成績発表3
「えっ?」
「ふふふー。」
「和希ちゃん、凄い。」
「流石和希ちゃんよね。」
「……マジですか……。」
和希は自分の名前が一位の下に書かれており、びっくりしたが、それ以上に総合点を見て我が事ながら驚くしかなかった。
「まさか、499点。」
「どの科目で一点落としたん?」
「多分英語かな、後々思い出したら単語を間違って書いてたから。」
「それ以外が満点なんて流石ね。」
「まぐれだよ。」
「当然、結果。」
「だから、偶々だってば。」
和希は本気でそう思っているのだが、三人はニタニタと笑う。
「偶々じゃ満点なんてそれないやないの?」
「それは……。」
確かに偶々で満点なんてとってしまったら教師も泣くだろうし、頑張った他の人たちを貶すような事になるだろう。
和希はぐるぐると考えていると、ドンと行き成り押された。
「えっ?」
思わぬ行為に和希はこけそうになる。
「ん。」
「あっ……ありがとう…紅葉ちゃん。」
幸いにも近くにいた紅葉が和希を支えてくれたおかげで和希は廊下で無様に倒れるという事態は免れた。
「あんた、何してんの?」
「さっきのはワザとよね?」
瑛瑠と桂子は険しい顔をして和希を押した女子生徒を睨む。
「あら、仲良しこよししている皆さん何かありましたか?」
険のある声に和希はまたかと溜息を零しそうになる。
「あんた、言う事はそれなん?」
「失礼な人だと知っていたけど、ここまでとはね。」
「……。」
確実に突っかかる二人と険しい顔をして睨んでいる紅葉に和希は思わず頭を抱えそうになった。
「あら、何かしました?」
「何かしましたやて?」
「さっき、ワザと和希ちゃんにぶつかったでしょ。」
「――っ!」
「ひっ!」
睨む瑛瑠。
冷めた目で見る桂子。
そして、問答無用でどこに持っていたのか箒の柄を彼女に突き付ける紅葉がいた。
「く、紅葉ちゃん。」
和希は慌てて突っかかて来た人に当たらないように箒を叩き落す。
「……。」
「もう…。」
無言で抗議する紅葉に和希は溜息を零す。
「やって駄目な事って分かっているよね?」
「……。」
目線を逸らす紅葉に私は彼女と向き合う。
「私の友達が貴女を怖がらせてしまって、ごめんなさい。」
「……。」
睨みつけるように和希を見てくる彼女に、和希は頭を下げ続ける。
「……あんたさ、本当に何なのよ。」
「えっ?」
和希が顔を上げれば彼女は和希を見下すように見ていた。
「いい子ちゃんの面してさ、皆にちやほやされて当然とでも思っている訳?」
「そんな。」
「そんな事はないって?どこがよ、皆言っているわよ、あんたってさ養殖でしょってね。」
「……私はいい子ちゃんじゃないわ。」
「はっ、色んな事言ってやったのに突っ込むのはそこ?」
けらけらと笑う彼女に和希以外の人間が動き出そうとするが、それを止めたのは和希本人だった。
「私の事で言いたい事があるのなら人のいない場所で話し合えないかしら?」
「ちょっ!」
「和希ちゃん。」
「……。」
戸惑う三人を無視して和希は強い目を彼女に向ける。
「……言いたい事ね。」
フンと鼻を鳴らす彼女に和希は笑みを浮かべる。
「ええ、文句があるのなら三人のいない場所で話してもらえたら嬉しいわ。」
「金魚のフンのようにくっついているのに?」
「そんな事はないわよ。」
「どうかしら?」
「そんな事はないわ。」
しっかりと言い切る和希に彼女はハッと笑う。
「まあ、こんな悪女ばっかりのバリケードがあったら文句は言えないのは当然よね、か弱いからね。」
この場にいる全員がこいつのどこがか弱いのだと突っ込みを入れたかったが、残念ながら突っ込むものはーー。
「何処がか弱いんやろうな。」
「和希ちゃん、だったら、分かる。」
「そうよね、本当にか弱い人だったら自分では言わないわよね。」
「……三人とも…。」
和希は痛む頭を押さえる。
「そういう事があるから、皆のいない所で言ってもらいたいんだよ。」
「あかんよ、和希ちゃん傷つくやん。」
「駄目、絶対。」
「そうよ、この女何仕出かすか分かったものじゃないわ。」
「……。」
和希は遠い目をして彼女に頭を下げる。
「ごめんなさい、この子たち本当に良い子なんだけど、頭のネジどこかにいてしまっている所があって。」
「……白けたわ。」
でしょうね、と和希は彼女の言葉にこっそり同意する。
「そこのモブ女。」
「私?」
ビシリと指をさされているので間違いはないだろうが、それでも、和希は念のために確かめる。
「あんた以外に誰がいるのよ。」
「ははは。」
殺気立つ周りに和希はから笑いを浮かべる。
「今日の放課後、体育館の裏で待っているわ、一人で来なさいよ。」
颯爽と身を翻す彼女だが、残念ながら幼馴染三人を必死で宥めている和希は彼女を最後まで見送ることは出来なかった。




