、あれ?


「あの、殿下が何か言っていますが、良いのですか?」


「貴様と模擬戦をさせろ、と仰っているだけだ」


 ……うん。出来れば回避したいです。


「昨日は止める暇がなかったが、殿下と模擬戦をさせたのを後悔している。

 貴様らの実力を、先に確認するべきだった」


 あれー?

 どうして、軍曹先生は木刀を構えているのですか?


「構えろ。本気でかかってこい。

 昨日のような腑抜けた剣を見せるなよ。

 あぁ、タカナシは後だ」


 アヤノさんが下がる。


「えっと……本気で、というのは、魔法も……?」


「……そういえば、貴様らは魔法も使えるのか。

 では、まずは剣のみだ。次に、魔法も使ってこい」


 正眼の構えの軍曹先生の正面に立ち、オレも剣を構える。

 ふむ。

 アヤノさんより強そうだ。

 クライネ師匠とだと、どうだろう?

 あの人、大剣の二刀流なんていうトンデモ剣術なんだよね。

 だから、怖いのだけど。


 それに較べると、軍曹先生は、見た感じ正統派な構えだ。

 アヤノさんの上位互換?

 でも、アヤノさんはアヤノさんで、一撃が怖いしなぁ。

 判断できないな。


 まぁ、考えていても仕方ない。

 本気で、ということなので、いつもクライネ師匠とやるときくらいのつもりで、当たって砕けよう。

 訓練だし、せいぜい骨が砕けるくらいのはずだ。


 では、参ります。

 骨は拾ってね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。