145話
一晩中、鶏の魔物に襲われ続けた結果、オレの〈アイテム〉の中には、鶏肉が大量に溜まってしまった。
何せ魔物だけあって、その身体は大きく、1mを越すものもいたくらいだ。
解体したら、一羽だけで十人分は確実にある。
それが百羽以上あるのだから、しばらくは、鶏肉が足らなくなることはないだろう。
いや、どこかで売らないと、持て余すね。
いくら鶏肉好きでも、飽きちゃうよ!
まぁ、とりあえず、朝食に食べたいから、レベッカたちに渡しておこう。
朝だし、アッサリした蒸し鶏とか良いよね。
うんにゃ、唐揚げだって良い! どうせ、オレには胃もたれなんか、関係ないのだし。
そうだ! 焼き鳥も食べたい。オレはタレより塩なので、醤油が不満足の現状では、ちょうど良い。
余った木材で串を作って、アヤノさんに渡しておけば、理解してくれるだろう。
楽しくなって参りました!
【錬金術】で串を量産しつつ台所に行くと、レベッカたちが朝食の仕込みをしていた。
もう少しゆっくりでも良いと思うけど、何せ、娯楽の類いがあまりないから、夜は早く寝ざるを得ないわけで、自然と早く目が覚めるんだろうね。
レベッカに鶏肉を、アヤノさんにも鶏肉と串を渡すと、了解と言わんばかりに頷かれた。
流石だね。
「何かリクエストがあるっすか?」
「いや、任せるよ」
「了解っす。これで一品作るっす」
一品と言わず、何品でも良いけど。
ところで、エリーゼが真剣な顔で寒天を味見しているけど、何がそんなに気になる?
「エリーゼちゃん、寒天を初めて食べたから、驚いたみたいです」
「そりゃ、そうっす。あんな海草から、どうやったらぷるぷるした透明な物体が出来るか、不思議でならないっす。しかも、海草の味はどっかに消えてなくなっているし」
「(……不思議です)」
ん?
か細い声が聞こえたけど……まさか!?
エリーゼが喋った!?
「何でかは、わたしもよくは知らないです。でも、美味しいからそれで良いのです。
あ、黒蜜はないので、砂糖でシロップを作りました。あと、餡こと果物くらいしかないです。
酢醤油でトコロテンを食べたいですけど、ちょっと今は無理ですね」
あれ?
エリーゼが喋ったのに、ノーリアクションなの?
もしかして、既に、アヤノさんとコミュニケーション済みなのか?
オレだけだったの?
「ホントに、ニホンという国はスゴいっす!
アヤノの話を聞けば聞くほど、ビックリするっす!」
「(……うん)」
……うん。まぁ、あれだね。
オレがいるときでも、声を出せるようになった。
そういうことだろう。
次は、直接、話しかけてね。おじさんからのお願いです。
いや、変な意味でなく。
クライネ師匠との稽古を終えて、昼食の焼き鳥と唐揚げを食べたら、アヤノさんを連れて、ダンジョンに向かう。
地下九階からのスタートです。
予定は、地下十階まで行って、中ボスを倒すことだけど、あくまで予定なので、実際は未定だ。
下の階層になるにつれ、広くなっているので、探索に結構な時間がかかっている。
魔物がそこまで強くないからまだマシだけど、この先はどうなるかわからない。
十分、気を付けよう。
今日は、前衛にアヤノさんに行ってもらって、オレは後衛から魔法で参加したいと思う。
魔法スキルを上げていこう。
もうすぐ、レベル10になるのが多いしね。
では、行きましょう!
なんか、アンデッドが多いな……。
正直、ゾンビとか臭いが酷い。
『清浄』の魔法だと消臭も出来るので、まだ良いのだけど。
ダンジョン内でなければ、燃やしてしまいたいくらいです。
どういうわけか、換気はされている様子なので、燃やしても大丈夫だとは思うけど。
念には念を入れようと思う。
アヤノさんも同意見だ。
面倒だけど、オレとアヤノさんの魔法で、アンデッドどもを駆逐していく。
それ以外の魔物は、ディーネたちに任せた。
そうこうしているうちに、地下十階の探索が終わった。
オレたちの目の前に、やたら立派な扉がある。
如何にもな造りをしているので、ここがボスのいる部屋なのだろう。
時間は……午後4時過ぎか。
少し休憩してから、突入したい。
ディーネにお茶を淹れてもらって、と……。
「ラムダさん、何か作戦とかあるのですか?」
「いや、相手がなんなのかわからない以上、下手に作戦とか考えても無駄だと思う。
いつも通りにやるのが一番かな?
もっとも、最初は様子見で。アヤノさんはディーネと後衛にいて欲しい。
前に、ジュリアとヴィヴィ。その中間に私が。
このくらいか?」
その後も、ピンチになったらすぐに逃げられるように打ち合わせて、休憩を終えた。
軽く身体をほぐして、オレは扉を開ける。
大きな扉だけど、驚くほどスムーズに開いた。
中に入ると、勝手に扉が閉まってしまった。
真っ暗になる。
扉に近付いて開けようとするも、開かない。押しても引いてもダメだ。
これは、ボス戦の定番ってやつか?
というか、勝手に中ボスかと思っていたけど、もしかして、大ボスなのか?
全十階層か……。もっと大きければ良かったのに……。
と、今はそれどころじゃないな。
篝火が自動で点火される。
ゲームでこんな演出があるけど、実際にはどうなんだろうな?
まだるっこしいぞ。
オレは『ライト』の魔法で、出現した光球が周囲を照らした。
アヤノさんが白い目で見てくるが、スルーする。
照明があんな篝火だけなんて、頼りにならないよ。
奥には、大きな何かがいるようだ。
まだ暗いな。
さらに『ライト』で光球を出す。
あれは……?
牛頭人身──ミノタウロスか!?
迷宮の代名詞みたいなやつだ。
5mほどの身長で、巨大な斧を片手で持っている。物凄いマッチョな体型だ。ボディービルダーなんて、あれに比べたら子供みたいだ。
腰ミノを身に着けているけど、あれってポロリしないのかな?
絶対に見たくないけど。
グルグル唸りながら、眩しそうに光球を睨み付けるミノタウロス。
なかなか厳しい戦闘になりそうだ。
スキル
不死 状態異常無効 超回復
杖の才能 魔法の才能 高速思考
夜目 魔闘撃 魔力制御 魔力操作
魔法並列起動 バランス 身軽
空間把握 空間機動 空歩
杖LV.11 剣LV.9 体術LV.10 盾LV.9
投擲LV.9 必中LV.11 回避LV.11 ジャンプLV.9
ダッシュLV.10 耐久走LV.9 解体LV.9(+1)
危険察知LV.10(+1) 錬金術LV.10 結界術LV.10
召喚魔法LV.11 時空魔法LV.7
火魔法LV.9 水魔法LV.9 風魔法LV.10(+1)
地魔法LV.9 氷魔法LV.9 雷魔法LV.10
光魔法LV.10(+1) 闇魔法LV.10 無魔法LV.11




