↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/228

160話

 がくせいふくをてにいれた!


 古典的なゲームのインフォメーションが脳裏に浮かぶ。

 それくらい、ショッキングだ。

 これをオレが着たら、コスブレになりませんか?


 と言うのもこの学生服、黒の学ランなのです。

 正確に言うなら、このニューカント王国の正式な軍服を少しアレンジしたものだそうだ。

 数年前に学生にアンケートを取った結果、決まったらしい。


 確かに、スッキリとしたシルエットでカッコいいのだけど、どう言い繕っても学ランなので、やっぱりなんとも気恥ずかしい。


 女性用の制服は、セーラー服でいかにもなんだけどな。

 まぁ、現役女子高生であるアヤノさんは、なんら問題ないだろう。


 ふぅ。

 学校に通うことが決まって以来、溜め息が止まらないよ。

 幸せが逃げていってしまう。


 簡単な試験と面接を、それぞれバラバラに受けて、渡された学生服に着替えた後、アヤノさんと合流する。


 うん。

 やっぱりアヤノさんは、学生服が似合うね。

 いや、スタイルが良いから、何でも着こなせるのだけど。

 鎧兜を着用していた先日までを思い出し、改めてそう思う。

 日本人の感覚として、あれは違和感しかなかった。


 どうでも良いけど、セーラー服って、絶対に過去の日本人が用意したものだよね。

 よくやった、と声を大にして言いたいくらいです。

 本当にありがとう。


「ラムダさん、お待たせしました。

 わあっ、制服も似合いますね!」


 はい?

 アラフォーのおじさんに何を言っているのかな、この娘は?

 からかってはいけませんよ。


「そんなことないですよ。

 あと、アラフォーって言いますけど、とてもそうは見えませんから。

 ねぇ、ディーネさん?」


 はいはい。二人とも、お世辞をありがとうね。

 そんなにクスクス笑いながら言ってたら、説得力はないよ。


「もう!

 じゃあ……どうですか?」


 アヤノさんはそう言いながら、クルリとその場で回転した。

 スカートがヒラリと舞う。

 それにしても、女性のスカートって、見えそうで見えないギリギリをよくコントロール出来るよね?

 いつも、不思議に思うよ。


「うん。よく似合っている。

 日本でもセーラー服?」


「はい。だから、本当はブレザーって憧れで、一度着てみたかったんですけど……言っても仕方ないですね。

 ラムダさんは、学生時代、何でした?」


「私は、学ランだったね。

 だから、今、またこれを着るとなると、とても恥ずかしいよ」


 ブレザーだったら、スーツの感覚で着れたから、そこまででもなかったかもしれない。


「そういうものですか?」


 そういうものです。

 年を取ると、きっとわかるはず。


 さて。

 ここで長々と話していたら、怒られるかな。

 教室に向かおう。

 話は歩きながらでも出来る。


 ところで、面接はどうだった?


「はい。

 ジーク先生から事情を聞いていたようでして、わたしが奴隷であることは、学院長先生だけが知っているそうです。

 だから、他の教師や生徒には話さないでいるように、とのことでした」


 そうか……。

 となると、オレはどういう立場でいれば良いのかな?

 保護者?


「だと思います。

 何かあったら、学院長先生に直接、話しても構わないそうですけど……」


 まぁ、それは最終手段だね。

 なるべく、自分たちで何とかしよう。


「そうですね!

 あ、あと、ラムダさんが面接している間、そこの中庭で、遅刻してきた学生さんに会いまして……」


 何でも、足を怪我して困っている様子だったので、回復魔法をかけてあげたんだそうだ。

 その後、その学生に名前を聞かれたらしいけど、試験の時間がきて呼ばれたので、そのまま会釈だけして立ち去った、とのこと。


 んー?

 なんか……フラグが立った雰囲気が……。


「そこのキミ! そうだ! キミだ!」


 もう少しで伝えられていた目的の教室に辿り着くところで、大きな声で呼び掛けられた。

 いや。オレじゃなくて……アヤノさん?


「はい?

 なんでしょうか?

 ……って、さっきの……?」


 ん?

 アヤノさん、どうかした?


 立ち竦むアヤノさんに向かって、ズカズカと大股で近寄ってくる男子生徒。

 クルクルとした金髪の癖毛はほどよい長さに切り揃えられ、清潔感とともに、とてもスタイリッシュである。

 目鼻立ちはとても整っていて、日本にいたなら絶対にアイドルか俳優になっているだろうと思う。

 背が高くて、足も長いし……帯剣しているのが、騎士っぽくて、またよく似合っている。


 結論。イケメンです。それも、特上の。


 オレたちが突然のイケメンの登場に唖然としている隙に、そのイケメンはアヤノさんの手を握り、


「やはり、この学院の生徒だったか!

 まぁ、部外者は立ち入れないから、そうだと思ってたが、制服を着ていなかったから、少し悩んでしまった」


「はぁ……。

 えと、あの……?」


 目の前で捲し立てる男子生徒に、アヤノさんは戸惑っている。

 でも、その手はさっさと振り払って良いと思うよ。


「先程は本当に感謝している。

 誰が仕掛けたのか、悪質な罠に引っ掛かってしまい、足を怪我して往生しているところ、キミがやって来てたちまち怪我を治した上に、名前も言わずに立ち去るものだから、お礼も言えずに困っていたんだ」


 ふむ。説明乙。


「その様子だと、キミは転入生かな?

 よし!

 何かあったら、俺に言ってくれ!

 このニューカント王国第一王位継承者、レオナルド=ロンダ=サナダ=ニューカントを頼って欲しい。

 大概のことは、力になれるはずだ!

 ところで、麗しのキミの名前は?」


 ……。

 さらっとナンパしてきたけど、王子様、キター!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。