102話
そんなわけで、ジーク師匠に魔法を教えてもらうことになった。
スケジュールの変更で、お二人の間に再び火花が散ったけど、それについてはもう忘れたい。
お互い手を出すことはない──せいぜい、髪か髭を引っ張るくらい──のだが、口が酷く悪い。
罵詈雑言の嵐だ。
まぁ、ケンカするほど仲が良い、とはよく言ったもので、悪口が言えるほど相手のことをよく見ていたのだろう。
好きの反対は嫌いではなく、無関心なのだ。
どうでもよい人間のことなんて、悪いところすらわからないのだし。
それはさておき。
一日経たずに変更になったスケジュールは、
0600〜素振り、型の反復練習など。
0800〜技の習得など。
1000〜クライネ師匠との模擬戦。
1200〜町で雑用など。
1400〜クライネ師匠とジュリアと模擬戦。
1900〜クライネ師匠と精霊たちと実戦。
2000〜魔物狩り。金を稼げ。
2400(0000)〜自由時間。ただし、遊ぶな、無駄にするな。
というものから、
0600〜素振り、型の反復練習など。
0800〜技の習得など。
1000〜クライネ師匠との模擬戦。
1100〜町で雑用など。
1300〜ジーク師匠に魔法を教わる。
1700〜ジーク師匠との模擬戦。
1800〜精霊たちと模擬戦。
1900〜クライネ師匠、ジーク師匠、精霊たちと実戦。
2000〜魔物狩り。金を稼げ。
2400(0000)〜自由時間。ただし、遊ぶな、無駄にするな。
ということになった。
模擬戦の時間が減ったわけだ。
ジーク師匠の言い分は、ダラダラ長時間かけて模擬戦をやるより、短時間でも集中してやった方が良い、とのことだった。
そうは言っても、それぞれ一時間ずつあるのだけど。
いろいろあって、現在は午後5時だ。
スケジュール通りなら、ジーク師匠との模擬戦だが、初日なので、オレの事情とか、諸々の話をすることに。
オレの事情と言っても、クライネ師匠に話したことと大差ない。
記憶がなく、呪われていて、そのため眠れず、怪我がすぐに治る、などである。
まぁ、嘘なんだけど。
話している途中で、魔法使いのジーク師匠ならば、いろいろ調べられる可能性があることに気付いたが、もう遅い。
実際、呪いの件でジーク師匠は、思案するような素振りを見せたが、特に何も言わなかった。
まぁ、聞かれても記憶がなくてわからない、と言えば大丈夫だとは思うが……。
今から心配しても、仕方ないかな?
なるようになれ、で行こう。
結局、呪いとか記憶喪失のことは聞かれず、どんな魔法を使えるのか聞かれ、実際に使って見せたところで、時間になった。
午後6時。
精霊たちとの模擬戦の時間だ。
対ジュリア、対ヴィヴィ、と一対一で何度か繰り返し、そこにディーネが加わり二対一となり、最後に三人同時に戦う、ということなのだが、これが大変だった。
対ジュリア。
突撃槍を持って攻撃。突くだけでなく、薙ぎ払ったりと、やりたい放題だ。
また、刺突剣や大鎌など、様々な武器を扱うので、毎回対応に困る。
避けたり、防御するだけならなんとかなるのだが、反撃まではできない。無理矢理反撃すると、カウンターをもらってしまうのだ。
対ヴィヴィ。
2mの体躯になる戦闘形態で、ヴィヴィは空を飛び、縦横無尽に攻撃してくる。
ヴィヴィは素手なので、オレも【体術】を鍛えるべく、素手で相対するが、全く対応できない。
一応、鉤爪や蹴爪は自重してもらっているが、一度ガードが間に合わず、右ストレートをモロに喰らってしまった。首がなくなったと思えるほどだったよ。
そこにディーネが加わる。
後方から、魔法が飛んでくるのだ。
オレも魔法で対応するが、その間に、ジュリアもヴィヴィも攻撃を仕掛けてきて、防御できずに詰んでしまう。
二対一で何もできずに終わるのだから、三人同時なんて、話にならなかった。
結局、時間まで三人にボコボコにされたのだった。
午後7時。
両師匠と実戦の時間だ。
オレ一人では到底敵うはずもなく、無駄な時間になるので、当面は精霊を加えた、二対四でやることにした。
クライネ師匠とオレたち四人では、ギリギリオレたちの勝利だった。
ただ、そこにジーク師匠が加わると、どうなるか?
正直、勝てる気がしない。
実戦なので、怪我どころか、命の危険も十分にあるが、どうするつもりなのかな?
そうしたら、特殊な結界をジーク師匠が張るので、その中なら死ぬことはないのだという。
詳しく聞くと、魔力の膜のようなものを纏うことでダメージを肩代わりさせ、ダメージを受け続けてその膜が消滅すると、戦闘不能と判断され、結界の外に弾かれるようになっているのだとか。
仕組みはわからないが、なんかスゴい。
とにかく、その結界内ならば、実戦同様に戦うことが可能だから、真剣に、本気でやるように、両師匠に言われた。
稽古でそこまでやるのか、とちょっと引いたが、仕方ない。
強くなるために、頑張ってみるとしましょうか!




