閑話 sideクロ
何も感じない。真っ暗だ。夜みたいだけど多分明けることがない。……まあ、あの痛みから解放されるのなら、この暗さもどうってことはない。
僕はいつものようにご飯を食べようと森を飛んでいただけだ。確かに噂には聞いていた。ニンゲンには気をつけろと。彼らは僕たちのことを理解できない。
でも見つかってしまった。ニンゲンが3人。多分言葉を発していたと思うけど、何にも聞き取れなかった。
様子を見てたら何か飛んできた。木の棒みたいに見えるけど、多分刺さると痛い。避けなきゃ。木の棒は何本も飛んできた。避ける場所はもうない。
……ふと下を見た。何か投げつけようとしてる? そう思った瞬間何かが僕を襲った。何かは分からない。ただただ痛いことだけが分かる。
地面に落ちた。固い地面。顔がヒリヒリする。でもそれ以上に足が痛い。何が刺さってるのかもう分からない。ニンゲンが近づいてくる。羽根が毟られた。痛い。あぁ、もう飛ぶことはできない。それに痛すぎてそれどころじゃない。
意識が遠のく。暗くなる。痛みが和らぐなら何だっていい。暗い、暗い。痛くはないけど何も見えない、感じない。
どれだけたっただろう。……多分僕は寝てしまったんだと思う。僕を呼びかける声がした気がして目が覚めた。体がフワフワするけど気にならない。目の前にいるのは、……ニンゲン? ニンゲンが2人と大きなマモノ。見たことない知らない魔物。
ニンゲンは僕を見て何だか嬉しそうだった。もしかするとこのヒトは良いヒトなのかもしれない。飛んでみるとヒトは頭を指さしている。試しに止まってみた。また嬉しそうにしている。きっとこれで良かったのだ。
森の外に出るのは初めてだ。魔物の背に乗ってどこかに行くようだ。どこだろうと思ったら大きな物体の前で止まった。ニンゲンが嬉しそうだからきっとここは楽しい場所なんだろう。
またニンゲンだ。目が合わない。……ちょっと怖そうだ。抱えてるのは、ブラックスパロー? 昔近くに住んでたっけ。懐かしいや。
……あ、フカフカだ。僕の寝るところよりもフカフカで気持ちいい。
フカフカを感じているとニンゲンが手を伸ばしてきた。不思議に思ってると頭を撫でてきた。ふふ、気持ちいいや。ニンゲンは満足したようで眠りについた。僕も寝ようかと思ったけど、眠気は来ない。……まあいいや、起きておこう。
朝が来た。こんなに明るい朝は久しぶりだ。美味しそうなにおいのする場所に連れてかれた。お腹は空かない。どうしちゃったんだろ。不思議だ。
そのうち空が見える場所に来た。魔法を撃つらしい。何をすればいいかは分からない。ニンゲンは何か声に出してるけど、何を言ってるか分からない。どうしようもないや。
ニンゲンがあるものを取り出した。ちょっと悩んだ顔をしてそれを首に付けてくれた。その時僕に衝撃が走った。多分全てを理解したんだと思う。
ネロ。僕の新しいご主人様。僕の力が必要ならば何でもしよう。……でも優しくしてね。




