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パーティ結成


「……羨ましいな、君は緊張しないのかい?」


 ネロの後ろからため息とともにそんな呟きが聞こえた。呟きの主はジース・ラファド。ネロと同じクラスであり、青く長い髪と優しげな顔が特徴の魔導士だ。測定では遠距離を選び水属性でスコア250前後を記録していた。

 冷静そうな見た目をしていると思っていたが、どうやら緊張しやすい体質のようだ。青い髪に相まって顔がかなり青く見える。まるでもうすぐこの世が終わるかのよう。……さすがに緊張しすぎである。


「どうしたって初対面なのは確定してるし、そこまで緊張はしないかな」

「すごいね。君は先生相手でも敬語は使わないし、僕が思う以上に大物なのかもしれない」


 イマイチ何を言っているか分からないが、多分褒めているつもりらしい。ネロはその言葉にただ微笑みを返した。

 その時、扉を叩く音がした。どうやら新しい仲間が来たようだ。ネロは扉をそっと開けた。赤髪の男と白い髪の少女がそこにはいたのである。

 大柄な男だ。それに目つきが鋭い。実力を伴った威圧感のようなものを感じる。憶測でしかないが、多分相当な実力者だ。

 男はネロを上から下まで見つめた。見定められているかのようで視線がこそばゆい。


「お前、名前は?」

「ネロ・プリズマン」

「そう、お前がネロね。よろしく」


 男はそう言うと表情を変えぬまま部屋の中へと入っていった。少女は男とネロを順番に見た上で、ペコリとお辞儀をしてから何も言わずにこちらも部屋の中へ入っていった。

 ……まあ、名乗らなくても大体は分かる。この2人がネロの仲間である。これで4人、パーティが揃ったことになる。第一印象だが、……ちょっと癖が強いかもしれない。


「お前がジースだな?」

「……はいっ! ……そうです」

「……なんでそんなに緊張してるんだ? 俺怖いか?」


 男は表情を変えぬまま首だけを傾げた。目つきが鋭く、大柄。それでいて表情はほとんど無表情。イースはますます顔を青くしていた。断言しよう、怖い。


「怖い」


 思っていることが口に出てしまった……、訳ではない。声の主は少女だ。やれやれと言いたげな表情。多分に男とは知り合いなんだろう。


「……それはなぜ?」

「笑ってないから。レオンの真顔は怖い。これいつも言ってる」


 ため息が聞こえた。「本当に?」という呟きも聞こえた気がする。レオンというのはこの男のことだ。……そういえばまだ自己紹介をしてないな。


「悪いな、笑顔は苦手なんだ。心では笑ってるからそう怖がらないでくれ」

「……分かりました?」

「おっと、敬語も不要だ。せっかくパーティを組んだんだ。敬語なんて使ってたらめんどくせぇだろ?」


 レオンは真顔でそう言った。……多分これも心では笑っているんだろう。見た目もそうだが、中々癖の強い人だ。


「さて、と。ネロにジース、そしてノーラがパーティか。ふふ、中々良さそうなメンツじゃない? ちなみにお前たち戦闘スタイルは何なの? 見た目的に魔物使いと魔法使いで合ってる? だとすりゃ両方後衛だよなぁ」


 相変わらずレオンは表情を変えないまま矢継ぎ早に質問を飛ばしてきた。不思議と楽しそうに見えるのはこの無表情に慣れたからだろうか? 質問に答えるのは簡単だ。俺は魔物使いだし、ジースは魔法使い。そうだと答えればそれで終わりだ。

 ……しかし、自己紹介をするタイミングを逃しちゃったな。今しれっとしておくか。


「ネロ・プリズマン、一年生。戦闘スタイルは闇属性の魔物使いでランクはまだ見習いだ」


 ネロは視線をジースに向ける。続けという合図だ。この流れなら全員自己紹介がしやすいはずだ。


「ジース・ラファド、一年生。戦闘スタイルは水属性の魔法使いで、……ランク? ネロ、さっきのランクって何?」

「ギルドカードに書いてある。……ジースは登録がそもそもまだなんじゃない?」

「あ、なるほど。ギルドには未登録……です」


 2人の自己紹介をレオンは不思議そうな顔で見ていた。知ってる話をどうしてするんだと言いたげな表情である。


「……次レオンの番」

「へ? 俺の番?」

「レオンはここに来てから一度も自己紹介をしてない。多分この子たちはレオンのことを何も知らない」

「……あれ? 自己紹介してない?」


 ノーラは無言で頷く。ネロとジースも無言で頷く。レオンは暫し上を向いて記憶を辿り始めた。僅か数分の出来事だ。辿りきるのにそう時間はかからない。


「……してないな。いやこれはごめんよ。すっかり自己紹介した気でいたわ。それじゃあ改めて、俺の名前はレオン・ジークムント、三年生。戦闘スタイルは火属性魔剣使い、ランクは三級だ。これからよろしく」


 言いながらレオンは背中に担いでいた剣を前に取り出した。大柄なレオンが背中全体で担いでいただけに大きさは相当なものである。

 物珍しそうにネロが剣を見ていると咳払いが聞こえた。あぁ、そうだった。まだ自己紹介の途中だ。


「私はノーラ・ヴァイス、二年生。戦闘スタイルは光属性の魔法使い、ランクは同じく三級。……よろしく」


 

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